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ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
ハイドル霊廟怪異編
33/39

俺、報酬を貰う

 俺達は最期の『渦霊かれいの宝石』、二十個を『ハイドル霊廟(れいびょう)』で採集さいしゅうする為に、霊廟れいびょう地下洞窟ダンジョンもぐった。



 それは、ラストニアには決して降るはずの無い雪が降り積もった日、


 俺達が、借金の肩代わりに六千個の『渦霊かれいの宝石』を『運営堂うんえいどう』に納品する最終日。


 『ハイドル霊廟(れいびょう)』の最下層、『死霊しれいの大広間』は大きく変貌していた。


 其処そこあらわれたのは地獄門!


 其処そこで待ち構えていたのは、『死せる大司祭(ワイト)』では無く、三体の死の墓守り『死の剣士(デスナイト)』!


 俺達が『死の剣士(デスナイト)』と相対した時、地下洞窟ダンジョントラップが発動して俺達は奴等やつら討伐とうばつしないと『ハイドル霊廟(れいびょう)』から脱出出来なくなった!


 奴等やつらのレベルは60代、決して高くは無い、マリーとメリーとエリーだけでも倒せる相手だ。


 だが、俺の直感がこれ二重罠ダブルトラップだと警告していた!


 俺達の本当の敵はあの地獄門の奥に入る!


 結局、俺達は此の地下洞窟ダンジョンから脱出する為に、『死の剣士(デスナイト)』を討伐とうばつする事を決めた!


死の剣士(デスナイト)』と闘う事、一時間、奴等やつらは格上のマリー、メリー、エリーの手によって黒きちりとなって地下洞窟ダンジョンに吸収され、


 奴等やつら落と(ドロップ)した『渦霊かれいの宝石』は俺の収納カードに保存された。


 これで俺の収納カードにある宝石は二百個を越え、地下洞窟(ダンジョン)を出れば、『運営堂うんえいどう』と約束した六千個の納品が終了だと俺が考えた時、


 俺の収納カードは赤く光、光は正面の地獄門に吸収された!


「えっ?」 


 二百個が!二百個が消えた!


「嘘っ!!」


 俺は慌てた、折角、集めた宝石がぁ!!


 また、今日の宝石集め、一からやり直しかよ!!


 と思っていると、


「御主人様!!」、とマリーが!


「レイ!!」、とメリーが!


「ご注意を!!」、とエリーが!


 ギィギギギギギギギギギギ!!!


 び付いた蝶番ちょうばんきしむ音、


 ゆっくりと地獄門が開く!


 ゴォオオオオオオオオ!


 門の奥底より大広間に冷気が吹き込み!!


 ゾワッ!!!


 何だ!!威圧感いあつかん!!背筋せすじが凍るような恐怖!!


 俺はあしが震えていた!!


 マリー、メリー、エリーが一歩下がる!!


 彼女達の額は汗で濡れていた!


 カッカッカッカッ、


 パチパチパチパチパチパチ、


 地獄門の中の暗黒の空間から床を鳴らす靴音と拍手する音が聞こえ、


 暗黒の世界を背景に一人の男が浮かび上がる、


 身長は百七十前後、決して高くは無い、


 歳は五十代に見える、銀髪の髪は長く伸ばし胸迄ある、錬金術師がまとう白い法衣ほういは薄汚れボロボロになっていた。


 驚くのはそのレベル!コイツは150を越えていた!!


 顔は頬がこけ、浅黒く、白い眼窩がんかを不気味に光らせ、紫の唇から発した言葉は、


依頼クエスト達成コンプリートコングラチュ(おめで)レーション(とう)!!」


 ?コイツ何言ってんの!!と俺が思っていた時、


 マリー、メリー、エリーが同時に叫ぶ!!


「ディアマンド!!!」


 えっ!!ディアマンド?


 ディアマンドって、あの雑魚ざこキャラ?


 確かおのれの研究欲の為に、何十人もの人を殺害した結果、同族殺しを認めない『白龍』様によって犯罪者と認定され、反逆者でもあった奴は更に魔物モンスターへと落とされた、


 逆怨さかうらみしたやつは神殿に乗り込み、『白龍』様を殺そうとしたが逆に神殿勇者のレオに殺された、


 はずなのに、


 オークの皇帝ドルゾックに転生したやつは再び神殿を襲ったが、俺の友達フレンドにより討伐とうばつされ、最期のとどめは俺がやった、相当そうとう執拗(しつこ)い悪役!!


