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ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
ハイドル霊廟怪異編
38/39

俺、真の愛を知る

 俺は、俺の中で覚醒かくせいしたもう一人の俺と協力してディアマンドラアスの討伐に成功した。


 その代償に俺はライフの全てを失い、俺の意識は途絶えた。




 俺は第三者の視点で『白龍神殿』の『奥の殿(おくのでん)』を見ていた


 遠くから、大騒ぎする声が聞こえる。


 一人の小柄な男がボロボロの体で両手には血がしたたるダガーを持ち、足をりながら、白龍の白い白骨の前に立っていた。


 何故なぜか彼の気持ちが俺の意識の中に流れ込んでいた、


 深い悲しみと絶望感、苦悩、ありとあらゆる感情が津波のごとく流れ込んで来た。


 彼はけっして幸せでなかった。


 失う者が多すぎた。


 彼はけっしてしゃべらない白龍の化石の前で、一人(しゃべ)る。


 『白龍、アンタの理想は立派だ、同族殺しは認めない、すごいねぇ、でっ、それを犯したやつ化け物(モンスター)にする!ローグ、バンデッド、スカーレット!』


 男はこぶしを握り締めて、白龍に向かって怒鳴った!


それでアンタは満足か!!白龍!!!』


昨日迄きのうまで、友だった者に命をねらわれる地獄を見せて、アンタは満足か!!白龍!!!』


 どんなに男が怒鳴ろうと、白龍は決して答えなかった。


 やがて、男は静かに悲しみをこらえるように語りだした、『世界には殺さなけりゃらねえやつがごまんといるんだよ!分かるか白龍!!』


『自分は手をよごさずきたない仕事を他人にやらせるクソみたいなやつが沢山いるんだ!白龍!』


それが世の中なんだ!白龍!!』


 それでも白龍は答えなかった。


『俺は罪を認めよう、俺は同族を殺した!!』


 彼は自分の胸にダガーを当て、『俺は逃げるのに疲れた。』


 グサッ!!!


 自らダガーを、心臓深くし込み、


『俺はこれ以上、同族を殺すのに疲れた。』


 ドバッ!!!


 ダガーで自分の心臓を抉り出しながら、


『へっ、流石さすが化け物(モンスター)だな、心臓が無くても生きてやがる。』


 彼はその心臓を白龍に投げつけながら、


『お前に俺の心臓をくれてやる!だから頼む!!俺を死なせてくれ!!!』


 其処そこで男の意識が途絶え、


 俺は夢から覚めた。




 俺は夢から覚めた、そして廻りにマリーが、メリーが、エリーが座って泣いていた。


 ラストニアに降る雪もみ、暖かな風が南から吹き始め、雲海の切れ目より日射ひざしがし始めた。


 俺は立ち上がる事が出来なかった、体はゆっくりと黒いちりになりかけていた。


 あぁ、俺はやっぱり化け物(モンスター)だったんだ、御免なマリー、メリー、エリー、君達を騙していて、


貴方あなたは、レイ!私達の御主人様です!!」、あふれる涙をねぐわずマリーが、


「そうだよ、レイ、貴方あんたは私達の旦那様だ!!」、涙が流れるひとみかたく閉じて、両手を握り締めてメリーが、


「そうです、レイ、貴方あなたは立派な冒険者であり、私達のマスターです!!」、泣きながら回復魔法をかけ続けているエリーが、


 俺を許してくれるとっていた。


 有難う、マリー、メリー、エリー、最期に皆を泣かしちゃったね、本当に御免な。



 オセロが、我が友(フレンド)が俺のまわりに集まり、普段は陽気でふざけてばかりいる連中も今は大人おとなしい。


 おぃ、おぃ、可笑おかしいだろ、そんな真面目なのはD&DON(ダアドオン)のユーザじゃねえだろ、何のためのネコのかぶり物なんだよ!


