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聖女様は貧乏性  作者: ぶらっくたいがー
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第8話 王様出現

王様はまともな人にしておきました。

うー、歩きにくい…

着慣れないドレス、履きなれない靴

ものすごく歩きにくいんですけど、こけたらどうしよう。

あの後、着替えが終わったら王子様が迎えに来た。

確か、ランスロット王子だっけ?まあ、王子でいいや。


「ミツキ様、なんとお美しい、

本日、貴方をエスコートさせて頂くことを光栄に思います。」


うん、お世辞ってわかるけど、けなされるよりはいいよね。

そうそう、王子って護衛をつけてきたんだけど、その人がすごく弱いの。

なんかね、その護衛の人は私に不満があるらしくて突っかかってきたんだけど。


「ふん…まだ私はお前をみとめ「わふぅ!」ぐほぁ!?」


けるちゃんが護衛の人の肩に乗っかって、

ぱちんと頬に肉球ぷにぷにぱんちをお見舞いしただけでで

壁にめり込んでノックアウトされてるんだよね。


子犬のじゃれつきで気絶するなんて、ちょっと貧弱すぎないかな。

ううん、けるちゃんの肉球ぷにぷにぱんちなら

ノックアウトされるかもしれない。私もされたい。


「この子犬は…?」


王子が尋ねてくる。


「けるちゃんです。私の護衛です。」

「子犬に見えて、この圧倒的な強さ…さすが聖女様というべきか…」


けるちゃんは圧倒的なかわいさという戦力持ち。けるちゃんには勝てない。

そういう意味だよね?

まあ、そんなことがあったものの

王子様と手をつなぎながら、こけないように何とかがんばって歩いていくと、

着きました、玉座の間。

両開きの巨大な扉が目の前にある。

扉の大きさがおかしいよね、いったい何を入れるつもりの扉なの?


「聖女様がお見えになられました。」


巨大な扉がギギギと音を立てて開いていく。

開いた扉から中を覗くと、部屋の中には多くの人がいた。

まあ、あの中央の奥の大きな椅子に座っている人が王様なんだろう。

王子にエスコートされながら、王様のほうに向かっていくと

王様は立ち上がり、自ら私のほうへと向かってきた。


「聖女様、我々フェルタニア王国一同は貴方を歓迎いたします。」


王様は私の手を取りながらそのように言った。

近くで見るとナイスミドルという感じの容貌だ。


「私はフェリタニア王国国王の

 アーサー・ペンデュラム・フェルタニアと申す者、以後お見知りおきを」


なんか、王様からはちゃんと歓迎されているっぽい?


「あ、はい、私は茜坂 光姫です。

 光姫がファーストネームです。こちらこそよろしくお願いします。」


と、ぺこりとお辞儀をして挨拶をしていたところ。鎧を着た騎士の一人が。


「貴様、聖女とはいえ平民が国王様に向かって

 なんという態度だ、まずは跪くのが礼儀であろう!」


むか、そんなこと言われても、

勝手に連れてこられた国の礼儀とか知るわけないし。


「だまれ!!!!」


そんなことを思っていると国王様が大音量で騎士を一括した。

すごい肺活量だ。


「貴様はいったい何を言っている、それでも我が国の騎士か、情けない。

 聖女様は我らと違う世界からこられたのだ、

 我が国の礼儀など知らぬのは当然のこと。」


あ、王様が言いたいことを言ってくれてる。


「跪かねばならぬのは本来我々のほうだ、

 我々が行ったのは誘拐となんら代わらぬ、

 愛する家族、親しき友人、元の世界にはそのような者もいただろう。

 それらを我々の都合で、一方的に奪い、呼び出したのだ。

 我々が聖女様に跪くことがあっても、聖女様に跪くことを強要するなど、

 あってはならぬ、恥をしれ!!!」


王様が本気で怒って言っているのがわかる。


「その男をとらえよ、そして斬首に処せ」

「そ、そんな、私はそのようなつもりでは…」


えっと、斬首って、首を切るってことだよね…?

