第10話 真犯人は聖女様
10話ー
山が爆発した。
どどどどど、どうしよう。
邪神様、こんなに威力があるとか聞いてないよ。
変な服の人に当たってたら死んでたよ。
というか、城下町とかに当たってたら大災害…?
危うく大量殺人?怖っ!?
「な、なんという威力だ…これが聖女の力、化け物か」
驚かれてる、うん、死にそうになったんだし当たり前か。
私も驚いてる、このスキルは封印しよう。
「今の攻撃もわざと外した…?くっ、俺ごときいつでも殺せるといいたいのか」
わざとじゃないんですけど、ほんとに外れてよかった。
私はごまかすように、にこりと笑みを浮かべる。
ごまかされてくれないかな?
「だが、俺とて引くわけには行かぬ、
たとえどれほど圧倒的な力の差があったとしても、
この俺の命に代えてお前は連れてかえる!」
命に代えてもとか、重いなあ。
「メイア様のために、うおおおおおおおお!!!!!!」
叫び声を上げ、素手で私に向かってくる変な服の人。
ちょっと怖い。近づかれたくない。あ、そうだ。
(聖女バリアー)
バリアーを使ってみた。これで大丈夫なはず。
バチン
変な服の人がバリアーに触れると、轟音とともに彼は弾き飛ばされた。
そのまま壁を突き破り、彼は星になる。きらーん。
そして、静寂が訪れた…
さて、どうしよう。
とにかく冷静になってこの状況をまとめ、今後の方針を考えよう。
1.私の攻撃で山が爆発している。
2.私の攻撃じゃないけどバリアーの反射でお城の壁が壊れている。
3.目撃者はいない。
4.変な服の人はこの場にはいない。
5.山や壁の修理代を弁償とかの話になったら払えない
以上から考えると…
変な服の人に全部責任を押し付けちゃえば問題ないよね!
『おまわりさん、この人なのです。』
邪神様、うるさいのです。だまるのです。私は必死なのです。
『ボクの口調をまねされたのです…』
邪神様って本当にボケるタイミングがあったらでてくるよね。
突っ込みを毎回するのも大変なんだよ。
「わふわふ」
けるちゃんが私の服のすそをひっぱる。
そして、扉の外を指している。
大勢の人の足音が聞こえる。
これだけ、派手な音を出していれば、そりゃ皆駆けつけてくるよね
怪我をしている人もいるし、とりあえずヒールでもかけてみようか
(聖女ヒール)
やっぱり言葉に出すのは恥ずかしいので、頭の中だけで唱えると。
倒れている人たちの体が光り輝く…
え?なにこれ?しかも私の体も何か光って…背中に光の翼のようなエフェクトが…
さらに私の上にホログラムの女神っぽい何かが光臨してる。
ちょっとほんとなにこれ、無駄なエフェクトが大量なんですけど。
「む…これはいったい、皆の傷が治っていく…
まさか、聖女様のお力なのか…おお、あれはまさか女神様!?」
王様が目を覚まし、私を見る。
他の人も目が覚め、私とその上のよく分からない女性のホログラムを凝視している。
やめて、私、背中に光の翼が生えてるような感じになっているんだよ。
すごく恥ずかしい。死にたい。
ああ、でもさっきあったことをうまくごまかさないと、借金地獄になってしまう。
私は覚悟を決め、目を閉じ、祈るような格好を取りながら。
「魔は私が退けました。」
何言ってるの私。あれ?しかもホログラムのほうから声が出てる?
「彼の者はすべてを破壊する力をもちて山すらも砕きましたが」
とりあえず、変な服の人に罪を擦り付けて…続きどうしよう。
「我が司るは魔を滅する力、その力により彼の者を退けたのです」
うん、意味がわからない。
「魔将軍グラナキア…
なんという恐ろしい敵だったのだ、山を砕くなど考えられん力だ…」
あ、罪の擦り付けに成功、王子は信用してくれたらしい。
そして、光が弱まっていく。
あ、そうだ、このときの記憶がないことにしたほうが都合がいいよね。
「だが、この少女は、この力の使い方を知らぬ、
力に目覚めるまでそなたらが守るがよい勇者たちよ」
いったい私はどこへ向かおうとしているのだろうか、
別人格的なことを考えていたんだけど。
「お待ちください、貴女はいったい何者なのですか…?」
光姫です。
「ランスロットよ、我はミツキであり、
ミツキではない存在。またいずれ会うこともあるだろう。」
いや、なんだそれ?
自分で言ってることに疑問が浮かぶ。
そして、光が消え、私はぱたりと倒れる演技をする。
その私の体を王子が支える。少し恥ずかしい。
どういうことか、けるちゃんも一緒になってぱたりと倒れた。
どうしてけるちゃんも倒れるの…?しっぽ振ってるし。
それにしても…なんだこの…
私が演技していたとはいえ、意味のわからない台詞のオンパレード。
「う…ん、王子様?」
ここからが大事だ、私は先ほどまでの記憶がないということにしなければならない。
「あの…この状況は…?あのあといったいどうなったのでしょうか?」
私は精一杯不安を感じている少女を演じる。
まあ、うそじゃない、借金地獄になるのは嫌だ。
「…覚えていらっしゃらないのですか?」
「はい、皆さんが倒れていく中、私も意識が遠くなり…その後のことは…」
本当ははっきりしてましたけどね。
「そうですか…いえ、あの魔将軍は聖女様がお退けになったのです。」
「そんな、私にそのような力などありません」
即座に否定する。疑われても困るし。あとは話を切り上げないと…!
「なるほど…本日は色々あってお疲れでしょう、
部屋まで送らせていただきますので、お休みになられてください。」
おお、王子様ナイスフォロー、それはお言葉に甘えるとしよう。
「そう…ですね、それではお言葉に甘えさせていただきます」
やっとこのドレスから開放される!
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