第1話 異世界へ
投稿2回目、相変わらず、投稿方法があっているのか心配です。
そして、サブタイトルを決めてなかったので適当です・・・
「姉ちゃん、お弁当できたよ」
「うん、ありがとー、いってきまーす」
悠里からお弁当を受け取り、私はバイトに出かける。
お父さんがいなくなって1年がたった。
頼れる親戚もおらず、貯金もそれほどないため
私は高校をやめて、家計を稼ぐためバイトを始めた。
悠里も朝は新聞配達をするようになった。
中学を卒業したら働くと言っていたがそれは止めている。
「いい悠里?男の子はね、一流の大学を出て、
一流の会社に入ってお金をいっぱい稼ぐように
努力しないといけないの、それが義務なんだからね、めざせ年収1000万。」
そんな義務はないのだけど、さすがに中卒だと就職先も限られてくるし、
家計が原因で悠里の将来を閉ざしたくない。
母さんも働くと言い出したが、体の弱い母さんを働かせるわけにはいかない。
倒れるのが目に見えている。
「かぐやもはたらいて、おかねをかせぐの!」
輝夜も働くと言いはじめたが、さすがに小学生が働ける場所はない。
輝夜はものすごくかわいいし、
頭もすごくいいので芸能界で子役として働けるかもしれない。
でも、お金を稼ぐために小学生の輝夜に働かせるなんて、
そんなことお姉ちゃんであるこの私が許すはずがない。
だから…私が働くしかない。
「お疲れ様でしたー」
今日の最後のバイトであるスーパーのレジ打ちのバイトが終わった。
「光姫ちゃんお疲れ様、これが今月の給料だよ。」
店長がバイト代を手渡ししてくれる。
私はその場で中身に間違いがないか確認を行う。
お金の確認は大事です。
明細と差異がないことを確認していると
「ああ、それから今日はこれを持って帰っていいよ」
売れ残りのお惣菜等だ。
「店長、いつもありがとうございます。」
売れ残りが出るのは店としてはあまりよろしくないのだろうけど
前に売れ残りを持って帰りたいと店長にお願いしたら
「いいよ、どうせこの後捨てるものだしね、
好きなだけ持っていっていいよ、でも賞味期限は気をつけてね」
と、気にしないで持って帰ってかまわないと笑顔で言ってくれた。
だから、ここのバイトが大好きです。
時計の針は午後11時を指している。
(輝夜はもう寝たかな?母さんと悠里は私が帰るまで起きてるんだろうな。)
自宅への帰り道、そんなことを考えていた。
信号待ちで足を止めてふと夜空を見上げると、
今日は満月だったはずなのに月が欠けていた。
(そういえば、今日って月蝕だったかな、ニュースでやっていた気がする。)
少しの間夜空を見上げていると、完全に月が隠れた。
(いけない、何をやってるんだろう、早く帰らないと心配をかけちゃう)
我に返り、自宅へ向けて歩き出そうとしたそのときだった。
突然足元が光り始めた。
「え?なにこれ…?」
光が消え去ったとき、その場所には誰もいなかった。
「聖女様だ、聖女様の召喚がなされたぞ!」
光に包まれている中、私に聞こえてきたのはそんな声だった。
光が収まり、辺りを見渡すとそこは私の見知らぬ場所だった。
なんだろう、テレビでしか見たことのないお城や宮殿の中のような場所だ。
天井には煌びやかなシャンデリア、壁には大きな絵画がかけられており、
足元は大理石に文様のようなものが刻まれている。
そして、見知らぬ見たことのない服装に身を包んだ人たちに囲まれていた。
髪の色、目の色、顔立ちからして日本人とは思えない。
中には鎧を着ている人もいて、でも流暢に日本語を話している。
それが私を余計に混乱させていた。
「あの…ここはどこですか?」
おそるおそる尋ねてみると、金髪碧眼の王子様って感じの
容姿の整った男の人が私の前に進み出てきた。
「ここはフェルタニア王国です。ようこそ召喚に応じてくださいました聖女様。
我々フェルタニア王国一同はあなたを歓迎します。」
フェルタニア王国?聖女?なにそれどういうこと?
「申し遅れました、私はフェルタニア王国第一王子、
ランスロット・エルトザール・フェルタニアと申します。」
王子様っぽいとか思ってたら本当に王子様だったー、ってどういうことなの?
混乱している私の前に、にこりとやさしそうな笑顔を浮かべながら王子様がひざまづく
「聖女様、あなたのお名前をお教えいただける栄誉を私にいただけないでしょうか?」
「え…?あ、はい、私は茜坂光姫です。光姫がファーストネームです。」
さっきから言われている聖女ってなんだろう…?私のことを指してるようだけど。
「ミツキ様」
私の名前を呼び、王子様は私の手を取り甲に口付けをする。
って、なにしてるのー!?
「どうか、フェルタニア王国を、我々の世界をお救いください」
王子が説明するところによると
この世界は徐々に瘴気というものに侵され、
生物の生きることのできない地が増えていっているという。
その瘴気を浄化できるのは聖女だけであり、聖女は異世界からの召喚でのみ現れる。
その召喚で聖女として呼び出されたのが私ということだそうだ。
私がこの世界が異世界であることをにわかには信じられずにいると
この世界が異世界であるという証明に、シルフという小さな妖精をつれて来た。
羽の生えた30cmくらいの少女の姿をした妖精だ。
確かに、この妖精は地球にはいないだろう。
私を呼び出した経緯は大体わかったし、ここが異世界であることも納得した。
でも、私が気になっているのはそこじゃない。
「あの、ところで私は元の世界に戻れるのでしょうか?」
今、私が一番気になっているところだ。
聖女になって人助け?そのお礼でお金がもらえるなら何の問題もない。
世界を救うとか大それたことは思わないけど、
人助けをしてお金がもらえるなら、なんてすばらしいことなんだろう。
けど、問題なのはそこじゃない、いくらお金があったって
お母さんが、悠里が、輝夜が、
大切な家族がいない世界でお金持ちになったって意味がない。
私のその質問に王子は沈痛な面持ちで答えた。
「申し訳ありません、我々にはミツキ様を元の世界に戻す術はありません」
戻れないの?もう二度と家族に会うことはできないの?
どうして?お母さんは働ける体じゃないんだよ
悠里はまだ中学生で、輝夜にいたってはまだ小学生なんだよ。
いま、私がいなくなったら残った家族はどうなるの…?
そこから先のことはよく覚えていない
泣きじゃくった私は侍女に連れられ寝室に案内されたようだ。
寝室に入っても、私は泣いていた。
『我々の世界をお救いください』
別に救うのはかまわない、私の手で助かる人がいるというのなら喜んで手を貸す。
けど、それは私が、私の家族が犠牲にならないという前提の話だ。
私にとって一番大事なのは家族がそろって幸せになることだ。
よく知らない世界を、他人を救うことじゃない。
この世界が、私の家族が犠牲にならなければ救えない世界だというのなら
滅んでしまえ、こんな世界
主人公の言う、家族の中にお父さんが出てこない件
お父さん「(´;ω;`)ブワッ 」