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ヴァルタニア戦記  作者: sk
傀儡愚弄編 ヴァルタニア歴330~335年
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第20話 激情

ベイルはアリアスらと別れて自宅へと向かっていた。


「この国を俺はどうしたいんだよ?」


ベイルはその疑問に対して興味が集中していた。

そして、家の前に立つとなにやら人の気配がしていた。

何事だ?

しばらく物陰に隠れていたが、しばらくして数人が自宅から飛び出していた。

そして、その瞬間に家が火の手に呑まれていた。

それは信じられない光景だった。

ここは、母の墓もある大切な場所であるにも関わらずベイルは初めて激怒した。


「貴様ら、悪鬼ども待て!」


ベイルはまさしく鬼の形相で、その男たちに襲いかかっていた。

ベイルは元来、剣を学び鍛錬する身でもあった。

そのために、その剣先を動かすことは可能であった。

全員を全員、足のみを斬り落とし身動きを取らないようにしていた。

辺り一面、断末魔の嵐が起こっていた。

そして、ベイルはその一人の胸ぐらを掴み叫んでいた。


「誰の差金だ!?答えろ!」


しかし、男は恐怖で身が硬直していた。

これが、温厚で知られるアステッドなのか?

そして、ベイルは答えを聞けないと悟るとその場で首を刎ねていた。

そして、もう1人、また1人と尋ねては斬っていた。

すると、そのうちの1人が口を開いた。


「ロ、ローン殿の差金でございます…」


ベイルは何となく勘づいていたが、ようやくその答えを理解していた。


「ローンめ…ただで済むとは思うなよ…」



「何ぃ?ベイルが家にいなかっただと?」


ローンは宿舎の中でそう答えていた。

低身分の分際で、口答えしてきたベイルに対しての報復は失敗に終わっていた。


「それに、刺客たちも私を除きほとんどが帰って来れていません…」


報告に対してローンはただ事ではないことを悟っていた。


「ローン殿!ローン殿はいらっしゃるか!」


ベイルの大声が宿舎の中にいても聞こえていた。

その声は今まで聴いてきた中でも一際恐ろしく感じさせていた。

ローンは身を隠そうとしたが、ベイルはその扉を開いていた。


「これは、これは。ローン殿…かくれんぼがお好きな年頃なんですか?」


ベイルは笑みを浮かべた。

ローンはその笑みに自然と恐怖していた。

すると、ベイルは何かが包まれた袋を差し出していた。


「ローン殿への献上品でございます」


ローンはそう聴いてその袋を開けて見ていた。

その中には自らが仕掛けた刺客の生首が詰まっていた。


「どうしました?ローン殿…何かおきに触るようなことでもありましたか!」


ベイルはローンにむけて剣を向けていた。


「おぉ、おお」


ローンはもはや対抗することができないでいた。

すると、ベイルはローンを連れてローンを宿舎の柱に縛り付けていた。

そして、ベイルはその場に落ちていた荷物を運ぶ用の紐を持って力いっぱい叩いていた。

何十回も叩いたことで、ローンの体は服を着ていてもわかるようにまで腫れ上がっていた。


「言え!お前かやったんだろう!」


ベイルはそう糾弾していた。

そして、百回目の瞬間にローンは呟いていた。


「許して…ください」


そう言って、ローンはことつきていた。

しばらくして、ただ事ではないと聴いて駆けつけてきた、アリアスたちがやってきていた。


「!」


アリアスやディン、パーシヴァルもまた言葉を失っていた。

目の前にいるベイルは、自分たちの知っているベイルではないような気がしてならなかった。


「兄貴、どうしたんだ?一体、何があったんだよ?」


ディンが心配そうな表情でそう見つめていた。


「すまない…俺はやってしまった…」


ベイルは自分のしたことにようやく気が付き自らの失態を悟り始めていた。


「話は聞いたぞ…まぁ心中は察する」


パーシヴァルはベイルに同情の色を見せ始めていた。

しかし、アリアスはその雰囲気を払拭しようとしていた。


「違う、違う。どうするんだ…いくら腐れ野郎でも宮廷の人間だぞ?」


アリアスの一言で一同は沈黙に陥っていた。

宮廷の者を失ったことで、宮廷は怒りの矛先を向けてくることは見ずともわかることだった。


「確かに、アリアスの言う通りだ…我々もここに長居をしすぎましたかなぁ」


パーシヴァルはそう答えていた。

いわば、夜逃げ同然である。

しかし、ベイルはその提案を却下していた。


「いや、これは俺の責任だ。俺だけがこの責任を背負うべきだ」


そう言って何事も聞きつけなかった。


「ベイル…責任逃れったって、お前にとっては苦難の道だ。それを,親友として許可したくない」


アリアスはそえ言っていた。

ベイルはそう言う友を見て苦笑し、肩を叩いていた。


「生きていればこそ、また会えるさ」


ベイルは当てにもならない捨て台詞を吐きながらその場を後にしていた。



少しばかりの食糧と金銭、そしてヴェイル•カサターンを手に取ったベイルは馬に乗り、アリアス、ディン、パーシヴァルの三人に見守られながらラピドールを後にしていた。

1人の夜道でベイルは思わず、自分が手に取ったものを数えて見た。


「たまには、1人もいいな…」

ラピドール殺人騒動

ラピドール群令の、ベイル•アステッドが政府の役人であるローン含む10数名を殺害した事件。

しかし、幸か不幸かその罪は何者かによって抹消され、ローンたちは行く途中の事故で亡くなり、ベイルは行方不明と言う形となっている。

この騒動によって、アリアス•ハルバードが新群令として任官を果たした。

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