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レム・スリーピング!  作者: ニジ
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童話 夢見の眠り姫

 童話 夢見の眠り姫


 それは昔、とある小さな国がありました。

 

 その国のお城には、たくさんの猫たちに囲まれて暮らす王女様がいました。

 とてもお美しく、とてもお優しい王女様は民たちからの信頼も厚く、猫たちからも懐かれてました。

 

 そんな王女様には不思議な力がありました。夢で未来を視ることができたのです。

 

 その国で暮らす民たちは王女様から「嵐が来る夢を視た」と聞くと、育てた作物が風で倒れないように準備します。

 その国で暮らす民たちは王女様から「流行病はやりやまいの夢を視た」と聞くと、それに備えて薬を買いに走ります。


 その国で暮らす民たちは王女様の視る夢のおかげで、豊かで平和に暮らしていました。


 そんなある時、王女様に初めての子供が生まれました。お姫様の誕生です。

 民たちは祝福しました。猫たちは喜びました。

 お姫様はたくさんの愛を注がれて、それはそれは健やかに育ちました。

 よく食べ、よく遊び、よく笑う。そんな元気なお姫様を見て、王女様も幸せでした。

 

 ですが、そんな日々は永遠には続かなかったのです。


 お姫様が十二の頃、王女様は夢を視ました。

 それはお姫様が次の誕生日に死んでしまうという悲しい夢でした。

 王女様の視る夢は未来に起こる出来事なのです。

 王女様は涙しました。猫たちは悲しみました。

 我が子がこんなにも早くに死んでしまうなんて認めたくありませんでした。

 

 嵐が来ると視れば、それに向けて準備をするように。

 病が流行ると視れば、薬を買いに走るように。

 

 我が子が死ぬと視たならば、そうならない未来にすればいい。

 王女様はそう考えたのです。


 しかし、どうすればいいのかわかりませんでした。

 王女様は来る日も来る日も一人頭を抱えて悩みました。

 そこに、噂を聞きつけた魔女が現れたのです。


 魔女は言いました。

 このままでは夢の通りにお姫様は十三を迎えた時に死んでしまいます。

 ですが、この私ならばその未来を変えられるかもしれません。


 それを聞いた王女様は喜びました。

 我が子を救えるのならばどんなことでもしましょう。

 我が子の未来はどうすれば変えられるのですか。


 魔女は言いました。

 お姫様には私の魔術で眠っていただきます。

 その間、年を取ることはありません。

 次に目が覚めたとき、世界はお姫様に光り輝く未来を与えてくれることでしょう。

 

 こうしてお姫様は永い眠りへと就きました。

 いつかその身に訪れる、幸せな未来を夢に見て。


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