第12話 新星邂逅
ディンとディアスは、もう何合にもわたって互いに牙を向き合っていた。互いに額に汗を流しながらもその一騎打ちは、他の追従を寄せ付けないでいた。
その間にベイルは全軍を立て直して、いつでも退却できるように軍を統制しようと試みていた。
しかし、あまりにも混雑とした戦場なために身動きがあまり取れずに、また伏兵の存在もあってか多くの兵たちが馬を失っていた。
「まずいな…」
次々に打ち取られていく仲間を目の当たりにして、ベイルは死への道が見えたような気がしてならなかった。
そして、敵兵がベイルに向かってきてしまっていた。数人という束で襲い掛かられてしまっては、ベイルも満足に剣を振える状況にはなかった。
たちまち、ベイルは落馬した。
「やられた!」
ベイルは地面に落ちながらも体勢を立て直して、剣を抜いていた。
こんなところで死んでたまるか。
俺にはまだ心の中にある、大義が何なのか、まだ分かってないからな!
そうして、ベイルはヴェイル•カサターンを振って辺り一帯の,敵兵たちを次々と討ち取っていった。
しかし、ベイルもまた疲労が蓄積していき注意力が散漫になっていた。
「振り翳すのか!?」
ベイルが気づいた時には、もう騎馬が自身に対して矛先を向けていた。
「兄貴ぃ!」
思わず、ディンは助太刀に入ろうとしたものの、ディアスの猛攻を受けて手も足も出さないでいた。
「覚悟しろ!」
ベイルはその声を聞いた途端に、また死を悟ってしまっていた。
23で、死ぬのか…
そんなことを思っていた。
しかし、その死は未然に防がれていた。
北方向から放たれた矢が、その兵の体に貫通していた。
その行動に思わず、ベイルは辺りを見回していた。
敵か!?
しかし、旗がたつとすぐに援軍ということがわかっていた。
赤い下地に、金色の鷹を施したヴァルタニア軍の旗である。
たちまち、形勢は逆転となった。
多くの援軍によって、叛徒たちは討ち取られていった。
「奇襲は失敗したな」
ディンと戦いながら、戦局を見ていたディアスは何百合とやりあった相手を見ていた。
「貴様、名は?」
「ディンだ、ディン•バーレイルだ」
「ディンか、私は、ラグラン。ラグラン•ディアスだ。縁と命があったらまた会おう」
そうして、ディアスは残兵を率いて退却を開始していた。
ディンは、追いかけようとしたがベイルに止められていた。
「もういいだろう、援軍がなければ我々は死んでいた。これ以上、兵たちを苦しませるな」
ベイルの言うことにも一理あるために,ディンは追撃をしなかった。
「あの野郎…敵ながらあっぱれとしか言えないな」
ディンは、思わずそう呟いていた。
「援軍に来てくださり、感謝してもしきれません」
ベイルは、援軍の大将に対して挨拶をしていた。
「いえいえ、私たちこそここで右往左往していたところ、何やら大きな音がするので近づいてみた次第です」
その大将である、フォーレはそう答えていた。
「恩人の名前をぜひ、聞いておきたいのですが?」
ベイルはそう懇願していた。
「私は、フリント•フォーレ。討伐部隊の指揮官です」
フォーレはそう答えていた。
「そうですか、私はベイル•アステッドです。お互いに叛徒たちの本拠地へ急いでいきましょう」
フォーレはすると、驚いた様子をした。
「もしや、其方がプロペティを討ち破った者か」
すると、ベイルは思わずたじろいだ。
「私はあくまで指揮した身です。やったのはかの、パーシヴァル将軍ですよ」
フォーレはその言葉を聞いて笑っていた。
「何をおっしゃる、その人材をうまく使うことに関しては、生来の気質がないとうまくはいかないものですよ」
フォーレはそう断言していた。
「あなたこそ、若くして体調にもなれるその才覚。若輩ながら、とても尊敬しております」
ベイルもそう答えていた。
「其方とは意見が合いそうだ」
フォーレはそう言うと、2人は笑い合っていた。
「アステッド殿、またの機会に」
「フォーレ将軍、本拠地で祝杯をあげましょう」
そうして、2人率いる両軍は別方向へと別れていった。
「なぁ、兄貴。フォーレ将軍は気持ちい人だったな」
ディンが馬を近づけてそう話していた。
「俺もそう思っていた。だが…」
「ベイルという男は、礼儀の正しい立派な人物でしたね」
ケリィはそう答えていた。
「俺もな、そう思っていたが…」
ベイルとフォーレはそれぞれの、視界中で互いに龍の印象を受けていた。
それは、天に向かって進み続ける者を見えていた。
「なにやら、面白い時代に生まれたものだな」
ベイル•アステッド、23歳。フリント•フォーレ、27歳。2人の英雄は合間見えていた。