 笑って騒いでくれよ、悲しいじゃねぇか。


 何時いつの間にか万を越す我が友(フレンド)が俺のまわり集まって来てくれた、


 そして一人が右手の武器を天にかざした時、


 次々と手に持つ武器を天にかざし、やがて俺を中心に大輪だいりんの花が咲くように、


 全ての我が友(フレンド)達が武器を天にかさしてくれた。


 あぁ、言葉はらない、言葉が無くても通じる気持ちがある。


 最期にその動作エモーションだけで充分だ。


 皆の気持ちは受け取った、有難う、我が友(フレンド)、マイフレンド。


 彼等かれらはゆっくりと光輝き天に消えてく。


 また一人、また一人と。


『素晴らしい仲間だな。』


 あぁ、素晴らしい仲間だ、


『・・・お前には愛する人と愛する仲間がいる、やっぱりお前は生きろ、くのは俺一人で沢山だ』


 もう無理だ、俺の体が消えかかっている。


『大丈夫だ、白龍から聞いた、お前への依頼クエスト達成の報酬だそうだ、お前を愛する人がお前に、その血をお前にささげればい。』


 俺に血をささげる、誰が?


 マリーがぐに落ちていた黄金のなたを拾い、そのなたで右手の手の平を切る!


 えっ、マリー!お前!!


 マリーの血は俺の胸を伝い、俺の心臓の位置で吸収された。


 俺の体の崩壊ほうかいが止まり、


 メリーがマリーから黄金のなたを奪ってぐに右手の手の平を切った!


 メリー、お前も!


 その血も胸を伝い、俺の心臓の位置で吸収され、


 俺の体が薄く復活を始めた。


 エリーがメリーから黄金のなたを受け取り、迷う事無く、右手の手の平を切った。


 エリー、有難う!


 そして、その時、俺の体は完全に復活した。


それは、お前の新しい心臓、『きずな』だ、大切にしろよ。』


 あぁ、大切にするさ。


『じゃ、俺も大切な人の元に行く、元気でな、レイ。』


 連れないなぁ、相棒、最期くらい名前を教えろよ。


『俺は、『名も無き冒険者』、ただそれだけだ、じゃあな。』


 そうか、


 そうだな。


 彼が去った後、れも白龍様からの報酬なのだろうか、俺の全てのレベルは80に成った。


 俺はゆっくりと立ち上がり、三人は俺にしがみついて沢山泣いた。


 その後は、我が家の恒例で、俺はマリーさんに沢山、怒られた。




 ・・・・彼の手記はこれで本当に終わりだ、この後の彼はD&DON(ダアドオン)と似たその世界で、マリーさん、メリーさんとエリーさんとでうまくやっていくだろう。


 私から、捕捉ほそくすることは、『ゲーム機PD4接続不可バグ事件』の事だ。


 その日は、D&DON(ダアドオン)シーズン10・1のリーリス日でオンラインゲームとしては最高の盛り上がりを私は期待して、パソコンからゲームにログインした。


 しかし、期待は裏切られ、ゲームにインするユーザは少なく、何が起こった?と不思議に思っていたら、SNSでゲーム機のユーザがログイン出来ないと大騒ぎしている事を知った。


 その時の私は、流石さすがD&DON(ダアドオン)、バグの演出も半端ないなぁ、と気楽に考えていた。


 ところが、突如とつじょ、モニタの右上にポップアップが現れ、その内容は、


『緊急討伐要請 ディアマンドラアスを討伐せよ!』


 えっ?


 モニタはブラックアウトし、サーバ0000へ移動と表示された!


 その後にモニタに表示されたラストニアは雪原の大地!


 えっ!


 神殿を襲う膨大ぼうだいなスケルトンにスケルトンサイクロプス、カーズドラゴン!


 スパコンじゃ無ければ絶対に今の技術では不可能な光景が其処そこに展開していた!


 私はぐにこれが、我が友の救援依頼クエストである事を理解した。


 だがこのクエストを依頼いらいした時期が余りにも悪すぎた!


 今日は運悪く十万を越すゲーム機のユーザがログイン出来ない日、


 彼はそれを知らない!


