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ヴァルタニア戦記  作者: sk
叛徒討伐編 ヴァルタニア歴325~326年
16/32

第16話 対峙part2

ディンは額に汗を滲ませていた。

既に剣を交えて2時間弱、戦いは未だに進展を見せることなく停滞の兆しを見据えていた。

手汗が溜まりすぎ、思わず大鎌を溢れ落ちそうになっていた。

その残りの体力を使いながら、また鎌を握りしめていた。

ディアスもまた、額に汗を滲ませていた。


「ディン、貴様の力はこんなものか?」


その挑発に対して、ディンは笑っていた。


「俺の力を舐めるんじゃねぇぞ」


ディンはそう挑発で返していた。


「だとしても、貴様はもう疲れ切っているではないか」


ディアスはそう発言していた。


「お前は一人だ、かつての俺もそうだった…」


すると、ディアスの後方から馬の走る音が二つ聞こえていた。


「俺には、仲間がいるんでな」


そうして、ディンは馬を一直線上にして走らせていた。

その二つの騎影こそ、ベイルとアリアスの二人であった。

二人もまた、手綱を握りしめながら片手で剣を握っていた。


「終わりだ…ディアスさんよ」


ディアスに向けられた三方向の刃は今にでも、その首へと到達しようとしていた。

その姿に対して、ディアスは抵抗することなく、投降の意思を見せていた。

そこは、流石と言えていた。


「兄貴、アリアス、ありがとな!」


馬の上で、三人は再会を喜んでいた。


「それは、さておきだ。オーキスさんはどこへ?」


アリアスがそう尋ねていた。


「うーん、はぐれちまって今はわからねぇが…城の方に向かったのは確かだな」


ディンがそう言うと、ベイルたちは馬をその方角へと向けていた。


「行こう、ディン」


ベイルはそう促していた。

仲間思いな性格が滲み出ていた。

これほど、ついていきたいと言う思いを募らせる奴はそうそういないな。

ディンはそう思いながら、三騎でティラスト城へと足を運ぼうとしていた。



ティラスト城を目前としている最中で、大将同士が会話をしていた。


「出てこい、叛徒の頭!首を洗って待っていろ!」


キシルヴァはそう罵詈雑言を浴びせていた。

それにぷつりときた、アウストも負けじと


「誰が出てくるか、俗物!」


そんなこんなで戦いは、暴言の嵐が吹き荒れていた。

討伐軍の中には、パーシヴァルの姿も見られていた。

なんと、まぁ見苦しい…

パーシヴァルは思わずそう心の内で呟いていた。

戦いで大義名分がこちらにはあれど、それは双方ともに同じなのである。

裏を返せば、どちらも野蛮なのには変わりない。


「あいつめ!全騎、突撃!」


キシルヴァの堪忍も切れたのか、全騎が城へと突入を開始していた。

しかし、城門の壁も厚く中々に困難を極めていた。


「えぇい、叛徒ども…」


キシルヴァはそう、答えると何やら後方に戻っていた。

アウストも、パーシヴァルは何事かと首を傾げていたが、なにやら後方の森が騒がしくなっていた。


「!」


アウストは思わず、目を疑った。

西洋最新兵器でもある、移動式打撃機がその姿を表していたからだった。

パーシヴァルも思わず、目を開いた。

あれほどの兵器を持つために、いくら金を払ったのか?

なにはともあれ、戦いの形成は一挙に逆転し始めようとしていた。

最新兵器は地響きをするかのように地面を転がり、城門にむけて勢いよくぶつかっていた。

扉の軋む不快な音が双方から聞こえていた。


「全員、扉を押さえろ!抑えろぉ!」


アウストは、なす術なくそう答えるしかなかった。

その思いも虚しく、何回が軋む音が聞こえたかと思うと、城門は一挙に破壊されていた。

そして、それを機に一挙に騎馬隊を率いるものがいた。

フォーレであった。


「アウストの首を取れぇ!」


勝ちどきを挙げたフォーレは、手柄欲しさにそう命令を果たしていた。

そうして、続々と入城していっていた。

その最中でも、とうとうアウストたちは側近を連れて籠城する策を取っていた。

しかし、これも時間の問題となるのは双方にとってもわかりきっていた。

赤日隊特有の日の丸の光は既に消えかかろうとしていた。


「終わりか、終わり…」


アウストは籠城しつつも臣下たちと共に、大聖堂の前で力無く座っていた。


「神は、もう見放されたと言うわけか…」


臣下の中にもそう考える人々が急増していた。

ここで、命を断つ。

生きていても、もう何も起こりはしないだろう。

そうして、アウストは毒入りの瓶を取り出していた。


「我ら死すとも、志高き同士が必ず諸悪の根源を叩いてくれるだろう!乾杯!」


そうして、臣下たちは一斉に毒入り瓶を含めて苦しい表情を浮かべてことごとく死んでいった。

まさしく、今飲もうと思った瞬間にアウストの首は胴と泣き別れとなった。


「死ね、叛徒」


その声の持ち主はまさしく、キシルヴァのものだった。

厚き城門と籠城した城を突破して、遂に討ち取ったのだった。

おそらく、アウストは斬られたことも分からずに死んでしまったのだろう。

死に顔は毒を飲む不安さで固まっていた。

そして、キシルヴァはその首を掴んで城を降りた。

その帰りを待つ兵たちの姿が見えると、キシルヴァはその首を掲げていた。

その瞬間、雷が落ちたかのような歓喜の声が辺り一帯には浸透していった。

こうして、ヴァルタニア歴326年5月。赤日隊との戦いは、7ヶ月で鎮圧された。

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