↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
ハイドル霊廟怪異編
38/39

俺、真の愛を知る

 俺は、俺の中で覚醒《かくせい》したもう一人の俺と協力してディアマンドラアスの討伐に成功した。


 その代償に俺は命《ライフ》の全てを失い、俺の意識は途絶えた。




 俺は第三者の視点で『白龍神殿』の『奥の殿(おくのでん)』を見ていた


 遠くから、大騒ぎする声が聞こえる。


 一人の小柄な男がボロボロの体で両手には血が滴《したた》るダガーを持ち、足を引《ひ》き摺《ず》りながら、白龍の白い白骨の前に立っていた。


 何故《なぜ》か彼の気持ちが俺の意識の中に流れ込んでいた、


 深い悲しみと絶望感、苦悩、ありとあらゆる感情が津波の如《ごと》く流れ込んで来た。


 彼は決《けっ》して幸せでなかった。


 失う者が多すぎた。


 彼は決《けっ》して喋《しゃべ》らない白龍の化石の前で、一人喋(しゃべ)る。


 『白龍、アンタの理想は立派だ、同族殺しは認めない、凄《すご》いねぇ、でっ、其《それ》を犯した奴《やつ》は化け物(モンスター)にする!ローグ、バンデッド、スカーレット!』


 男は拳《こぶし》を握り締めて、白龍に向かって怒鳴った!


『其《それ》でアンタは満足か!!白龍!!!』


『昨日迄《きのうまで》、友だった者に命を狙《ねら》われる地獄を見せて、アンタは満足か!!白龍!!!』


 どんなに男が怒鳴ろうと、白龍は決して答えなかった。


 軈《やが》て、男は静かに悲しみを堪《こら》えるように語りだした、『世界には殺さなけりゃ為《な》らねえ奴《やつ》がごまんといるんだよ!分かるか白龍!!』


『自分は手を汚《よご》さず汚《きた》ない仕事を他人にやらせるクソみたいな奴《やつ》が沢山いるんだ!白龍!』


『其《それ》が世の中なんだ!白龍!!』


 其《それ》でも白龍は答えなかった。


『俺は罪を認めよう、俺は同族を殺した!!』


 彼は自分の胸にダガーを当て、『俺は逃げるのに疲れた。』


 グサッ!!!


 自らダガーを、心臓深く射《さ》し込み、


『俺はこれ以上、同族を殺すのに疲れた。』


 ドバッ!!!


 ダガーで自分の心臓を抉り出しながら、


『へっ、流石《さすが》、化け物(モンスター)だな、心臓が無くても生きてやがる。』


 彼はその心臓を白龍に投げつけながら、


『お前に俺の心臓をくれてやる!だから頼む!!俺を死なせてくれ!!!』


 其処《そこ》で男の意識が途絶え、


 俺は夢から覚めた。




 俺は夢から覚めた、そして廻りにマリーが、メリーが、エリーが座って泣いていた。


 ラストニアに降る雪も止《や》み、暖かな風が南から吹き始め、雲海の切れ目より日射《ひざ》しが射《さ》し始めた。


 俺は立ち上がる事が出来なかった、体はゆっくりと黒い塵《ちり》になりかけていた。


 あぁ、俺はやっぱり化け物(モンスター)だったんだ、御免なマリー、メリー、エリー、君達を騙していて、


「貴方《あなた》は、レイ!私達の御主人様です!!」、溢《あふ》れる涙を拭《ねぐ》わずマリーが、


「そうだよ、レイ、貴方《あんた》は私達の旦那様だ!!」、涙が流れる瞳《ひとみ》を固《かた》く閉じて、両手を握り締めてメリーが、


「そうです、レイ、貴方《あなた》は立派な冒険者であり、私達のマスターです!!」、泣きながら回復魔法をかけ続けているエリーが、


 俺を許してくれると言《い》っていた。


 有難う、マリー、メリー、エリー、最期に皆を泣かしちゃったね、本当に御免な。



 オセロが、我が友(フレンド)が俺の廻《まわ》りに集まり、普段は陽気でふざけてばかりいる連中も今は大人《おとな》しい。


 おぃ、おぃ、可笑《おか》しいだろ、そんな真面目なのはD&DON(ダアドオン)のユーザじゃねえだろ、何の為《ため》のネコの被《かぶ》り物なんだよ!


