俺、地下ダンジョンに行く
中はやはり荒れ果ていて、メリーさんはホールから奥の部屋にある地下に続く階段を降り、
地下には小さな部屋があって、その部屋には壊れた書棚と破れて何が書いてあるか分からない書籍が散乱していた。
メリーさんはそれらを見向きもせず奥にある1メータ四角の木箱に近づき、彼女は魔導籠手でその木箱を破壊した。
ガシャン
破壊された木箱の下にはやはり1メータ真四角の木の蓋があり、
「此の蓋を退かせば、研究室に続く階段が有るわ。」と言いながら、メリーさんは蓋を動かした。
木の蓋を動かすと1メータ真四角の穴があり、その穴の片側には下に続く梯子が取り付けられていて、メリーさんは黙って梯子に手を掛け下に降りて行った。
俺達も慌てて後に続いて梯子を降りて行った。
3メータ位降りた梯子の到着点は8畳程のホールに成っていて、そのホールの正面には更に降りる階段があった、ホールの壁面は薄く光っていた。
ゴトン
「何だ!」、上から何かが動く音が聞こえ、
「大丈夫、錬金術の仕掛で、私達が此処に立つと自動で穴を塞ぐ為に木箱と木の蓋が作られるのよ。」
「出られるのか?」
「壊せば良いじゃない、木の箱よ。」
そう言って彼女は階段を一人先に降りて行った、
階段は、踊り場のある行って来い形式の回り階段で、3階回って10メータ位降りた後、
高さ6メータ、巾3メータの自然の鍾乳洞のような、床、壁は湧水で塗れている通路に出た、
メリーさんは俺達に、「此処からは、人工魔物が出るから、注意してね。」と一言言った後、先に歩き始めた、
俺達は、メリーさんの後ろに続くがはっきり言って何もする事は無かった、
彼女の『武装錬金』の腕は凄まじかった、
飛び掛かって来る、人工狼を地を這う錬成物質の波『錬金波動』で蹴散らし、人工小鬼に囲まれると、錬成物質の罠球、『錬金罠球』を発動して奴等を撥ね飛ばした後、止めに大地から瞬間に立ち上がる錬成物質の柱、『錬成破壊柱』で錬成物質を大量に付着させた後、『錬成爆破』でその錬成物質を大爆破させ、奴等を完全に消し炭にした、
ウォーリアのマリーさんは、人工魔物目玉にウォーリアのスキル、『突き上げ斬り』で次次と串刺しにしていた、
俺はと言えばファイターのスキル、『弐段突き』を人工魔物目玉に発動するも、
素早く剣を水平に突き、直後に引き抜く二段攻撃を放つスキル、しかし、
スカッ、スカッ、スカッ
『弐段突き』は当たらなかった、
俺はとても下手だった!
メリーさんは呆れながら、「何してるのよ!あんた、」
マリーさんは嬉しそうに、「その下手さこそが、御主人様!」
マリーさん、それ誉め言葉じゃないから、
そんなやり取りをしながら、俺達は洞窟の先を進み、
天井から降り注ぐ大滝から飛び散る水飛沫がかかり服が濡れて透けると、
メリーさんは、「ちょっと、あんた!何じろじろと見てるのよ!」
「イヤァ、ボッキュンバンですねぇ。」
「すっ、すっ、このどスケベぇ!!」
マリーさんは、「見て、見て、エロっぽいですよぅ、御主人様。」
と楽しい?会話をしながら俺達は更に先に進んだ、
そして俺達は研究室の前の講堂にたどり着いた、
そこには二体の身長3メータは有る全身が黒い鎧に包まれ、手には黒い5メータの大剣が2本、胸と背と頭に赤と白の炎が燃えていた。
俺は怒鳴った、「ちょっと待った!!!」
メリーは、「どうしたの?」
「聞いてないぞメリー!何だ!あの化物は!」
メリーは甲冑の化物を見ながら、「護衛錬金人形じゃない、あれがどうかしたの?」
「あれは、レベルが60ある!俺達では無理だ!」
メリーは不思議そうに、「レベル?何それ、」
「俺だけが見える強さの指標だ!」
「へぇ、変わっているのね、でっ、私は一体幾つなの、」
俺は脂汗を流しながら、「君は、・・・70だ!」
メリーはちょっと目を細めて、「ふうーん、じゃ、問題無いんじゃない、私が相手をするわ、」
メリーは俺にそう告げると俺達に背を向けて、護衛錬金人形に向かった!
マリーは心配して、「どうします、御主人様、」
俺は考えて、「マリー、ジョブチェンジだ、ジョブはエレメントアーチャー!奴等の弱点を見付けよう。」
「分かった!」
俺はカードから魔導弓クリフォプロセウケーを取り出して、マリーさんに渡した。
エレメントアーチャーの放つ『癒し魔矢』は本来は着弾地点に体力回復効果のある魔法球を設置する魔法矢だが、
魔物に向ければ自動で弱点に追尾し、着弾するとコアと呼ばれる魔物の弱点が光輝き、そのコアの光の色と一致する属性の攻撃を行うとその魔物に多大なダメージを加える事が出来る、
『コア出し』と呼ばれる、エレメントアーチャーの最も基本的な技の一つだ。
実際メリーは強かった!
『錬金疾風』で素早く護衛錬金人形との間合いを詰め、護衛錬金人形の弱点に錬成杭を打ち込み、
護衛錬金人形が前進しながら右の大剣、左の大剣で大きく斬りつけると『錬成回避』で錬成物質を生みつつ、素早く後方に身を逸らし錬成物質に大剣の攻撃が接触すると大爆発が起こり、
マリーが『癒し魔矢』で護衛錬金人形の『コア出し』をすると、
その意味を理解しているメリーは、主要5属性を纏った錬成式で作られた光球を地面から生成し空中に配置する、『属性付与球』で魔導籠手に弱点属性を付与し、
メリーは護衛錬金人形の隙を見てその背に上り、背中にある弱点の『コア』にたどり着くと、その『コア』に錬金錬成杭を錬成し止めに、錬成物質を『錬金大爆破』で大爆発を誘導し、1体の護衛錬金人形が塵となって消えた。
メリーさんは1時間掛けて2体の護衛錬金人形を塵に返すと、
疲れた体を引きずるように急いでその研究室の扉を開けた、
其処には、散乱した書棚、ボロ屑のような書籍、複数の手術台のようなベッド、薬品や、何かの壊れた実験器具が所狭しと置かれていたが、
人っ子一人いなかった。
メリーの顔色は蒼白になり、その表情は絶望、
彼女が絞り出した一言は、「・・・遅かった!」
俺は思もった、何が?




