俺、メルコダに行く
俺は直ぐに酒場の隣のバザーで『金のインゴット』を相場が一本1万Gだったので全額、Gに変えると、その場で俺のカードに80万Gが入った、もちろん組合の手数料は指命依頼の場合、依頼者が先に払っている。
そして次の日、俺達は朝一番で『ビショップの郷』の礎に転移すると既にメリー嬢は来ていた、彼女はメルコダで購入出来る防具と武器を装備していた。
頭防具はサブライムヘルム、胴アーマはサブライムクロス、腕防具はサブライムアーム、脚アーマはサブライムグリーブ、そして武器は魔導籠手ホネスタティス、
俺は彼女に、「へぇ、武装錬金が使えるんだ、」と彼女に聞き、
「ちょっと嗜む程度よ。」
『武装錬金』それは錬金術師達が編み出した武術、魔導籠手から生成される錬金物質を相手に付着させ、付着して作成された錬金杭を一気に爆破させて相手に多大なダメージを与える武術、
役職は派手な攻撃と立ち回りで敵の注意を引くためタンクだが、防御する武器、盾等持たない為基本は回避技術を最も要求する高度なジョブだ。
勿論俺は錬金術師のジョブに就いて、『武装錬金』を使用する事は出来る、だが回避が下手なので、結局、魔物にぼこぼこにされて、薬ガブガブだから、メインとしては錬金術師には成らない。
「では、行きましょ!」
メリーさんと俺達は寺院の奥にある初代宗主の像がある場所にいる、現宗主コルトミュの処に向かい、横で冒険者仲介担当のジュリエッタさんが、「普通は予約が必要なんですよ!」と何度も繰り返していた。
メリーさんは相当、ジュリエッタさんに無理を言ったようだ。
三年経っても、コルトミュは変わらなかった、彼はメリーさんが急いでいるのを知っているので無駄口を叩かず、只事務的に、
「では、初めよう。」
コルトミュは、ボケットから小さな水晶玉を左手で取りだし、
「汝ら、三人は、何時如何なる時もお互いが、冒険者として助け合う事を誓うか!」
メリーは直ぐに、「誓います。」
マリーが静かに言った、「誓います。」
俺も真似して、「誓います。」
コルトミュの左手の水晶が薄く光り始め、
「では、マリー殿、レイ殿、お二人の指輪を外して私の右手に乗せた後、レイ殿はカードをこの水晶にかざしなさい。」
俺とマリーさんは指輪を外し、コルトミュの右手に乗せた。
俺はカードを水晶に翳し80万Gが消えるのを確認し、
コルトミュの右手から二つの指輪が消え、新たに三つの指輪が現れた。
「これは、貴重なルーンの結晶、七個を使い造られた、冒険者と一般人を結び付ける、『結びの指輪』だ。レイ殿は、マリー嬢のとメリー嬢の左薬指に、今回はメリー嬢は初めてなので、レイ殿の左薬指にはメリー嬢が填めてあげなさい。」
俺達は其其の薬指に指輪を填めると、
俺達は二回目なので何が起こるか知っていたので驚かなかったが、メリーさんは初めてなので自分の変化に驚いた。
メリー嬢の回りに光が集まり、光のなかでメリー嬢は呆然として立ち竦んでいた。
その時初めて、俺はメリー嬢が凄く美人で俺好みの人である事に気が付いた。
やがて、俺の目に彼女の生命力と体力のバーがうっすらと見え始め、そして彼女のレベルが表示された時、俺もマリーさんも愕然とした、
彼女の錬金術師のレベルは70を越えていた!
彼女は『武装錬金』の達人だった。
普通の人が剣の達人だった場合、冒険者のレベルと比べると20位が限界だが、冒険者に成ればその限界を越える事が出来、達人者は達人に成れば成る程、そのままその力量が冒険者の強さに反映する、つまり俺だけが見えるレベルと言う概念に反映する。
彼女は俺の方を見て、「へぇ、そうゆう事、貴方、複数仕事人だったんだ、」
「複数仕事人?」
「時々そうゆう人が現れるのよ、」
マリーも確か、この世界の人は一仕事人しかいないと言っていたし、複数仕事人は『覚者』と呼ばれている特別な存在だと俺に言った、
やはり、この世界には俺以外の転成者がいるのか?
「君は、俺以外の『覚者』を知っているのか!」
「『覚者』?ふーんそう呼ばれているんだ、もちろん知ってるわよ、但し、貴方のように九つの仕事人は初めて、」
「もっと詳しく聞かせてくれ!」
彼女は俺を暫く見た後、
「良いわよ、但し、私の依頼の仕事が終わったら、良いわね。」
「分かった!」
「じゃ、行きましょ!」
俺達はコルトミュに挨拶をして、『ビショップの郷』の礎から黄金の浮遊大陸『メルコダ』に向かった。
俺達はメリーの黄金のカードの高度な機能により、メルコダの王宮にある『拠点の礎』に転移した、
礎はメルコダの錬金術師が各地に作った拠点を移動する為のゲートであり、また魔物の侵略を防ぐための白龍様の霊力を使った結界発生装置でもある、だから、『龍の礎』と呼ばれ、ラストニアの村、町には必ずある。
それとは別に『龍の礎』の結界機能を無くし、移動も到着するだけに機能を絞った、『拠点の礎』と呼ばれる礎が各地に沢山ある、
俺達が転移した王宮の礎も『拠点の礎』だ、
王宮はかってゴールドウエィ王の住居だったが反逆を起こした時、数多の冒険者と神殿騎士団に占拠されて、荒らされたままだった、
その広さはゲームと違い広大で、少なくとも東京ドーム十個以上は有りそうだった。
其処には破壊されて動かない錬金術師達が作った人工巨人魔物と主人を失って未だにさ迷っている人工巨人魔物がいた、
メリーさんは俺達に注意し、「あの『ゴリアテ』は、黄金のカードを持って無いと襲って来るから、私から余り離れないで、って近寄りすぎ!何すり寄ってんのよ!!」
「イヤァ、此処で一番弱いの俺だから、怖くて、」
「巫山戯ないでよ!あんた冒険者でしょ!何言ってんのよ!」とメリーさんは切れ気味で、
マリーさんはじと目で、「御主人様、態とですね。」
歩く事十分以上、「あっ!」、「きゃっ!」、「止めろ変態!」等の楽しい?会話をしながら組石造の住居郡を抜け、王宮の端にある空き家に見える一件の石造りの平屋の前で立ち止まり、
「此処よ、」とメリーさんは言って、
彼女はその空き家の玄関戸を開いて中に入っていった。
俺達も急いで彼女の後を追った。