4月 九話
そして、放課後。とりあえず、志麻子は部室に向かった。
志麻子「こんにちはー」
羽島「おー、志麻子ちゃん、こんにちは。あー、そういや、今日部長、帰ってしまったのだけど、理由とか聞いてる?」
志麻子「大体、聞いています。大切なことのようですね」
羽島「そうか。知っているなら説明が省けて、助かるですー。今日は、直子先輩と白崎は、クラスの用事で遅れるそうですっ」
志麻子「そうですか。暇ですね」
羽島「そうだねー」
志麻子「あのー、羽島先輩、エミーリア先輩について知りたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
羽島「僕の答えられる範囲内なら、大丈夫だよー」
志麻子「ありがとうございます。エミーリア先輩の、エミーリアは、本名なんでしょうか? 明らかに嘘くさいですし、それは通称かなって」
羽島「あぁ、本名は別にあるよ。だけど、部長を本名で呼ぶと、とても怒ってくるからやめたほうがよいね。そりゃ、演劇の関係者とかは、本名で呼ぶ人もいるけど、顔がめちゃくちゃ怖くなってるし。極力、通称で呼んであげて。なんか、大切な人にしか、本名で呼ばれたくないんだってね。あー、これは知らないことにしておいてね」
志麻子「そうなんですか。それは、今日の用事の相手に関係がありますか?」
羽島「関係あるみたいだね。僕も、詳しいことは知らないけど。その人との間に何があったかは分からない」
志麻子「ありがとうございます」
がらがらっ、ドアが開いた。
直子「遅れてすみませんっ、あー、今日はエミーリアいないのか。」
白崎「遅れてすみません」
直子「これで、とりあえず全員揃ったのか。そうそう、今日はとりあえず、部長からの伝言では、志麻子ちゃんに、基礎練習を教えといて、と頼まれたのです。とりあえず、うちの部活のいつものメニューをみんなでやってみますか」
羽島「了解ですっ」
白崎「了解」
志麻子「えーっと……。はいっ」
直子「まずは、5kmのランニング、その後、発声練習。そして、軽いストレッチ。それをしてから、会議をしたりしているのです」
志麻子「体力には、自信のある方ですが、結構大変そうですね」
直子「とりあえず、喋ってないで、始めるよーっ」
一同「おーっ」
一通りのメニューが終了した。
直子「皆様、お疲れ様でした」
志麻子「ひーっ、大変でした。ここから、会議とは中々ですね」
直子「とりあえず、夏大会に向けての、演目の相談をしておいてって言われた。あー、エミーリアが適当すぎるのだよー。いきなり言われても、志麻子ちゃんとか分からないだろうし」
羽島「とりあえず、今までの大会をまとめた、映像でも見ますかー?」
直子「それは恥ずかしいから辞めてほしいが、説明の手間が省けるしな……仕方がない、見ますか」
次回「過去の演目」