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ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
ハイドル霊廟怪異編
35/39

俺、策士になる

 『ハイドル霊廟(れいびょう)』の化物《モンスター》から採集《さいしゅう》された『渦霊《かれい》の宝石』はディアマンドの罠だった。


 其《そ》の宝石に含まれていた霊力《れいりょく》は白龍様の霊力《れいりょく》では無く、ディアマンドが其《そ》の力《パワー》の源泉《げんせん》だと唱《とな》える、殺戮《さつりく》世界《ゲーム》の力《パワー》だった。


『渦霊《かれい》の宝石』の霊力《れいりょく》で強化した鎧《よろい》を装着した神殿騎士団員は全員が其《そ》の霊力《れいりょく》の魔力により、レベル1、生命《ライフ》1に成ってしまい意識不明の重体!


 そしてラストニア中(じゅう)にある宝石の霊力《れいりょく》はディアマンドの元へと集まり、


 巨大な力《パワー》を手にしたディアマンドは『渦霊《かれい》の宝石』から霊力《れいりょく》を抜いた後の残骸である石ころから骸骨《スケルトン》を生み出した。


 多くの冒険者が採集《さいしゅう》して霊力《れいりょく》を抜いた石ころはラストニア中(じゅう)に捨てられ、その数は百万個。


 百万個の石ころから産まれたのは百万《ミリオン》の『骸骨軍団《スケルトンアーミー》』!


 更に奴《やつ》は巨大な骸骨司祭《ワイト》となり、自らを『大骸骨霊法皇《だいがいこつれいほうおう》ディアマンドラアス』と名乗った!!


 その時の奴《やつ》のレベルは200だったが、奴《やつ》が虚空より白と黒のケーブルを引き出した瞬間、ディアマンドラアスのレベルは9999とカンストした!!!


 また、『渦霊《かれい》の宝石』の霊力《れいりょく》は神殿の『龍の礎《いしずえ》』、『拠点《きょてん》の礎《いしずえ》』に影響を与え礎《いしずえ》は転移の力を失い、新大陸、隣大陸に居《い》る高位の冒険者を呼ぶことも出来なくなった!


 雪降るラストニア大陸で孤立した神殿にディアマンドラアスの『百万骸骨軍団《ミリオンスケルトンアーミー》』が迫《せま》る!!


 神殿は『白龍』様の霊力《れいりょく》により十枚の結界が張られている。


 その一番外側の結界に百体の『骸骨巨人《スケルトンサイクロプス》』の棍棒が撃ち込まれる!!!


 ドガァアン!ドガァアン!ドガァアン!


 神殿中に響《ひび》き渡《わた》る衝撃音《しょうげきおん》!!


 十体の『骸骨竜《スケルトンドラゴン》』が死の豪息(デスブレス)を結界に放射し!


 バゴオォオオオオオオオオンンン!!!


 神殿中に震度4の揺れが起こる!


 その状況の中でも、俺は『遠見《とおみ》のボード』のディアマンドラアスを見ていた。


 奴《やつ》が持つ二本のケーブル、一体此《いったいこれ》は何なんだ?


「御主人様?」


 奴《やつ》は此《こ》の二本のケーブルを空中から取り出した時、レベルがカンストした。


「御主人様!」


 つまり、奴《やつ》の強さ、霊力《れいりょく》の供給を此《こ》のケーブルがしているとしたら?


「御主人様!!」


 二本である意味は?


「御主人様!!!」、マリーが俺の耳元で大声で俺を呼び、俺の手を引っ張った。


「何、ボーっとしてんのさぁ!レイ!!」と怒りぎみの声でメリーが俺を叱《しか》る。


「いゃ、すまん、ちょっとあのケーブルが気になって。」と俺はディアマンドラアスを指《さ》しながら皆に謝った。


「ケーブル?」とマリーが不思議そうに、


「あっ、あのディアマンドが手に持っている白と黒の紐《ひも》。」


 メリーは呆《あき》れた顔で、「何を言ってんだよ、レイ!そんなの奴《やつ》は持って無いよ!!」


「えっ?」


 エリーも不思議そうに、「私にも、そんな紐《ひも》のような物は見えませんけど?」


「えっ!!」、俺はマリーに振り向いて、「マリー!」


「済みません、御主人様、私にも見えません。」


 ・・・あのケーブルが見えるのって俺だけ?


 何故《なぜ》?


