第11話 復讐の旅路
「何?こちらの動きに気づかれたか!?」
ディアスは部下の意見を聞いて、そう答えていた。
討伐部隊にも、まだ牙を抜かれていない奴らがまだ生き残っていたとはな。
ディアスは思わず、笑っていた。
「だが、負けるわけにはいかない。そう、負けるわけには」
ディアスは胸元のペンダントをまさぐっていた。不安なことがあればすぐに触ってしまうのが、自然と習慣化していた。
「皇帝にも、この国も腐りすぎだ。俺はその惨状を1人でも多くに伝えたい。だが、俺にはこんな表現の仕方しかできない」
ディアスは誰にも気づかれないように静かな声でそう答えていた。
時代は、上に立つもの、自然によって立場によって全てが変わっていく。
乱世は完璧なる人徳者はいきていけない。
それは、ディアスが痛いほどわかる時代の掟だった。
フォーレたちは本拠地から離れて、赤日隊の本拠地であるナリープまで既に50里を切っていた。
「やけに敵がいないな…」
フォーレは思わずそう呟いていた。戦場においては奇妙すぎるほど、辺り一帯が静かすぎていた。
ただ聞こえるのは馬たちが走り抜けていく音だけだった。
「伏兵しているかもしれませんね」
ケリィはそう進言していた。
「迂闊に動けなさそうだな…」
フォーレもまたその進言をして、迂闊に動けないでいた。
時を同じくして、ベイルたちもまたその森に訪れていた。偵察部隊という名目上で、五百騎を連れていた。
「アステッドの兄貴、どうもうすきみ悪りぃぜ」
ディンもまた、思わず悪態をついていた。
「ディン、そんなこと言うな。俺たちには大事な任務がある。集中しろ、集中」
ベイルはディンに対して労いながらも、肌身に感じるざわめきを隠せなかった。
奴か、奴がプロペティを殺った奴か。
ディアスはベイルを見ながら慎重に草むらをかき分けていた。
戦いにおいてディアスは、奇襲戦といった不意打ちを得意とした武将であった。今までにも多くの武功を立てていた。
しかし、その生活はある事件を機に変わってしまう。
10年前、現皇帝ヴェロニカ3世との会談の最中で乱心したヴェロニカ3世は、不覚にもその世話をしていた娘に不貞行為をしてしまっていた。
そして、その娘こそがディアスの愛娘だった。
そう、皇帝のために戦い幸せを掴み取っていた男はその皇帝のために幸せを手放してしまっていた。
そのあとは坂道を下る球のように速かった。
夫婦仲も悪くなり、そして極め付けは娘の自殺だった。
もう何がなんでも仇を打ちたかったのが、ディアスの本音だった。
赤日隊に入ったのもそうだ。私利私欲のためではない。
「復讐できる場所が欲しかったのさ」
そう呟いた途端に、ディアスは部隊に奇襲をかけていた。
その行動に対して、落馬して討たれるものも少なくなかった。
そのうちの馬を駆り立てて、ディアスは障壁になりそうな相手を探っていた。
やはり、大将である男は男性な顔立ちを持っており、剣の腕も確かだった。
しかし、障壁とよぶにはまだ力不足のようだった。
そして、視線を変えようとした途端にあたり一体に人血が吹き出していた。
それは、あまりにも大きな鎌によって行われていた。
その男の顔には虎のような髭が生えており、まさしく虎と形容するに相応しい男と見ていた。
「貴様、ただの義勇軍出身ではないな」
ディアスはそう告げていた。
すると、その男は鎌を肩に置いていた。
「おぉ、くそったれの叛徒の中にも骨のある奴がいるじゃあねぇか」
ディンも相手に対して申し分ないと、思っていた。
「ディン、そいつは手強いぞ!」
ベイルもまた、ディアスの覇気を感じていた。
プロペティとは違う、何か心が締め付けられるような何かに…
「おう、兄貴。見ていてくれ、俺が奴を討つぞ」
ディンは馬の手綱を引き、ディアスに対して鎌を振り翳そうとしていた。
「威勢だけは買ってやる」
ディアスはそう言って、ディンの振りかざしていた大鎌を長槍で受け止めていた。
「!」
振りかざしたディンも、ベイルも驚きを隠さなかった。
本当に手強い相手かもしれない。
ベイルら一行は、窮地に立たされていた。
ヴァルタニア州訳
州の名称は、全て建国の英雄8桀から取られている。
カイザー州、スペリア州、リオニスタニア州、ペイロー州、アーレイ州、ヒューリ州、ルールック州、ケイオス州に別れる。
赤日隊討伐においては、




