俺、巫女ちゃんを見る
トロ村で、サイクロプスを討伐した俺は、
翌日、早朝にトロ村を出て、神殿に向かった。
礎が壊されたので、結局、帰りも徒歩になった。
トロ村でのんびりしていたら、白龍祭のクライマックス、巫女の姉ちゃん、略して、巫女ちゃんの降臨が、見れないもんね。
道中は、何も起こらず、夕方には神殿に着いて、すぐに、組合のアースボルトに合うことができた。
「なんだ、トロ村に行ったんじゃないのか? 確か、あそこは、冒険者に対して非常召集が発令されたはずだぞ!」
彼は、俺をにらみつけた。
「大丈夫だ、俺の実力じゃ無理なんで、許可とって戻って来た、仲間の事であんたに相談したくてね。」
「おっ、一人は止めたのか、いい事だ、すぐに『仲間酒場』に行け、そこで、「いや、アース、そうじゃなくて、ほら、もっと親密な関係で、大切な命を託す、そんな関係の仲間、」
アースボルトは、再び呆れ顔で俺に言った。
「お前もしかして、ビショップの事言ってる?」
あったよ!ナイトじゃなく、ビショップだけど。
「ビショップは、ミスリス森林にある寺院で、『ビショップの郷』にいる僧侶達が、一般人と冒険者の霊力を結び付ける事から、ビショップと呼ばれている。
だから、冒険者になれなくて、尚、冒険者になる事をあきらめきれない者が、そこへ行く。
そして、冒険者と霊力で結ばれる事により、彼らは冒険者の能力が使えるようになり本当の冒険者となる、もちろん、その冒険者が死んだ場合、彼らは一般人に戻る、だから、彼らは裏切らない。」
「へぇぇ、そんな素晴らしい仕組みがあるんだ、冒険者も増えるし、ビショップ、万々歳じゃない?」
アースボルトは、首を横に振りながら、
「問題は、金だ、貴重なルーンの結晶を七個使う、それに五十万G、僧侶に謝礼で三十万G、合計で八十万G掛かる、高位の冒険者ならともかく、駆け出しの冒険者では無理だ。」
彼は、俺に説明を続けた。
「いいか、だから駆け出しの冒険者は、仲間と稼ぐ、そして成功した者だけが、ビショップを雇って、独立できる、悪い事は言わない、地道に上を目指せ!
ただでさえ、バザーの相場が下がってる、夢を見るより現実を見ろ、仲間を探せ!」
アースボルトは、俺を説得しようとしたが、残念、すでに俺は、ビショップを一人雇えるだけの金を、持っている。
ローグの金だけど。
「アース、ご忠告ありがとな。」
俺は明日、巫女ちゃんを拝んだら、ミスリス森林にある、『ビショップ卿』へ行く事に決めた。
この世界での、七日めの朝が来た。中央広場は参拝の人と、巫女ちゃんを見に来た人で、埋め尽くされていた。
俺は、朝飯の『三種のサラダ』と『キノコピラフ』を食べた後、礎の広場と中央広場を隔てる、バルコニーの前方に陣取った。
俺は、ミーハーだから、かわいこちゃんを見るのに、場所は重要だね。
待つこと、勘で二時間くらい、突如、広場が騒然とした。
いよいよ、お出ましか?
巫女ちゃんは、奥の殿と中央広場を繋げる長い階段の上から、ゆっくりと降りて来た。
周りには、護衛の神殿騎士団が、後ろには、金髪のイケメン!
いたよ! ゲームの真の主人公、真の勇者
ケイン ラインハルト、通称ケイ!
幾多の美女から告白され、振りまくるとゆう、凄くうらやましい人、巷では、そちらの方ではないかと、噂される程の冷血漢。
巫女ちゃんの名前は知らん、なんせゲームでは、突如出て、すぐ死んじゃう、よくわからない、かわいそうなキャラだ。
巫女ちゃん、緊張で震えてるよ、ちょっとかわいい。
おっ、両手を上に上げた、えっ、巫女ちゃん薄く光初めた!イリュージョン?
十分程だろうか、広場に静寂が訪れた、
ゆっくりと、巫女ちゃんは手を下ろした。
俺を含めて、全員が緊張した、たぶん。
『白龍様のお告げを伝る!!!!』
声は、霊力が使われているのか、大音量で、広場全体、神殿中に響き渡った!
巫女ちゃんの顔は蒼白に近かった。
『オークに、皇帝が生まれた!!
名を、ドルゾック、奴は、白龍様の力を欲している!!
二週間後、十万のオークの軍団が、この神殿に、白龍様を奪いに来る!!
これを迎え打て!!!
オークの軍団を殲滅せよ!!!!!
これが、白龍様のお告げだ!!!』、言うと巫女ちゃんは、気絶した。
後ろでイケメンのケインが支えた、絵になるねぇ。
って、十万?
それ、討伐出来る数字じゃないよね、戦争って言わない?
えぇぇぇぇぇぇ!!まさかの戦争イベント勃発、驚愕の急展開!!
まぁ、俺には関係ないけどね。