4月 八話
次の日、志麻子はいつも通りに登校し、変哲もない授業を受け、いつも通りの昼休みを迎えようとしていた。部活に不意に参加してしまったが、変わることなどないのだ。世界なんて変わることなどない。平凡を積み重ねていくだけだ。いつも通り、退屈な休み時間を過ごそうとしていたら、突然、教室のドアが開いた。
エミーリア「おーいっ‼ 志麻子、いるかーっ? おおっ、いたいた」
志麻子「ちょっと、目立ち過ぎです。何ですか、話なら外で聞きます」
エミーリア「いやー、一緒にご飯食べたいなって思って」
志麻子「あぁ、そういうことですか。では、中庭で」
エミーリア「おうっ」
志麻子と、エミーリア、中庭に移動
志麻子「あのー、突然クラスに来るの辞めてください。迷惑です」
エミーリア「あぁ、すまんかった。連絡先知らなかったし」
志麻子「はぁ、まあ部活の連絡的にも不都合が生じますし、交換しましょう」
エミーリア「サンクスっ」
志麻子「そういえば、今日はどのようなご用件で呼び出したのですか?」
エミーリア「えっ、特に用なんてないけん、なんとなく志麻子に会いたかっただけじゃ」
志麻子「はぁ、部活の方々とミーティングでもするのですか?」
エミーリア「いゃ、そういう意味じゃなくてな、まずは、友達になれたらいいなって思ってじゃ」
志麻子「はぁ、でも突然話しかけてきたのは、エミーリア先輩の方ですし、順番間違ってませんか?」
エミーリア「それはすまんかった。なんか、ほっておけない、顔をしておったからな」
志麻子「そうだったのですか」
エミーリア「そうじゃな、ちょっとした相談も兼ねて来てたんじゃ」
志麻子「なんです?」
エミーリア「今日の放課後の部活なんじゃが、参加できそうになくてじゃな、他の部員には、もう連絡してあるんじゃが……。入部して、すぐに部長がいないという事態があってすまないけん」
志麻子「そうですか。すごく大切な用事なんですか?」
エミーリア「ああっ、とっても大事な用事じゃ」
志麻子「へぇ。と言うか、定期的な用事ですか?」
エミーリア「なぜ、それが分かったんじゃ?」
志麻子「なんとなくです。この様子じゃ、毎月、同じ日に何かしらしてるんじゃないかなって。お墓参りみたいな感じで、日が決まっていて、その日に特定の場所に行くみたいな」
エミーリア「と言うか、誰かに聞いたのか? いや、そんなことはないか。正解じゃ、墓参りじゃけん。新人に当てられるとは思ってもいなかった」
志麻子「そうですか。それは仕方ないですね。あっ、そろそろいい時間だ。次の授業、教室移動なんで、お先失礼します」
エミーリア「ああ、それではな。急に呼び出して悪かった」