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ドラゴンズ&ドラゴン  作者: H氏
始まりの大地編
15/39

俺、泣く

平原は、夕日で赤く染まり、



俺の体には、数百の斧が、全身は、血で赤く染め、立つことかなわず、大杖にすがり付きながら、意識を失なうことに、必至で抵抗していた、



生命力のバーは、レッドゾーンとなり、



マリーは、泣いていた、俺に近づこうと、俺に魔矢を打とうと、俺の名を叫びながら!



俺の前に、皇帝ドルゾックが立ち、言った、



『ゴミガァァ!!!』



「五秒、」 俺は呟き、数えた、


詠唱開始、



皇帝ドルゾックが手を上げ、



「四秒、」 俺の回りに、魔方陣が浮かび、


目は、表示されるスペルを高速で追い、



皇帝ドルゾックが手を振り下ろし、


最後のゴブリンの首が飛ぶ、



「三秒、」 俺の体は浮かび、


より早く、より超速に、



平原に、最後の結界の割れる大音響が、


木霊し、



「二秒、」 俺の体が、赤く輝き、


より正確に、より確実に、



皇帝ドルゾックが、大剣を片手に持ち、


その大剣を、天にかざし、



「一秒、」 天が割れ、


あと、少し、



皇帝ドルゾックが、俺に、


大剣を振り下ろす、


その瞬間、



「ゼロ、」


詠唱完了



天は、数多の隕石で埋め尽くされ、


大地は、破壊と業火で被い尽くされた。



幾多の、オークが空に舞い、チリとなり!


業煙の中を、いまだ健在の皇帝は両腕に大剣を持ち、吼える、


『ヴゥアカァガァァァァァァ!!!!』



ガキィィィィィィィィィィンンン!!!


平原に響き渡るシステム音!!!



『対価承認!』



『1001サーバー移動』



『エクストリームミッション開始』


二十分のタイムカウントが開始され、



平原は、蒼白に発光し、三万を超す、D&Dのユーザに埋め尽くされた!!!



そうきたか、白龍様よ、



『ヴゥアカァナァァァァァ!!!!』


皇帝ドルゾックが、叫ぶ!!!



俺は、ゆっくりと、立ち上がり、


「エクストリームミッション!」



大声で叫ぶ!


「緊急要請!!オークの軍団を殲滅せよ!!!」



小さな声で呟く、


「報酬は、俺の、感謝の気持ち、」



DONどおんのユーザは、ゲーマーだ、この情況で、自分が何をしなければいけないか、分からない者は、いない!


そして、彼等は、すぐに、行動を起こした!!


数百人のトッププレーヤーは、何千のオークを蹴散らし、!!!



平原に巨大隕石が、爆雷が、業火が荒れ狂い、



何百人のソーサラーが、大魔法で何万のオークを壊滅させた!!!



大巨竜ベヘモットが、巨人サイクロプスがチリと消え、



傷つき、今にも、死にそうな俺に、数百の『癒し魔矢』が打たれ、


多くのプリーストが、俺に、『ヒーリングスポット』を掛けては、走り去り、


俺の、命のバーは、ゆっくりと、本当にゆっくりと回復していった。


たぶん、俺は、その時、泣いていたと思う。



ボロボロのレオが、血だらけ泥だらけのガルダリンが、泣き顔でくしゃくしゃのマリーが、俺に駆け寄って来た。


マリーは、俺にしがみついて、大声で泣いた。


レオが、イケメン顔で、俺に聞いた。


「レイ、これが、・・君の命を賭けた・・対価の結果なんだな、」


「・・・そうかもな。」


俺が、白龍に望んだ願いは、ただ、助けて欲しい、それだけだった。


一人でも多く、助けて欲しい、そう願った。


「レイ、彼等は一体、・・何者なんだ?」


「・・・俺の、ダチだ」


そうだ、彼等は、DONどおんと言う一つのゲームを通じて、分かりあえるフレンド、友達であり、


この世界が期待する、『真なる覚者』とは、彼等のことかもしれない。


二十分が過ぎ、彼等は、徐々に薄くなり、やがて消え、



薄闇に包まれたハイドル平原の水平線に、日は落ちようとしていた。


平原に、立つ魔物は、ただ一体、皇帝ドルゾック、


奴の、生命のバーは、ほとんど消えかかっていた。


レオが、剣に手を掛けようとした時、俺は、彼を制止し、自ら前に出た。


そうだ、俺は、死にかけた強敵に止めを刺すことが、大好きな、生粋の卑怯者だ、



『ヌゥワァゼダァァァァァァァァ!!!!!』


皇帝ドルゾックが、天に叫ぶ!


さあ、何故かな、俺にもわからん、



決着を付ける、スキルはただ一つ、『一閃突き』俺にはそれしか無い!



俺は大地を蹴り、ドルゾックは、大剣を右斜めに振り上げ、



交差した瞬間!



大地に日は沈み、皇帝はチリとなった。




・・・・彼の手記で、今、公表できるのは、ここまで、この後の彼は、DONどおんと似たその世界で、マリーさんとうまくやっているようであり、彼の冒険はまだまだ続く、


私から、捕捉することは、『1001番サーバーのバグ事件』のことだろう。


当時、DONどおんは10周年のリアルタイムイベントで盛り上がり、千人が同時接続できる60台のサーバーの半数が、混雑状態だった。


その時、私も、一ユーザとして、この祭りを楽しんでいたが、


祭りが、抽選会で最高潮に達した時、それは起こった。


「カキーン」とシステム音が鳴り、


バーナーがポップアップした、


「エクストリームミッション」


画面は、ブラックアウトして、


「1001番サーバー移動」と表示された、


この時点では、まだ、誰しもが運営の隠しイベントだと思っていた。


画面が切り替えわった時、私は、愕然とした。


広大な平原を、埋め尽くすオークの軍団、遠くに、血だらけのNPC、その前を、巨大なオーク、彼の生命バーは、レッドゾーンだった。


彼が叫ぶ声が、スピーカーから聞こえた、


「緊急要請!!オークの軍団を殲滅せよ!!!」と、


イベントの開始だ、画面にはタイムカウンタが表示され、


オークの討伐が始まった。



そして、膨大な生命力をもった、巨大オークだけが残って、タイムアップを向かえたことを覚えている。


もちろん、報酬は何もなく、


この事件に対して、運営は、知らないの一点張りで、一部のユーザと揉めたが、


結局、ネットの大多数の意見は、運営が、密かに、用意している、MMO、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンラインにバグって、つながった。


そう言うことで終わった。



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