第33話 閑話 魔将軍の目的
ちょっと短め
変な服の人の話、前話で第一章終了的な感じなのでしばらく閑話続きです。
あれ?コメディ成分がないよ?
変な服の人の登場回は9話、10話です。
「う…俺は…生きているのか?」
魔将軍グラナキアはどことも知れぬ、木々に囲まれた場所で目を覚ました。
----グラナキアがフェルタニアに発つ少し前----
「グラお兄ちゃん、フェルタニアに行くの?」
我が仕える主が一人娘のメイア様が、俺に心配そうに声をかけてくる。
「ええ、任務で…なんでもフェルタニアに聖女が召喚されたらしく、その偵察に行ってまいります。」
「大丈夫、無理しないでね」
「ははは、私はこう見えても、この国で魔王様の次に強いので、
人間ごときに遅れを取ることはありませんよ」
俺は心配そうにしているメイア様をできるだけ心配させないように笑う
「グラお兄ちゃんが強いのは知ってるけど…」
「それに聖女といえば、強い浄化の力を持っていると聞きます。
我が国につれて帰ることができれば、救われる民も大勢いるでしょう。」
今、我が魔王国ゼンドランには体内に瘴気の塊『瘴石』ができる瘴石病と
呼ばれているものが蔓延している。
体内にできた瘴石は魔石では取り除くことが出来ず
浄化の祈りをかけることで、進行を遅らせることができる程度だ。
いずれ、必ず死にいたる。
そして、この病気は我ら魔族にしか罹る事はない。
また、魔族には極端に浄化の祈りを使える者が産まれない、
俺が直接知っている限りでは、目の前にいるメイア様だけだ。
なので、必然的に人間族との協力が必要になってくるが
我ら魔族と人間族との仲はそれほど良くないどころか
お互いに敵視しあっている現状だ。
そんなことをしている場合ではないのだが…
「けほっ、けほっ」
「っ!?大丈夫ですか、メイア様!?」
メイア様が咳き込む。
「大丈夫だよ、いつもの事だから、それよりお祈りに行かないとね」
メイア様の浄化の祈りの力は強い。
メイア様の祈りを受ければ、瘴石病の進行はその日は完全に止まる。
それも、複数人に同時にかけることができる。
俺に言わせれば、メイア様こそが本物の聖女様で、
フェルタニアの聖女など紛い物にすぎない。
我が国の民も、メイア様を信奉している者が非常に多いのだ。
だが、それでも、俺には、俺達にはフェルタニアの聖女が必要な理由がある。
メイア様も瘴石病に罹っており、
そして、メイア様の浄化の祈りは、ご自身には効果が無いのだ。
魔王様はメイア様の延命のために動いており、他の事ができる状況ではない。
我が使える主の、魔王ルキフェウス様、
そして、今は亡き我が生涯の恩人たる王妃シルフィア様に
必ずフェルタニアの聖女を連れて帰り、
メイア様のお体を治してみせると誓い、
俺は魔王国ゼンドランを発った。
次話も続きます。