 私は彼にその事を伝えなければと思い、彼を探した、


 ミニマップに表示されている味方の青色の矢印に一番奥のラスボスと闘っている部隊を見つけた、


 たぶんそれ彼等かれらだと直感した私は、その時のジョブ錬金術師アルケミストだったので、アルケミストのカスタムスキル、レクス・カタパルタで彼等かれらのいる場所へ向かう事にした。


 そして、彼に会った私は、パソコンのキーボードでそのことを伝えた。


 NPCノンプレイヤーキャラクタである彼は、私の話しに驚愕きょうがくしてしばらくラスボスを見ていた、彼と一緒のエルフのNPCノンプレイヤーキャラクタが『ガラナエキスの残りが後、4本です!』とモニタにテキストで表示された時、


 彼はシーカにジョブをチェンジして、飛び出して行った!


 残された三人のNPCノンプレイヤーキャラクタは大騒ぎになり、ハンズオブゴッドが切れ、攻撃を受けそうだったので私は錬金術師のバリア、レギア・バリアルを張った。


 しかし、シーカの彼はNPCノンプレイヤーキャラクタとは言え、そのわざ卓越たくえつしていて、その光景がSNSの動画で拡散され、ネットでは大反響を巻き起こし、


 私のスマホにはSNSからの問い合わせが沢山来たが、の状況では対応出来ず、


 更に彼がたった一人でラスボスに向かっている姿を見て、何時いつしかあのラスボスを、あのNPCノンプレイヤーキャラクタが倒せばのゲームにログイン出来るとう噂迄、SNSに流れ始めた。


 三人のNPCノンプレイヤーキャラクタ其々(それぞれ)にジョブチェンジして、彼を援護し、彼の元へ行こうと必死であった。


 私も何とか彼の元へと行こうと、仲間に呼び掛け、それに呼応こおうして、どんどん合流して来る私のクランのメンバやフレンド達がラスボス迄の道を開け始め、私達は全員で彼の元へ向かった!


 そして、彼がラスボスの左腕を切り落とし、最期にそのラスボスの首を切り落とした時、


 SNSは歓喜であふれ、十万を越すゲーム機のユーザがの世界にログインして来た!


 更に時間は三十分延長と成り、


 大討伐が始まった。


 そして、全ての力を使い果たした我が友は、ゆっくりと落下して来て、三人のNPCノンプレイヤーキャラクタが彼を受け止めた。


 その時の我が友の姿は、一目で手遅れである事が分かった。


 彼はゆっくりとちりになり始めていた。


 三人のNPCノンプレイヤーキャラクタは泣いていた、プリーストは泣きながら回復魔法を掛けていたが、魔法は効果が無く、


 やがて、彼が目を覚まし、彼と彼女達の会話がモニタにテキストで表示され、彼は自分がモンスターである事を謝っていた。


 その頃には、彼が命を賭けて、の世界を救うために私達に助けを求めた事が理解出来た。


 そうだ、彼は自らの命を懸けたのだ!


 自然と私達は、気高く、勇気のある我が友に敬意を払い、


 一人のユーザが、彼に自身の武器を高くかかげその武器をささげた時、その動作エモーションのスイッチが自身のモニタに表示されている事に気づいた。


 その演出が何を意味するのかは分からない、


 だが、私達がそれをする事により彼のたましいが救われるのなら、


 私達は喜んで、その演出に参加するつもりであり、事実、全てのユーザが参加した。


 まさしく、彼への敬意は大輪だいりんの花となり、ラストニアの大平原に咲き誇った。


 もし、モニタの先の世界に神がいるのなら、


 その神が白骨の龍なのか、白き龍なのかは分からない、もしかして二つの龍が存在するのかも知れない。


 我々が願う事はただ一つ、 


 彼の命を助けて欲しい。


 ただそれだけだった。


 やがて、タイムアッブの時が来て、私達は世界に戻る時が来た時、


 私達は一つの幻想を見た、神殿より白き一匹の龍が天に昇り、天よりもう一匹の龍が降臨して、お互いが愛するようにからみ合う姿を、


 私は思う、


 一つの龍は彼のいる世界の龍、


 もう一つの龍はもしかして、


 私達の世界に存在する龍なのかも知れない。


 二つの龍が、お互いが絡み合う世界。


 ドラゴンズ&ドラゴンの世界の物語は、


 こうして終った。

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