 やつがディアマンド!!!


 ディアマンドが両手を広げ天を見上げながら俺達に語る、


「世界は公平だ、依頼クエスト達成コンプリートした君達に私から三つの報酬ほうしゅうを差し出さねばならない。」


 えっ!報酬ほうしゅうって、俺達、お前から報酬ほうしゅうもらえんの!!何で???


 奴は俺達に人差し指を立てて、「一つめの報酬ほうしゅうは、依頼クエストの説明。」


 ?依頼クエストの説明が報酬ほうしゅうって?


依頼クエスト納品討伐のうひんとうばつ依頼(クエスト)、一つめの納品のうひん依頼(クエスト)は、人生ひとならざる者が、いのちを六千、われに届ける事!」


 ?、六千のいのち?六千って俺達が集めた『渦霊かれいの宝石』と同じ数!!


 まさか!!!


 ディアマンドは、中指を立てて二を表しながら、「二つめの討伐とうばつ依頼(クエスト)が墓の守護者、三体の魔神モンスターの討伐!!」


 三体の魔神!『死の剣士(デスナイト)』!!


 俺達は一体何をしたんだ!!!


 ディアマンドの唇は狂喜の喜びでめくり上がり、「依頼クエスト達成コンプリートした時の条件は、」


 条件は!!!


 ディアマンドはさらに大きく手を広げ、「われのラストニアの大地への帰還きかん!!!」


 メリーが怒りに満ちたひとみで、「ならば!!お前をぐにの世界から追い出してやる!!ディアマンド!!!」と大声で叫びながら、魔導籠手をかまえる!


「メリー!!やつに手を出すな!!」、俺は急いでメリーの前に立ち、彼女の無謀むぼうな行動をめた!


退いてくれ、レイ!!やつは私の友を!仲間をころした犯罪者きちがいだ!!!」


「駄目だメリー!!!」、俺はメリーの肩をつかんで必死にメリーをめる!!


 ディアマンドの笑いはさらすごみを増し、「賢明けんめい判断はんだんだ。」


 やつは一瞬、けながら、「・・・二つめの報酬ほうしゅうは、世界の真理しんりの説明!!」


 真理しんりの説明?それ報酬ほうしゅうなのか?


「私が世界にいだいた疑問は一つ、白龍の力の根源こんげん何処どこるのかだ!!」


『白龍』様の力の根源って?そんなのるのか?


「私は考えた、我々(われわれ)が死んだ世界と白龍はつながっているのでは無いかと、だから多くの実験体で試したのだが、彼等かれらではその世界にはたどり着けなかった!」


 メリーが、真っ赤な顔をして、「犯罪者きちがい!!」と怒鳴りながらディアマンドに飛び掛かろうとして、俺とマリーで必死にめる!


「白龍により、化け物(モンスター)にされた私は考えた、化け物(モンスター)に成った私が白龍の手によりころされたなら、白龍の力のみなもとにたどり着けるのではないかと!」


 の世界は俺が大好きだったゲーム、D&DON(ダアドオン)に似ている、それと何か関係が在るのか?


ころされた私は、あと少しで真理しんりにたどり着けるところで引き戻されてオークに転生した!!」


 ドルゾック!!


「オークに成った私は考えた、何故なぜの世界は白龍にしばられているのか?何故なぜ、白龍は冒険者や魔物モンスターを作るのか?答えは白龍の死によって分かるのでは無いかと。」


 えっ!ディアマンド!お前!そんな理由であんな戦争を起こしたのかよ!!


「そして私は、白龍が呼び出した世界の向こう側の者に、人生ひとならざる者にころされた!」


 えっ!それって俺の事?


「私は、其処そこでやっと、白龍の力の根源こんげん、世界の真理しんりにたどり着く事が出来た!!」


 えっ!もしかして!俺がいた世界って事?


「その世界は何千万の同族が生まれてはお互いがころし合う狂気の世界!!!」


 ええええええええ???


「たった一人が生き残る為に、お互いがころし合う狂喜の世界!!!」


 いったい何処どこるんだよ!そんな世界!!


「その世界にくらべれば、白龍等何と小さい事か!!!」


 白龍様が小さいって、そりゃD&DON(ダアドオン)はゲームとしてはメジャーじゃないし、売れて無いし、って!!


 ゲーム?


 ゲーム!


 ゲームか!!


 ゲームなのか!!!