ちょっと待って、死んじゃうからそれ。やりすぎだって。


「あ、あの、王様、私は気にしていませんので、その、斬首はやりすぎなのではないかと…」


ちょっと悪口を言っただけで、死ぬとかありえない。


「ふむ…聖女様がそういうのでしたら、そうですな、

 聖女様が来られてすぐに血を流すのもよろしくないでしょう。」


ああ、よかった、ほっとした。


「聖女様、ありがとうございます、聖女様、まことに申し訳ありませんでした」


さっきの騎士さんが私に跪いて、

涙を流しながらお礼と謝罪の言葉を口にする。いいよ、もう許したからね。


「その男をここからつまみ出せ、

 聖女様が許しても、この場に置いておく訳には行かぬ」


騎士さんが連れられていく、特に抵抗もしていないようだ。


「聖女様、ご不快な思いをさせてしまいまことに申し訳ありません。」


王様が頭を下げてくる。


「えっと、もう気にしていないですし、

 それに王様が簡単に頭を下げてはいけないのではと…」

「いえ、これは我が国の騎士が貴女へ行ったことへの謝罪です、

 ならばこの国の責任者である私が頭を下げるのは当然のこと」


王様、いいひとっぽいんだけど、なんか固いよ。


「でも、王様に謝られるようなことは…」


ないわけじゃない、勝手に呼び出されたのは困る。

でも結果的に邪神様に助けてもらえて、

お母さんの病気も治り、お金も手に入る。

…あれ?お礼をいうのって私のほうじゃないの?


「父上、ミツキ様が困っておいでです。」

「む、そうか…」


王子に言われて、王様が頭をあげる。

ナイス、王子さすがに年上の人に頭を下げられっぱなしだと恐縮する。


「あの、ところで謁見ってなにをするのでしょうか?」


そう、謁見って言われても、なにをすればいいのだろう。


「貴女の力を測らせていただきたいのです、聖女様」


力を測るって、どうやって?

私、自分の力の使い方なんて知らないよ?

そう少し考えていると、


『えんちゃんの、第1回スキル講座~なのです』

『うさ~』

『わーい、どんどんどん、ぱふぱふぱふ』


何か聞こえてきた。


『聞こえていますか~?聞こえていたら右手をあげてくださいなのですよ~』


その手には乗らない!

ここでいきなり手を上げるとか、明らかに変な行動はしない!


『ちっ、なのです。』


舌打ちされた。


『それで、スキルの使い方なのですが。

 ステータスオープンと心の中で唱えるのです。』


ステータスオープン、おお、なにか目の前にメニュー画面が出てきた。


『その中の取得スキル一覧という中に入ってあるスキルが使用できるのです、

 最初から強力なスキルをいくつか付けておいたのです。』


おお、それはありがたい。


『スキルの使い方は、そのスキルの名前を言えば発動するのです、

 簡単なのです。ファイアなら「ファイア」と叫べば使えるのです。』


なるほど、それは簡単だ。


『言うだけなのです、はっきりとよどみなく

 周りの人に聞こえるように言うだけなのです。

 以上、えんちゃんの、第1回スキル講座~なのでした、またなのです~』

『うさ~』


邪神様ありがとー。

早速スキルを確認してみよう。

って、なんじゃこりゃー。


取得スキル一覧

・聖女ビーム

・聖女バリア

・聖女ヒール

・聖女キュアー

etc

※聖女らしくなるように、ほとんどのスキル名称の前に

 聖女って頭文字をつけておいたのですよby邪神えんどおぶわーるど


これ、言わなきゃだめなの?

絶対わざと名前付けたよね、邪神様。

というか、ビームって何!?


聖女ビーム

解説:聖女が放つ破滅のビームなのです。

   体の好きなところから放つことができるのです。

   目とか口から放つのがおされなのです。


説明が出てきた…

目とか口とかおされじゃないよ、どこの大魔王!?破滅って聖女のスキルじゃないような…

もうだめ、邪神様への突っ込みはあきらめよう。


「聖女様、準備が整いました」


私の心の準備はまだ整っていないんだけど!?




邪神様はいたずらっ子

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