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ヴァルタニア戦記  作者: sk
叛徒討伐編 ヴァルタニア歴325~326年
12/32

第12話 新星邂逅

ディンとディアスは、もう何合にもわたって互いに牙を向き合っていた。互いに額に汗を流しながらもその一騎打ちは、他の追従を寄せ付けないでいた。

その間にベイルは全軍を立て直して、いつでも退却できるように軍を統制しようと試みていた。

しかし、あまりにも混雑とした戦場なために身動きがあまり取れずに、また伏兵の存在もあってか多くの兵たちが馬を失っていた。


「まずいな…」


次々に打ち取られていく仲間を目の当たりにして、ベイルは死への道が見えたような気がしてならなかった。

そして、敵兵がベイルに向かってきてしまっていた。数人という束で襲い掛かられてしまっては、ベイルも満足に剣を振える状況にはなかった。

たちまち、ベイルは落馬した。


「やられた!」


ベイルは地面に落ちながらも体勢を立て直して、剣を抜いていた。


こんなところで死んでたまるか。

俺にはまだ心の中にある、大義が何なのか、まだ分かってないからな!

そうして、ベイルはヴェイル•カサターンを振って辺り一帯の,敵兵たちを次々と討ち取っていった。

しかし、ベイルもまた疲労が蓄積していき注意力が散漫になっていた。


「振り翳すのか!?」


ベイルが気づいた時には、もう騎馬が自身に対して矛先を向けていた。


「兄貴ぃ!」


思わず、ディンは助太刀に入ろうとしたものの、ディアスの猛攻を受けて手も足も出さないでいた。


「覚悟しろ!」


ベイルはその声を聞いた途端に、また死を悟ってしまっていた。

23で、死ぬのか…

そんなことを思っていた。

しかし、その死は未然に防がれていた。

北方向から放たれた矢が、その兵の体に貫通していた。

その行動に思わず、ベイルは辺りを見回していた。

敵か!?

しかし、旗がたつとすぐに援軍ということがわかっていた。

赤い下地に、金色の鷹を施したヴァルタニア軍の旗である。


たちまち、形勢は逆転となった。

多くの援軍によって、叛徒たちは討ち取られていった。


「奇襲は失敗したな」


ディンと戦いながら、戦局を見ていたディアスは何百合とやりあった相手を見ていた。


「貴様、名は?」


「ディンだ、ディン•バーレイルだ」


「ディンか、私は、ラグラン。ラグラン•ディアスだ。縁と命があったらまた会おう」


そうして、ディアスは残兵を率いて退却を開始していた。

ディンは、追いかけようとしたがベイルに止められていた。


「もういいだろう、援軍がなければ我々は死んでいた。これ以上、兵たちを苦しませるな」


ベイルの言うことにも一理あるために,ディンは追撃をしなかった。


「あの野郎…敵ながらあっぱれとしか言えないな」


ディンは、思わずそう呟いていた。



「援軍に来てくださり、感謝してもしきれません」


ベイルは、援軍の大将に対して挨拶をしていた。


「いえいえ、私たちこそここで右往左往していたところ、何やら大きな音がするので近づいてみた次第です」


その大将である、フォーレはそう答えていた。


「恩人の名前をぜひ、聞いておきたいのですが?」


ベイルはそう懇願していた。


「私は、フリント•フォーレ。討伐部隊の指揮官です」


フォーレはそう答えていた。


「そうですか、私はベイル•アステッドです。お互いに叛徒たちの本拠地へ急いでいきましょう」


フォーレはすると、驚いた様子をした。


「もしや、其方がプロペティを討ち破った者か」


すると、ベイルは思わずたじろいだ。


「私はあくまで指揮した身です。やったのはかの、パーシヴァル将軍ですよ」


フォーレはその言葉を聞いて笑っていた。


「何をおっしゃる、その人材をうまく使うことに関しては、生来の気質がないとうまくはいかないものですよ」


フォーレはそう断言していた。


「あなたこそ、若くして体調にもなれるその才覚。若輩ながら、とても尊敬しております」


ベイルもそう答えていた。


「其方とは意見が合いそうだ」


フォーレはそう言うと、2人は笑い合っていた。


「アステッド殿、またの機会に」


「フォーレ将軍、本拠地で祝杯をあげましょう」


そうして、2人率いる両軍は別方向へと別れていった。



「なぁ、兄貴。フォーレ将軍は気持ちい人だったな」


ディンが馬を近づけてそう話していた。


「俺もそう思っていた。だが…」



「ベイルという男は、礼儀の正しい立派な人物でしたね」


ケリィはそう答えていた。


「俺もな、そう思っていたが…」



ベイルとフォーレはそれぞれの、視界中で互いに龍の印象を受けていた。

それは、天に向かって進み続ける者を見えていた。


「なにやら、面白い時代に生まれたものだな」


ベイル•アステッド、23歳。フリント•フォーレ、27歳。2人の英雄は合間見えていた。

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