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プロローグ

 コツン、コツン、とローファーの踵が地面に触れる音を聞きながら僕はいつも通り駅に向かうため朝食用の食パンを食べながら家を出た。

 時間は午前5時25分と早朝、5時40分発の電車に乗るため車一つ通らないどころか10月の終わり、秋から冬にかけての時期というのもあり日が少し登って来ているが暗く、より孤独感が強まる道を一人で歩く。

 聞こえるのは自分の鳴らすローファーの音と知識不足だがスズメかツバメであると思われる小鳥の囀りと朝食である食パンをかじる音だけ。

 ただ僕、清水(しみず) 瑠衣(るい)は子供っぽいがこの、世界に人が一人だけになったのかと思えるこの時間が好きだった。

 僕は食べるのが遅いため家から駅までのおよそ15分の道のりを歩きったところで、ようやく食パン1枚を完食した。

 僕の最寄り駅は福岡県でも田舎の方で朝は人が一人もいい。ピッ、というICカードを改札に通してあと2分でくる列車を待つが辺りを見渡してもやはり人がいない。福岡の都市である博多方面ではあるのだが、人は見当たらない。

 この時間帯の登り列車は全車両を含めれば数人はいるのだろうがほとんどいないに等しいだろう。僕の乗る一番端の車両にはまず人がいなかった。

 ただし今はほとんどいないのである。

「まもなく博多方面、5時40分発普通列車博多行きが到着します……」

 古いスピーカーの掠れた音が静かな駅のホームに響く。

 そのアナウンスを聞き僕は点字ブロックの後ろに立つ。ドアが開き車両に足を踏み入れると聞き覚えのある声が聞こえた。

「おはよう。清水くん。」

 鈴の音のような聞き取りやすく透き通った声音が聞こえた。

 そうこの声の主こそが冴季 玲花 (さえき れいか)この時間、この早朝に唯一この列車に乗っている、僕が1日の初めに会う人だ。

「おはよう。」

 そういって彼女を見ると彼女は自分の座る席の横を白く綺麗に伸びた手で、ポンポンと叩いて座るように言ってくる。

 僕はそれを見て彼女の隣に座る。僕と彼女がこうして隣どうしに座るようになったのには少しだけ昔に遡る。

 

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