 マリーは慌《あわ》てて、「兎に角(とにかく)、御主人、直《す》ぐに『白龍』様の処《ところ》へ行かなければなりません!」


 ああ、そうだよね、今回は流石《さすが》に『白龍』様に相談しないと、分からない事が多すぎる。


 ジョセッペのじいさんが我に帰って、「おぉおぉおぉ!そうじゃ!そうじゃ!『白龍』様の処《ところ》へ行くのじゃ!!」と騒ぎ、


 俺達は神殿の『白龍』様の処《ところ》へと移動した。




 神殿の奥の殿(おくのでん)には『白龍』様が居《い》る、その『白龍』様はゲームと違い生きているわけでは無い。


 其処《そこ》に居《い》るのは龍の巨大な骸骨《がいこつ》であり、その骨も白く化石化《かせきか》している。


 そして、俺にだけは白骨の中心部に青い光が見える、その青い光は、今は消えそうな位に暗く見えた。


 説明をメリーから聞いたエリーは驚いて、「えっ!マスターは『白龍』様と会話が出来るのですか!!」


 会話って言《い》うより、昔の漫画の中のコンピュータみたいに片言《かたこと》のやり取りだけどね。


 メリーは得意気に、「其《それ》に内の旦那はスッゲェェェ強いお友達(フレンド)を呼ぶことも出来るんだよ、エリー。」


 メリー、違うから、呼んでるのは『白龍』様で、俺はお友達(フレンド)を呼び出す条件《クエスト》を達成するだけだから。


 エリーが目を輝かせながら、「やっばり、私のマスターは、私が思っていた通りの人だったんですね!」


 そうっ、俺は君が思っている通《とお》りの只《ただ》のエロオヤジ、ただそれだけ。


 ジョセッペが苛立《いらだ》った声で、「どうじゃ、レイ殿、『白龍』様は一体、何と仰有《おっしゃ》られているのじゃ!」


 俺は『白龍』様にワイトやオーガ、デスナイトの魔素《まそ》を捧《ささ》げて、此《こ》の事態の打開策を聞いた。


 待つ事、十分前後、


「待ってくれ、ジョセッペ、小さくて聞こえない、えっ・・・二千?・・・骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》、えっ討伐するのか?」


 『白龍』様の声は掠《かす》れて小さく聞き取り難《にく》かった、其《それ》でも何とか理解出来たのは、二千と言《ゆ》う数字と、相手が骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》だって事。


 ジョセッペが驚いて、「骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》じゃと!!」


 マリー、メリー、エリーも、「えええええっ!!」、と同時に驚き、三人ともドングリ眼《まなこ》でちょっと可愛い。


 皆が驚くのも無理は無い、


 骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》は後方大迎撃部隊だ其処《そこ》まで辿《たど》り着くには、『骸骨剣士《スケルトンソルジャー》』 50万 『骸骨戦士《スケルトンウォーリア》』 30万 合計80万の部隊が神殿を幾重《いくえ》にも包囲《ほうい》しているのでその包囲《ほうい》を突破《とっぱ》しなければ成らないし、その距離は1キロメータ以上は有る。


 また、部隊の隙間《すきま》には『骸骨狼《スケルトンワーグ》』 5万が徘徊《はいかい》し、空からは『骸骨女鳥《スケルトンハーピ》』 5万が襲って来る。


 更《さら》に結界を破壊しようと神殿を出ると直《す》ぐに巨大な棍棒《こんぼう》を持った『骸骨巨人《スケルトンサイクロプス》』が100体、『骸骨竜《スケルトンドラゴン》』が10体待ち構《かま》えている。


 此《こ》の状況で神殿騎士団や高位の冒険者の護衛無しに、『骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》』の位地まで辿《たど》り着くのは不可能!!


 ジョセッペのじいさんは何故か納得した顔で、「分かったぞレイ殿!前回のように、メテオフォールを奴らにぶつけるのじゃな!流石《さすが》レイ殿!此処《ここ》から届く超大魔法を会得《えとく》したと言うわけじゃな!」


 じいさん!勝手に想像するなよ!そんな魔法有る分けないだろうが!バカか!


