4月 七話
部活が終わると、直子先輩は、エミーリア先輩を、捕まえ、慌てて帰っていった。私は、少し疲れていたので、羽鳥先輩の誘いを丁寧に断り、急いで家に帰ることにした。
直子「ちょっと、なんであの子を突然捕まえてきたのですか。大体、ほとんど説明もしないまま勢いで入部させただけじゃないですか」
エミーリア「まぁ、そうじゃが。そんな怒らないでおくれよ。なんとなくほっておけないタイプじゃなって思って。わしの手元においておきたかっただけじゃよ」
直子「はぁ、そうですか。過去に縛られているんじゃないんですか? 中学生の頃からエミーリアのことは知っているのでなんとなく分かるのです。もしかして、あの人に似ているとか」
エミーリア「あの人の話はあんまりしないでおくれよ。志麻子には絶対喋るなよ。というか、今回の件と、あの人は関係ないけん。それはマジじゃ」
直子「はいはい。私にも話してほしくない秘密の1つや2つはあるので、分かりましたよ。でも、その反応じゃ絶対関係ありますよね。サクラさんのこと」
エミーリア「仮に関係あったとして、直子に、関係があるわけじゃなかろう。過去は過去、
今は今じゃけん」
直子「深く問い詰めることはやめます。でも、私の気持ちも知って欲しかったから」
エミーリア「そうか」
直子「私は、少しだけ未来が予想できるんだから。悪くはないけど、大変そうだなぁって思ったから」
エミーリア「別に、そんなことは気にしてないけん。ほっておけなかっただけだから」
直子「素直じゃないのはどちらなんだか……」
羽島「なぁ、今日の新人候補生の志麻子ちゃん、すげーかわいかったな」
白崎「そうか」
羽島「部長は、どこが気に入ったのだろうね。共通点とか全然なさそうじゃん」
白崎「昔の部長に少しだけ似ている」
羽島「そうなの? えー、どこがー?」
白崎「それは教えられない」
羽島「そっかー。でも、志麻子ちゃん、すごい独特な感じするし、teatro部がもっと面白くなそうだねー」
白崎「そうだな」
志麻子は、帰宅すると、疲労からか、ベットにダイブし、Twitterのタイムラインを眺めていた。どうでもいいことばかり書き込まれていたが、適当に眺めていた。何かが生まれる前に、逃げるように寝た。