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機械仕掛けの情報屋 〜異世界の大好きなお師匠様〜  作者: ビオラン
お師匠さまの情報を探しに

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顔を真っ赤にして

 ◇◇


 ドアの向こうでは、顔を真っ赤にしたジェールが不貞腐れた顔で待っていました。


「ごきげんよう、ジェールさん。やっと私に会ってくださるのですね」


 するとジェールは唾を吐きました。


「ケッ。よく言うぜ。これがご機嫌に見えるか?」

「あら、お顔の血色が良くて、とってもご機嫌そうですよ」

「馬鹿言うな。折角いい気分で酒を飲んでいたのによ。無理矢理連れてくるなんてよ。しかもベリーちゃんを使って。お前は人の心が無いのか?」

「まあ、人の心については深いですからね、勉強している最中ですよ」


 ジェールはフイッと顔を逸らしてしまいました。


 ただ、後ろからレイバーがひょこりと顔を出したので、目線だけはこちらに向いています。


「ああ、ご紹介するのが遅れたいましたね、こちらは私の護衛として一時的に雇っている方です。別にそこで立っているだけなので何もしませんよ」


 レイバーはペコリとお辞儀をしました。


 次に、レイバーに一応紹介をしました。

「この方は、装飾品などを取り扱う商店のジェールさんです。平民や貴族相手と手広く商売をされていて、とっても物知りなんです。よくお話を伺っているんですよ」


 すると、ジェールは大きなため息をつきました。


「何がお話を伺っているだ。いつもいつも情報だけ抜いていきやがって。おかげ様で、今日もこうやって囚われてんだよ」


「だって、それはいつも私を見たら逃げてしまうではありませんか。私は仲良くお話をしようとしているのに」


「だからって、いつも黒ずくめの姉ちゃんを差し向けんのをやめろ。神出鬼没で怖いんだよ」


 ああ、イーラの姿の時の私のことですね。ただ、ここでその話題に触れるのは止めてほしいです。


 レイバーが何か聞きたそうにしているので、ここは早急に話を本題に移しましょう。


「今日は、少し気になっていることがありまして。それを教えていただきたいだけなのです。」


 するとジェールは面倒くさいと言いたげな表情をしました。


「俺は話したくないんだが?」


 こう話していますが、今日はお酒が回って酔っている分、普段よりは饒舌になっていますね。いつもなら私に対しては無言で、大事なところを一言二言しか話してくれませんし。よく情報をシェアしているグループでも、無言で有名です。


 このタイミングでお呼びして正解でした。


「そう言わずに。以前、この星のマークをお見せしたことがあったでしょう?」


 私はお師匠さまを攫った竜がつけていた紋章のメモを見せました。


 ジェールは嫌そうに紙を除き込みました。

「あの時、貴方は口止めされているとおっしゃってましたよね。あれから、きっとあなたのことだから気になって少しは調べているのではないかと思いまして」


 私がそう言うと、ジェール黙りました。


 ただ、メモを見ている目が少し動揺して動いたのを私は見逃しませんでした。私は少し胸がドキリとしました。


「もしかして……何か、知っているんですね?」


 ジェールは一瞬迷ったように目を宙に向けたあと、先程よりはしっかりと私の目を見て、「それを知ってどうするんだ」と答えました。


 これは、何か知っています。知っている手ごたえです。

 お師匠さまのための情報が手に張るチャンスです。


 ただ、『それを知ってどうするのか』という問いに対する、適切な返答が思いつきません。

 だって、貴族の個人情報に関わる内容を簡単に教えてくれるはずがないのです。それも、正当な理由もなしに。脅しをかけて見る案もありますが、今回だけは誠実に応えていただきたいような気もします。


 どうしましょう。正直に答えるべきでしょうか。でも、全て話すのも躊躇います。


 少し言い渋っていると、レイバーと目が合いました。


 レイバーに『話すべきでしょうか』と小声で話しかけると、レイバーはなんと間髪入れずに頷きました。


 その顔には自信に満ちていました。私の迷っている様子とは全く逆です。


 何故? と考えたところで思いだしました。

 そう言えば、先ほどレイバーに言われた所でした。協力のためには、こたらから歩み寄る必要があると。

 たしかに、ジェールにとって重要ともいえる情報を提供するにはそれ相応にこちらも歩み寄る必要がありそうです。


 ーー仕方ありません。


 私は怪訝な顔のジェールに近づいて、ジェールの目線の高さにしゃがみました。


「では、貴方がきっと誠実に対応してくださると思って、私もお話しましょう。……貴方は竜を見たことがありますか?」


 すると、ジェールはぷはっと噴き出しました。


「何を真剣に言い出すかと思えば、竜って。架空の存在だろ? 見たことなんてあるはずがないじゃないか」


 ジェールはヒヒッと笑って見せます。この反応は他でも見た反応で慣れています。でも、今回は逃げません。


「……私はあるのです。それも、その紋章をつけた竜を」


 すると、ジェールは「へー、ほんとかよ」と適当な反応をしました。


「本当です。そして、私はその竜を探す必要があるのです。……何故か分かりますか?」


 私が問うと、ジェールは笑った顔のままヒラヒラと手を振りました。


 しかし、次の一言でジェールは笑うのを止めました。


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