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聖女様は貧乏性  作者: ぶらっくたいがー
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第41話 だいたい邪神様のせい

グラナキア視点2連続

「いいのですよ、その願い叶えてあげるのです」


聖女はためらうことなく俺の言葉を了承した。


「目的がそれなら最初から言え、なのです。

 ミツキお姉ちゃんも断らなかったのですよ?」


フェルタニアの聖女は慈悲深く、

まるで女神のようだという話だった。

その話を鵜呑みにしていたわけではないが

根回しをする時間もなければ、

力ずくで奪う手段も取れない

だから望みが薄いと思っていたものの、

その話にすがり、ただ懇願する以外に道はなかった。

無論拒否されるようなら、捨て身の覚悟で挑むだけだが

勝てぬのが明白な実力差がある、

ゆえに、ブラドグルズをここにつれてくるわけには行かなかった。

しかし、まさか本当に、了承してくれるとは…


「お待ちください、ミツキ様、この魔族は貴方を襲ってきた者です

 そのような者を助けるというのですか?」


こいつは…確かフェルタニアの王子、ランスロットだったか?

こいつの言い分が至極もっともなことだ。

俺は再度地面に頭をつけ懇願する


「俺の首が所望であれば差し上げます。どうかなにとぞ…」

「別に首とかいらないのです、それにボクを誰だと思っているのですか?」


聖女はびしっと人差し指を前に突きつけながら


「困っている者がいたら手を差し伸べるのです。

 魔族とか人とか関係ないのです。

 そう、ボクこそが聖女なのです!」


そして、聖女から光が放たれる。

俺が傷つけていた者の傷が一瞬で治っていく。

聖女によりつけられた俺の呪いも解除されたようだ

体全体から感じていた激痛が消えた。


「聖女様…なんというお力だ」

「それに、自分を襲ってきた魔族を許すだと…

 聖女様でなければ、なんという愚かなことだと思うはずなのに

 どうして、私の目からは涙が流れて来るのだろうか…」


なんだ…聖女の力により復活したものが次々に聖女を讃えている。

…敵を助けるなど、愚かな行為だぞ?

聖女への信仰が度が過ぎているように感じる。

なんだ?いったいどういうことなんだ?

いや、この聖女『様』であれば当然のことだな

聖女『様』はすばらしいお方だ、この程度の信仰は当然の事だろう。


…ん?

俺は聖女になにか違和感を感じていたような気がしたが

気のせいか…


「さあ、ボクを早く連れて行くのです」

「光姫、ほんとに行くの?罠かもしれないのよ?」

「聖女は助けを求める者を拒否してはいけないのです。」

「光姫…あなた…」

「そう、決して、魔王城を見たいとかそんな理由ではないのです」

「ちょっとまって、それが本音よね!?」


聖女が仲間に一通り話し終わると


「ケルちゃん、ボクがいない間みんなを守るのですよ?」

「わふ」

「それじゃあ、ボクは行くのです。」


聖女は皆に手を振り、俺と共に転移した。

気がつくと、魔王城の一室だ…

まて、俺は転移術を使っていないぞ!?

それにまったく術の痕跡など感じなかった。


「ついたのですー、じゃあ早くメイアちゃんのところに行くのです」


聖女が自分で転移してきたとでもいうのか…

そして、勝手にメイア様のところへ向かって一直線に向かっていく。

どうして場所を知っている!?

知っていた…聖女は俺の想像が及ばないレベルの化け物だということを。


「こんにちはー、なのです」


ドアの前に立っていた護衛がなぜかスルーして

メイア様がいる部屋の中に聖女が踏み込む。

いやまて、止めろよ!?

止めようともしないってどういうことだ。


「グラナキア将軍、聖女を連れて来ることはできたのですか!?」


見張りは、俺の姿を見つけると、やや興奮気味に声を掛けてくる。

メイア様のことを心配しているのだろう。


「いや、聖女ならすでにそこにいるんだが」

「え…?」


護衛の者は、やっと部屋の中に聖女がいることに気がついたようだ。

おそらくこれも聖女の力だろう。


「メイア様はご無事なのか?」

「あ…はい、魔王様の懸命な回復魔法もあり、多少症状が改善したようです。」

「そうか…」


俺は部屋の中の様子を伺う。


「お前は…聖女なのか?

 頼む、娘を、メイアの体を治して欲しい」

「その願い叶えてあげるのです。」


そして、聖女から光が放たれると

つらそうに息をしていた、メイア様の呼吸が静かになる。


「ああ、メイア…」


魔王様が涙を流しながらメイア様の手を握っている。


「ボクを信仰するなら、他の人の同じ病気も治してあげるのです」


まさか、他のものも治してくれるというのか

しかし、信仰とはどういうことだ…?

その言葉を聞き魔王様は


「分かりました、我ら魔族一同、聖女様を信仰いたしましょう」

「…ちょっと待つのです、やっぱり魔族が聖女を信仰するのはおかしいのです」

「…ではどうすれば?」

「なのでボクはこれから聖女ではなく…」


「大魔王になるのです!」


これが大魔王様が誕生した瞬間であった。


邪神様はめんどくさがりなので、目的のために手段を選んでいません。

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