第6話 戦火
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ベイルたちは何日もの間、進軍重ねていた。しかし、正規軍とは中々合流することも叶わず、1ヶ月ほどを無為に過ごしていた。
そんな最中、ヴァルタニア歴325年11月。彼らはとうとう本隊に合流を果たせそうになっていた。
「本隊だ!」
仲間の一人がそう叫ぶと、ベイルとアリアスはその方角へ視線を向けていた。
ヴァルタニア帝国軍の軍旗である赤と鷹の紋章の書かれたものが確認できていた。
「取り敢えず最初の関門は突破したな、ベイル」
アリアスはそう言って肩を叩いた。
「まぁ、ひとまず落ち着けそうだな」
そう言ってベイルたちは馬に跨り、本隊へ合流を果たそうとしていた。
ヴァルタニア帝国軍、赤日隊討伐軍の若き隊長として任官したエド•フリオスは進軍中に遠方から馬の走る音が聞こえ始めていた。
フリオスは、赤日隊の襲撃と思い込み戦闘態勢を取らせたがそれは違く1000騎ばかりの烏合の衆であることを理解すると剣を収めた。
「お前たち、何者だ?」
フリオスはそう質問していた。
すると、若い二人の青年が前に出ていた。
「私はラピドール出身のベイル•アステッドと名乗る若輩者です。この度、赤日隊討伐に向けての義勇軍を結成した上で、閣下の正規軍に入れてもらいたいと愚行を重ねた次第でございます」
ベイルはそう答えていた。
立派な若者だ。フリオスはそう胸中で本音をこぼし、好感を覚えていた。
「そうか、我ら身分は違えど同志か。ぜひとも、加入してくれ」
フリオスは笑みを浮かべていた。
「閣下の寛大なる御心、感謝申し上げます」
ベイルはそう言って一礼し、本隊最後尾にまわっていた。
「良い人だな、フリオス殿は」
アリアスがそう感嘆を述べた。
「それはそうだ。合流したのがこの人で俺も本当に良かったよ」
ベイルもそう言っていた。
本隊と合流して、2週間ほどが経過していた。
赤日隊本拠地である、南方の街であるナリープまでの道のりは極めて険しいものだった。
そして、道中で中小規模の赤日隊と戦闘を行っていた。
ベイルやアリアスらも奮戦したが、これといった戦果を上げることもできずに二人は若さ故に、武勲を立てねばと行き急いでいた。
「ベイル、そう急ぐことはないと思うぞ」
戦闘終了後、簡易的な集落を作りとどまっていた時にベイルは、フリオスにそう声をかけられていた。
「いえ、閣下たちにせっかく恩をいただいているにもかかわらず、なにも返せていないことに憤りを覚えていまして」
ベイルは力無くそう答えていた。
「いや、立派だと思うぞ。この年でこれくらいの大将やるとなるとな。俺だって、20年前になるのかな。君よりも5歳ほど上でやっとだったよ」
フリオスは笑っていた。
「…赤日隊もですが、世界は今どこに向かってるんでしょうね?」
ベイルはフリオスにそう質問していた。
「え?どこに向かってるって?」
フリオスはそう質問を繰り返していた。
「赤日隊を討伐することが、私にとって最終到達点だと思っていました。ですが、それだけでは終わらないな、という得体の知れない感情が最近胸に込み上げてくるんですよ」
ベイルはこの得体の知れない感情に対して、戸惑いを覚えていた。
「その心を持つだけで君は善人だ。将来のことはわからないけど、君は大義をもつ大きな人になるかもな」
フリオスは冗談半分でそう答えて、ベイルは別れていた。
「大義…か」
言われて初めてその言葉の本当の意味を理解したような気がした。
復讐から始まった戦い。しかし、復讐だけで終わらせるのにはもったいない気がしてならなかった。
しかし、取り敢えずそのことを考えるのは後にしていた。
目の前にある脅威に対して、今は身構えるだけに集中しようとしていたからである。
翌朝、部隊はその場を後にして前進を始めていた。
大地には馬が大地を強く蹴る音だけが強く鳴り響いていた。
ベイルたちは最後尾を任されていた。
前へと進む中で、ベイルとアリアスは後ろが騒がしいと思うようになっていた。
すると、最後尾から一人の兵が同志を次々と大鎌で切り裂いていた。その姿は死神を連想させていた。
ベイルはその様子を見て、思わず剣を引き抜いていた。
「ベイル!」
アリアスはベイルを引き留めようとしていたが、ベイルにそれは聞き流されてしまっていた。
ベイルは、ヴェイル•カサターンを引き抜き相手に対して鋭い一撃を喰らわせていた。
しかし、相手には軽く交わされてしまっていた。
そこで、ベイルは負けじと何合も一撃を喰らわせていたが相手には受け止められてしまっていた。
「若いが、やるな。だが、まだまだだな!」
その男はそう答えて、戦いが続行されていた。
ベイルは初めて自身の生死を賭けた闘争に身を委ねていた。
ヴァルタニア帝国興亡史
本作を収録している、作品群の総称。
本作はその中でも激動の時代を描く筋書きが描かれている。