「ジョセッペ、俺のメテオの射程は二百メータが限度、魔法の詠唱時間は十分以上、だから魔法は此処《ここ》からじゃ届かないし、近くに行って魔法を詠唱していたら、詠唱している間に殺されるって!」


 ジョセッペは目を見開いて、「なぁ、なあんじゃと!!」


 驚いたジョセッペは可愛くない。


「ジョセッペ、他の方法を考えなければ駄目だ!」


 マリーが俺の方を見ながら、「御主人様には何か策《さく》が有るのですか?」


 俺は頷《うなず》きながら、「策《さく》が無いわけじゃない。」


 こう言《ゆ》う状況《シュチゥエーション》は世界《ゲーム》には良くある事だ。


 問題は二つ、


 一つはどうやって、骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の場所迄行くか。


 二つ目は、其《そ》の場所でどうやって、二千の骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》を討伐《とうばつ》するのか。


 此《こ》の場合、たぶんディアマンドラアスの一撃即死の大魔法攻撃が来る事が前提《ぜんてい》であり、


 此《これ》を俺達が喰らったら終わりだ。


 しかし、世界《ゲーム》は俺達《ユーザ》が必ず勝つ手段(クリア)の出来る仕組みが実装されている。


 ようは、その手段《コウリャク》を見つけるかどうかだ。


 但《ただ》し、此《こ》の法則は駄目な世界(クソゲー)には当てはまらない。


『白龍《はくりゅう》』様が造り上げた世界《ゲーム》、D&DON(ダアドオン)は駄目な世界(クソゲー)じゃない!


 だから、俺達が奴《やつ》に勝ち、此《こ》の世界を救う手段は必ず有る!!


「まず、どうやって骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の場所迄行くかだが、」


 俺は一旦、言葉を区切り、「俺達は、空を飛んで行く!」


 全員が驚いて、「空!?」


 うん、やっばり、マリー、メリー、エリーの驚いた顔は可愛い。


 ジョセッペが納得した顔で、「うん、うん、流石《さすが》、レイ殿、空飛ぶ大魔法を会得《えとく》したのじゃな!」


 無いから、そんな世界の法則(ゲームバランス)壊すような魔法無いから!


「嫌、ジョセッペ、魔法じゃなく、『探求者《シーカ》』のロープを使う!」


 メリーが俺の意図を理解して、「そうか!『探求者《シーカ》』なら空を飛べるし、走るより遥《はるか》に早い!」


「ディアマンドは俺達に都合良く、空に五万の骸骨女鳥《スケルトンハービ》を配置してくれた、俺達は密林王者《ターザン》のように女鳥《ハービ》にロープの連続掛けで一気に骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の場所に行く!」


 マリーが不思議そうに、「密林王者《ターザン》?」 


 御免、俺の元いた世界の有名人、アアアアアアアアの人、分かんないよなぁ。


「勿論《もちろん》、『探求者《シーカ》』に成るのは俺とマリー、メリーだ、エリーは『僧侶《プリースト》』として俺が背負う。」


 流石《さすが》に今回は、メリーは騒がないで黙っている。


「そして目的地に到着したら、『ハンズ作戦』で行く!」


 全員が驚いて、「ハンズ作戦?」


 マリーが代表して、「御主人様、『ハンズ作戦』とは?」


 俺は全員により詳しい説明を始めた、「まず、此《こ》の作戦の肝《きも》は、ディアマンドが世界《ゲーム》に誓約《せいやく》した、俺達を一回だけ見逃す事に奴《やつ》が何処《どこ》まで縛《しば》られているかに有る。」


 俺は考えながら、「あの時、ディアマンドは時間や距離の制限を付けなかった、だから此《こ》の一回は、推測だが、奴《やつ》に敵対しなければ何時《いつ》までも有効だと俺は考えている、つまり、俺達は骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の居る場所迄はディアマンドの攻撃を受けない!」


「えええええっ!!」


 その真実に全員がまた驚き、


 その中でメリーが不思議そうに、「しかしレイ、奴《やつ》がその誓約《せいやく》を守らなかったら?」


 世界《ゲーム》の中では法則《ルール》は絶対だ、まして此《こ》の世界はまだ『白龍《はくりゅう》』様の世界、奴《やつ》は絶対に守る!


「大丈夫だ、奴《やつ》は自ら言っていた、世界は公平だと、誓約を破る事が出来たなら、奴《やつ》は最初から破っているはずだ! しかし、奴《やつ》は誓約を守った、つまり、奴《やつ》は誓約を破る事が出来ないんだ!!」


 暫《しばら》く考えた後、メリーは納得して、「・・・そう、そうなのか。」


 俺は話を続けた、「但《ただ》し、ディアマンドに敵対する行為が、奴《やつ》が召喚した骸骨《スケルトン》も含まれている可能性がある、其処《そこ》でレベルの高いマリーとメリーが先行して俺とエリーの通る道を空けて欲しい、その際、骸骨女鳥《スケルトンハービ》には一切攻撃《いっさいこうげき》をしてはならない。」


