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heart物語  作者: 木と蜜柑
1/6

一、

このお話を読んで、気分を害される方がおられたら、申し訳ありません。しかし、作者は、世の中には、色々な愛の形があっていいと思います。そして、それを批判する権利は誰にもありません。これを読んで、同じ気持ちを抱いてくれる人が1人でも増えれば嬉しいなあと思います。これは、さまざまな愛の形を応援する物語です。

「ねえねえ、聞いた?篠原雪美って、レズらしいで!。」

「え、まじで!?」

「らしいで!それで、バスケ部の浅野と付き合ってんねんて。」

「うそ、浅野と?」

「浅野ってそっちの趣味やっけ?」

「さあ・・・。でも、ちょっと男っぽいとこあるもんな。」

「確かに!けど、キモいよな。女同士で何すんの、って感じでさ〜〜。」


別に誰がどうしようと関係ない。ただ、面倒なことに関わりたくないだけ。

朝っぱらからこんな話をされる、篠原って子と浅野が少し気の毒な気もするけれど、私には全然関係ないこと。

私は、ぼんやりと教室の窓から外を眺めた。

3階の窓から見える景色は、11月ってこともあって、すっかり色褪せてきている。

もうすぐ冬がやってくる。


「なあなあ、ちょっとからかったれへん?」

「おっ、いいねえ〜〜。」


女の嫌がらせはつまらへん。彼女たちは、黒板に浅野と篠原の相合傘を大きく書いた。

傘の上のハートは赤のチョークで塗りつぶす。

一体、こんなことをして何が楽しいのか。


「あ!来た!」


ガラガラとドアが開いた途端、蜘蛛の子を散らしたようにそれぞれの席に着く。

入ってきたのは、篠原雪美、張本人やった。


「おはよう。」


しんと教室が静まりかえる。


「ねえ、浅野とどこまでいったの?」

突然口を開いたのは、サヤカやった。

クスクスとあちらこちらからの笑い声。

「どっちから告ったの?」


雪美は答えへんかった。

私はずっと窓の外をぼんやり眺めたままで、雪美の表情を見た訳ではないけれど、きっとひどく赤面しているに違いない。いや、怒っているのか。

でも、敢えて見ようとも思わへん。

私には関係ないし、関わりたくもない。

どうでもいい。

人が泣こうが笑おうが、何をしようが無関係。

人を理解しようとも、理解したいとも思わへん。



このときの私は、人を愛すること、人に愛されることを忘れていた。







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