 そうだ、俺が存在していた世界はゲームが満溢みちあふれている!


 俺達の世界はゲームでつながっている!!


 そして!


 売れているゲームの多くは!!


 人が人をころす、ころし合いのゲーム!!!


 PBGEペブジー、コールナイト!


 数千万プレイヤが熱狂する殺戮さつりくゲーム!!


 確かに、世界ゲームは狂喜と狂気の世界せかいだ!!!


 の世界が、俺達の世界ゲームから生まれたのなら、他にも多くの世界せかいが存在するって事か!


 世界せかい真理しんりそれ世界せかいが俺達の世界ゲームによって構築こうちくされている事!!


 ディアマンドはその真実しんじつにたどり着いた!!!


「私は知った、白龍が小さく、ちっぽけな生き物である事を!そして、やはり滅ぼす対象である事を!!」


 滅ぼす!白龍を!!世界せかいを!!!


 メリーが激怒して、「白龍様を滅ぼす!分けの分かんない事言ってふざけんな!!犯罪者きちがい!!!」と怒鳴った。


 そうだ、やつの言ってる事が理解出来るのは、の広いラストニアで俺だけだ。


 だから、真理しんりの説明が俺のため報酬ほうしゅうになるとう分けか!


 ディアマンドは気味悪く、ニヤリと笑い、「理解出来たようだな、では最期の報酬ほうしゅうだ!」


 奴が右手を差し出した瞬間、


 ガラガラガラガラガラガラ、


 大広間の石製の落とし戸がゆっくりと上に上がり、「一度だけ見逃してやる。」、とディアマンド!


 俺は、騒ぐメリーを抱き締めて、「転移!!!」


 ありがとな、ディアマンド!


 俺はきっちりと貰える物は貰う主義!!


 こうして、俺達は、『ハイドル霊廟(れいびょう)』の地下洞窟ダンジョン出入口前の『拠点きょてんいしずえ』に転移した。




 俺は『ハイドル霊廟(れいびょう)』前の広場のテントに待機している、トネリブァに怒鳴った、「逃げろ!トネ!!神殿に逃げろ!!!」


 トネリブァは、『ハイドル霊廟(れいびょう)』からき上がる禍々(まがまが)しい瘴気しょうきに異変が起きた事を知り、ぐに商人組合のカードで神殿に転移した!


 俺達も神殿に転移しようとした時、メリーが俺の腕をつかみ大声で、


「レイ!!何故なぜやつころさない!!やつ殺人鬼さつじんき犯罪者はんざいしゃだ!!冒険者はやつころ義務ぎむはずだ!!皆でればアイツに勝てた!!!」、俺に対して怒鳴った。


 バシッ!!!


 えっ?


 頬を叩く音?マリー!


「いい加減にしなさい!メリー!、相手の強さが分かる御主人様が撤退したとう事は、私達全員が相手をしても勝てない相手!!」


 メリーはたたかれたほおを右手で押さえながら、うつむいていた。


 エリーも、「メリーさん、私も御主人様の判断は正しかったと思います。」


 場に静寂が流れ、


 メリーの瞳から涙が溢れ、


 彼女は俺達に自分の過去を語り出した、


「奴は!十年前、私と私の友達を誘拐したんだ!」


 メリーはひとみを固く閉じ涙はとどまること無く流れ落ち、手は固く握りしめ、


「そして私の友達を実験の為に殺し、私は、親父がやつに自分の研究を引き渡す事で命が救われた!!」


 えっ!ちょっとまて!メリー・・・お前え!!


やつを、やつを、冒険者で神殿勇者のレオが殺した時、もし私達がさらわれたあの時、錬金術師にも冒険者がいたら、その冒険者が私達を助けてくれたかもしれない、そして友達も死ななかったかもしれない!」


 メリー!


「ずうっとそう思い続けてきた、だから、私は強くなりたかった!強くなって冒険者になって、皆を助ける事が出来る冒険者に成りたかった!!」


 メリー!!お前が『武装錬金』の達人だったのは、それが理由なのか!!


 それが、お前が冒険者に成る事にこだわった理由なのか!!


 なんてこった!!!


 マリーがメリーを優しく抱き締め、エリーもメリーの固く握りしめた手に両手を重ねた。


 俺はメリーに何も言えず、ただ一言ひとこと


「転移」とつぶやき、


 俺達は神殿の奥の殿(おくのでん)前室ぜんしつに転移した。


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