4月 二話
志麻子とエミーリアは、部室に到着した。部室のドアを開くと、目に1番最初に入ってきたのは、散らかった室内、簡素で小さな舞台セット、乱雑に置かれた小道具や、清掃道具。それに対比して、きれいに畳まれた舞台衣装があった。そして、部屋には、3人の部員がいた。その中での、少しちゃらそうで元気のある男の子が、志麻子たちに話しかけてきた。
「エミーリア先輩、お帰りなさいませー。あー、この子、新入部員ですかー?」
「エミーリア先輩、すごい扱いですね、VIP待遇というか」
「そうじゃろ〜、すごいじゃろ。わし、部長なんじゃ。あー、この子は、さっき道であった、志麻子ちゃんじゃ」
「へぇ、部長なんですか。てっ、どんな雑な紹介なんです」
「なんで、志麻子はそんなにツンデレなんじゃ。まぁ、いい。みんな、新歓するけん。志麻子が部室に来たことを祝って」
落ち着きのある、上品な人が、こんなことを話した。
「唐突なところはいつも変わらないのですね。まぁ、部長がそうおっしゃることですし、準備しますか」
最後に、むすっとした顔つきの男の子が、声を発した。
「了解です、副部長」
志麻子は、状況がよくわからず、エミーリアに話しかけた。
「今から、何が始まるのですか?」
「まぁ、説明するより、見て感じろっていうやつじゃ。それではレッツ、スタートじゃけん‼」
途端、部屋が暗くなった。小さな舞台は、闇に包まれた
「スタンバイ、セットOK」
そこで、1人の女性にスポットライトが当たった。その人は、スポットライトが当たると、話し始めた。
「ようこそ。A高校teatro部へ。エミーリア部長の唐突な行動はすみません。私、teatro副部長の、3年相沢直子っていいます。teatroは、スペイン語で演劇という意味があるのですが、当部活は別に、スペイン演劇を専門にやっている訳ではありません。あぁ、長々とすみません。人生は退屈なものかもしれません、だけど、変わりたいと思えば変われるのではないでしょうか。演劇の役者は、色々な役を演じることができます。また、それを支える、舞台監督や、照明、音響、道具、様々な仕事があります。どうでしょう、私達と一緒に輝いてみませんか?」
「いやー、さっきの副部長説明は堅苦しいよー。あ、僕は、2年の羽島健太といいます。そんなに気負わなくても、気楽に劇を楽しめばいいんじゃないかな。前座はここまでにしてー。今、照明やってる人は、僕と同級生の白崎達郎って言います。おーい、ちょっと挨拶くらいはして〜」
「よろしく。2年の白崎だ。照明と音響を専門にやっている」
「ということで、前座はこんなものにして、部長、始めましょう、みんなの舞台を」
「おぅ、始めるか。今日はお客さんもいるわけだし、腕がなるぜ。」
「ようこそ、A高校teatro部へ。今日の演目は、私の顔、じゃっ」
次回 「私の顔」という舞台