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わりとどうでもいい地球侵略。  作者: もじ
プロローグ
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わりとどうでもいいプロローグ

わりと1-1


 不思議な事が起きた。


 何と五年来の親友がある日突然謎の入院、何週間も面会謝絶になった。

 そいつには両親がいない。保護者はいるらしいけど……ずっと遠い親戚で、俺どころか本人すらどんな人か記憶に無いらしい。


 そんな人間が見舞いに訪れるわけない、普通に考えて。

 だから毎日病室を訪ねた。ずっと断られ続けたけど……。


 ところが、ある日……。


「容体が安定したから面会出来るわよ」


 と看護師。よっしゃー! とはしゃぐ俺。



 しかし、看護師は深妙な面持ちで……。


「でも、一つ条件」



 固まる俺。


「な、何すか?」




「お友達の現在(いま)を、受け入れてあげてね……」


 キョトンとする俺、そして……病室の扉は開かれた。




 そこには、変わり果てた……。




わりと1-2


 そいつの名前は浜中(はまなか)皐月(さつき)

 俺が小四の時にここ「小井(ちい)市」に越してきた。


 一見クールな感じだったが、付き合ってみると……何とまあ。


 スカートめくりを平気でするような悪ガキで、中学に上がるや否やいち早くエロ本拾いにせいを出し始め……その度俺のところに持って来た。


 つまり、エロい奴なんだ。


 そのせいで女子受けは悪かった。見た目いいんだから、普通にしてりゃあモテるだろうに……。


 そんな感じでエロいが彼女を作ろうとはせず、俺や何人かの男仲間でずっとワイワイやっていた。



 俺にとっては何物にも変え難い、親友だった。



 その……皐月が……。




わりと1-3


「……だれ?」



 何でこんなに可憐なんじゃああああーっ!


 いやいやいや! ありえんでしょ? だってさ、可愛い可愛くないは別にしたって……ありえんでしょ?


 皐月は男。


 ここにいるのは女。



 はい、終了。



「こらこら、さっき忠告したでしょ? 驚かない」


 俺の肩をポンポン叩きながら、諭す看護師。


 とりあえず、出来るだけ冷静を装って、看護師に問いかける。


「で、皐月はどこにいるんですか?」



 それに対し、面倒くさそうに溜息をつきながら看護師はベッドにいる髪の長い美少女を指差す。


「気持ちは分かるわ、でも事実なんだから信じてもらう他ないわね」


「……そう……ですか……」




 俺は……病室を飛び出した。





わりと1-4


 嘘だと思った。皐月は別の誰かにすり替えられたのだと。


 ただ、それの意味するもの。



 皐月は……この世にいない。


 俺にその事実を受け入れられるだろうか? 無理に決まっている。



 そんな事、するくらいなら……。


 俺はそれから、皐月の病室に通った。



 そして知った。


ー皐月は急に意識を無くした。

ー一週間生死を彷徨い、目覚めた時には女になっていた。

ーさらに、目覚める前の記憶全てを失っていた。

ー今社会復帰する為にリハビリ中。




 俄かに信じ難いことだが、それでも皐月と思しき少女が必死に記憶を取り戻そうとする様を見て……少しずつだけど……俺も前に進もうと思った。



 彼女の……皐月の力になりたいと。



 それから一週間、俺はでき得る限り皐月にいろんなことを教えた。勉強や常識的な事だけじゃない。


 俺たちの、思い出。


 元に戻らなくても……少しでも俺たちの間にあった時間を共有したくて。


 まだよそよそしさは残るけど、皐月はだんだん俺を認識してくれた。

 そして……まだわからない事は多いみたいだけど……日常生活を送れる程度に回復した。喜びのあまり、あの看護師さんと二人肩を叩き合って喜び合った……馬鹿力め。




 一週間後、やっと病院からの許可もおり、今日より皐月の復学がかなった!


ご意見ご感想お待ちしております。

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