 マリーが決意した瞳《ひとみ》で、「判《わ》りました、御主人様!」


 メリーは一度瞳(ひとみ)を閉じて、自分に言い聞かせた後、「やる!絶対やる!!やってみせる!!!」


 俺は頷《うなず》きながら、「エリーは、二人に僧侶《プリースト》として、耐久力上昇《ソリッドライザー》と生命回復《ヒールオーラ》をマリーとメリーに付与転送《フィールドシフト》してくれ。」


 エリーは自分にも役割があると知って、「はい!分かりました!マスター!!」と緊張気味に返事を返してきた。


 俺は、その様子が可愛いかったので、笑顔で、「良し、マリーとメリーは出来るだけ骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の密集地帯《みっしゅうちたい》を見付けて、其処《そこ》に降《お》りる、俺はメリーが地上に降りる直前にメリーを大盾聖者《シールドセイジ》に転職《ジョブチェンジ》する!」


 メリーが驚いて、「私が大盾聖者《シールドセイジ》!」


 俺は頷《うなず》きながら、「そうだ、錬金術師《アルケミスト》と同じ前衛支援職《ぜんえいしえんしょく》、メリーと相性が良《い》い筈《はず》だ。」


 メリーが、ちょっと戸惑《とまど》いながら、「やった事があるから、多分、出来ると思うけど、何故《なぜ》?」


 俺は真顔《まがお》で、「此《こ》の時点で、世界との誓約《せいやく》は破棄されている、ディアマンドラアスを含めて、五万の骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の魔法攻撃が休む事無く、俺達に襲いかかる、それを防ぐ方法が唯一《ゆいつ》、大盾聖者《シールドセイジ》の神の領域(ハンズオブゴッド)だ!」


 全員が声を揃えて、「神の領域(ハンズオブゴッド)!!」


 ハンズオブゴッド、法力で守護《しゅご》された空間を発現し、空間内にいる味方へのダメージを無効化する大盾聖者《シールドセイジ》の大技!


 メリーが不思議そうに俺に聞いて来た、「そんな凄い技《スキル》が有るんだったら、何で今まで、私やマリー姉《ねえ》に使わせてくれなかったの、レイ!」


 マリーも考えながら、「私も、確かに聞いた事が有ります、大盾聖者《シールドセイジ》の究極の防御《ガード》技法《スキル》、確か欠点が有って実用的では無いと聞いてましたが?」


 俺は頷《うなず》きながら、「あぁ、そうだ神の領域(ハンズオブゴッド)はスタミナを一瞬で消費してしまう、だから単独での使用は無理な業《スキル》だ!」


 俺の話を聞いたエリーが自分が出来る業《スキル》を思い出し、「!まさか、其《そ》れで私が!!」


 俺はエリーに目を向けながら、「神の領域(ハンズオブゴッド)は高位の僧侶《プリースト》であるエリーが俺達のチームに加わってくれたからこそ、出来る業《スキル》なんだ、此《こ》のスキルの発動中は、僧侶《プリースト》のスタミナ回復スキル、エナジースポットが必須《ひっす》!!!」


 エナジースポット、僧侶《プリースト》の業《スキル》、急速にスタミナを回復させる魔法エリアを発現させるスキル。


 エリーが俺達に何度も使ってくれていた、元気一発ファイト!って業《スキル》、此《こ》のスキルをエリーが使った時から、俺は大盾聖者《シールドセイジ》の神の領域(ハンズオブゴッド)が使えると考えていた。


「そして、俺とマリーは魔法士《ソーサラ》に転職《ジョブチェンジ》して奴等《やつら》にメテオフォールをぶちかます!!!」


 マリーも頷《うなず》いて、「分かりました!御主人様!!」


 ジョセッペが感激して、「流石《さすが》、レイ殿じゃ!!」


 俺はジョセッペを無視して、「エリー、出来たらで良《い》いんだか、クイックチャージも挟《はさ》んでくれないか。」


 クイックチャージ、僧侶《プリースト》が精神を集中し、自身を中心に味方の技《スキル》の発動時間を大幅に短縮する祈りを捧げる業《スキル》


 エリーは困った顔で、「二つ同時は無理です。」


 俺は出来るだけ優しい笑顔で、「出来たらで良《い》い、優先はエナジー、エナジーは絶対に切らせないでくれ。」


 エリーも笑顔で、「はいっ!!!」


 こうして、俺達は友達《フレンド》を呼ぶ為の『白龍』様からの、命《いのち》を賭《か》けた討伐依頼(クエスト)、二千の骸骨魔法士《スケルトンソーサラ》の討伐に挑戦する事になった。





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