 笑って騒いでくれよ、悲しいじゃねぇか。


 何時《いつ》の間にか万を越す我が友(フレンド)が俺の廻《まわ》り集まって来てくれた、


 そして一人が右手の武器を天に翳《かざ》した時、


 次々と手に持つ武器を天に翳《かざ》し、やがて俺を中心に大輪《だいりん》の花が咲くように、


 全ての我が友(フレンド)達が武器を天に翳《かさ》してくれた。


 あぁ、言葉は要《い》らない、言葉が無くても通じる気持ちがある。


 最期にその動作《エモーション》だけで充分だ。


 皆の気持ちは受け取った、有難う、我が友(フレンド)、マイフレンド。


 彼等《かれら》はゆっくりと光輝き天に消えて行《ゆ》く。


 また一人、また一人と。


『素晴らしい仲間だな。』


 あぁ、素晴らしい仲間だ、


『・・・お前には愛する人と愛する仲間がいる、やっぱりお前は生きろ、逝《ゆ》くのは俺一人で沢山だ』


 もう無理だ、俺の体が消えかかっている。


『大丈夫だ、白龍から聞いた、お前への依頼《クエスト》達成の報酬だそうだ、お前を愛する人がお前に、その血をお前に捧《ささ》げれば良《い》い。』


 俺に血を捧《ささ》げる、誰が?


 マリーが直《す》ぐに落ちていた黄金の鉈《なた》を拾い、その鉈《なた》で右手の手の平を切る!


 えっ、マリー!お前!!


 マリーの血は俺の胸を伝い、俺の心臓の位置で吸収された。


 俺の体の崩壊《ほうかい》が止まり、


 メリーがマリーから黄金の鉈《なた》を奪って直《す》ぐに右手の手の平を切った!


 メリー、お前も!


 その血も胸を伝い、俺の心臓の位置で吸収され、


 俺の体が薄く復活を始めた。


 エリーがメリーから黄金の鉈《なた》を受け取り、迷う事無く、右手の手の平を切った。


 エリー、有難う!


 そして、その時、俺の体は完全に復活した。


『其《それ》は、お前の新しい心臓、『絆《きずな》』だ、大切にしろよ。』


 あぁ、大切にするさ。


『じゃ、俺も大切な人の元に行く、元気でな、レイ。』


 連れないなぁ、相棒、最期くらい名前を教えろよ。


『俺は、『名も無き冒険者』、ただ其《それ》だけだ、じゃあな。』


 そうか、


 そうだな。


 彼が去った後、此《こ》れも白龍様からの報酬なのだろうか、俺の全てのレベルは80に成った。


 俺はゆっくりと立ち上がり、三人は俺にしがみついて沢山泣いた。


 その後は、我が家の恒例で、俺はマリーさんに沢山、怒られた。




 ・・・・彼の手記は此《これ》で本当に終わりだ、この後の彼はD&DON(ダアドオン)と似たその世界で、マリーさん、メリーさんとエリーさんとでうまくやっていくだろう。


 私から、捕捉《ほそく》することは、『ゲーム機PD4接続不可バグ事件』の事だ。


 その日は、D&DON(ダアドオン)シーズン10・1のリーリス日でオンラインゲームとしては最高の盛り上がりを私は期待して、パソコンからゲームにログインした。


 しかし、期待は裏切られ、ゲームにインするユーザは少なく、何が起こった?と不思議に思っていたら、SNSでゲーム機のユーザがログイン出来ないと大騒ぎしている事を知った。


 その時の私は、流石《さすが》D&DON(ダアドオン)、バグの演出も半端ないなぁ、と気楽に考えていた。


 処《ところ》が、突如《とつじょ》、モニタの右上にポップアップが現れ、その内容は、


『緊急討伐要請 ディアマンドラアスを討伐せよ!』


 えっ?


 モニタはブラックアウトし、サーバ0000へ移動と表示された!


 その後にモニタに表示されたラストニアは雪原の大地!


 えっ!


 神殿を襲う膨大《ぼうだい》なスケルトンにスケルトンサイクロプス、カーズドラゴン!


 スパコンじゃ無ければ絶対に今の技術では不可能な光景が其処《そこ》に展開していた!


 私は直《す》ぐに此《これ》が、我が友の救援依頼《クエスト》である事を理解した。


 だが此《この》クエストを依頼《いらい》した時期が余りにも悪すぎた!


 今日は運悪く十万を越すゲーム機のユーザがログイン出来ない日、


 彼は其《それ》を知らない!


