4月 六話
エミーリアは突然、携帯電話を取り出し、誰かに電話をかけ始めた。
エミーリア「もしもし。部員、全員揃いましたので、お越しくださいませ」
志麻子「誰を呼んだのですか?」
エミーリア「あぁ、この部活の顧問だよ。あんまり来ないから、用があるときだけ、電話で呼び出しているんじゃ」
志麻子「はぁ。やたら上から目線ですね。先生に対して、その態度はあまりよろしくないんじゃないですか」
エミーリア「親みたいなことをいうなぁ。お前は親かっ。そんなことは気にしなくても大丈夫じゃけん。あのひとは少し特殊だじゃけん。気にせんでもええ」
そんな会話をしていると、ドアを開ける音もなく、突然先生と思われる人が現れた。
先生「あぁ、新入生の志麻子さんですね。私、teatro部顧問の、水沢っていいます。よろしくお願いします。あー、名字で分かるように、うどん好きなんですよー。というか、実家うどん屋さんですし。
ではー、皆様頑張ってくださいー。私はここで失礼しますー」
と、言い終わると、水沢先生は姿を消した。音も立てずに。
志麻子「何だったのでしょうか……。エミーリア先輩、どういうことですか? いきなり消えたり、現れたり、特殊すぎます」
エミーリア「いやー、なんでなんじゃろうな。わしも詳しいことは知らないのじゃよ。他人のことを詮索するのはやめた方がいいけん。人には事情があるじゃろし。隠し子との1つや2つはあるけん」
志麻子「そうなんですね」
エミーリア「まぁ、顧問とも顔合わせも済んだことだし、今日の部活はこれにて終わりじゃ。あっ、志麻子は、入部届けだけ、書いておいてくれ。形式上必要じゃし。ではでは、お疲れ様じゃったの」
次回「帰路にて」