 私は彼にその事を伝えなければと思い、彼を探した、


 ミニマップに表示されている味方の青色の矢印に一番奥のラスボスと闘っている部隊を見つけた、


 たぶん其《それ》が彼等《かれら》だと直感した私は、その時の職《ジョブ》が錬金術師《アルケミスト》だったので、アルケミストのカスタムスキル、レクス・カタパルタで彼等《かれら》のいる場所へ向かう事にした。


 そして、彼に会った私は、パソコンのキーボードで其《その》事《こと》を伝えた。


 NPC《ノンプレイヤーキャラクタ》である彼は、私の話しに驚愕《きょうがく》して暫《しばら》くラスボスを見ていた、彼と一緒のエルフのNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》が『ガラナエキスの残りが後、4本です!』とモニタにテキストで表示された時、


 彼はシーカにジョブをチェンジして、飛び出して行った!


 残された三人のNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》は大騒ぎになり、ハンズオブゴッドが切れ、攻撃を受けそうだったので私は錬金術師のバリア、レギア・バリアルを張った。


 しかし、シーカの彼はNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》とは言え、その業《わざ》は卓越《たくえつ》していて、其《その》光景がSNSの動画で拡散され、ネットでは大反響を巻き起こし、


 私のスマホにはSNSからの問い合わせが沢山来たが、此《こ》の状況では対応出来ず、


 更に彼がたった一人でラスボスに向かっている姿を見て、何時《いつ》しかあのラスボスを、あのNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》が倒せば此《こ》のゲームにログイン出来ると言《ゆ》う噂迄、SNSに流れ始めた。


 三人のNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》は其々(それぞれ)にジョブチェンジして、彼を援護し、彼の元へ行こうと必死であった。


 私も何とか彼の元へと行こうと、仲間に呼び掛け、それに呼応《こおう》して、どんどん合流して来る私のクランのメンバやフレンド達がラスボス迄の道を開け始め、私達は全員で彼の元へ向かった!


 そして、彼がラスボスの左腕を切り落とし、最期にそのラスボスの首を切り落とした時、


 SNSは歓喜で溢《あふ》れ、十万を越すゲーム機のユーザが此《こ》の世界にログインして来た!


 更に時間は三十分延長と成り、


 大討伐が始まった。


 そして、全ての力を使い果たした我が友は、ゆっくりと落下して来て、三人のNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》が彼を受け止めた。


 その時の我が友の姿は、一目で手遅れである事が分かった。


 彼はゆっくりと塵《ちり》になり始めていた。


 三人のNPC《ノンプレイヤーキャラクタ》は泣いていた、プリーストは泣きながら回復魔法を掛けていたが、魔法は効果が無く、


 やがて、彼が目を覚まし、彼と彼女達の会話がモニタにテキストで表示され、彼は自分がモンスターである事を謝っていた。


 その頃には、彼が命を賭けて、此《こ》の世界を救うために私達に助けを求めた事が理解出来た。


 そうだ、彼は自らの命を懸けたのだ!


 自然と私達は、気高く、勇気のある我が友に敬意を払い、


 一人のユーザが、彼に自身の武器を高く掲《かか》げその武器を捧《ささ》げた時、その動作《エモーション》のスイッチが自身のモニタに表示されている事に気づいた。


 その演出が何を意味するのかは分からない、


 だが、私達が其《それ》をする事により彼の霊《たましい》が救われるのなら、


 私達は喜んで、その演出に参加するつもりであり、事実、全てのユーザが参加した。


 正《まさ》しく、彼への敬意は大輪《だいりん》の花となり、ラストニアの大平原に咲き誇った。


 もし、モニタの先の世界に神がいるのなら、


 その神が白骨の龍なのか、白き龍なのかは分からない、もしかして二つの龍が存在するのかも知れない。


 我々が願う事は只《ただ》一つ、 


 彼の命を助けて欲しい。


 只《ただ》其《それ》だけだった。


 やがて、タイムアッブの時が来て、私達は世界に戻る時が来た時、


 私達は一つの幻想を見た、神殿より白き一匹の龍が天に昇り、天よりもう一匹の龍が降臨して、お互いが愛するように絡《から》み合う姿を、


 私は思う、


 一つの龍は彼のいる世界の龍、


 もう一つの龍はもしかして、


 私達の世界に存在する龍なのかも知れない。


 二つの龍が、お互いが絡み合う世界。


 ドラゴンズ&ドラゴンの世界の物語は、


 こうして終った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。