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機械仕掛けの情報屋 〜異世界の大好きなお師匠様〜  作者: ビオラン
お師匠さまの情報を探しに

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架空の話

 

「大丈夫ですか?」


 私が大きく肩を落とした上に、急に黙って考え込み始めたからでしょうか。サイモンが心配そうに見下ろしてきました。


「もしかして、領主様からの依頼の可能性があるのですか?」


 私は言っていいものか、急に分からなくなってしまい、

「まぁ、可能性はあるかと思って、念のためお聞きしたのです」

 と咄嗟に誤魔化しました。


 本当は色々聞きたかったのですが、なんだか今はその時でない気がしたのです。


「竜の話なんて、そんなおとぎ話のような面白い依頼があるのですね」

 何も知らないサイモンは、穏やかに笑っていました。


 ここでは、これ以上の話は得られないかもしれない。そう思った私はふと確認したいことを思いだしました。


 話が逸れてしまっていましたが、領地境界での竜の話が気になります。


 そうです、今の内に確認しておきましょう。私はちょっと上目遣いで、もじもじとして見せました。


「サイモン様、お時間をありがとうございました。ついでにお願いがありまして……」

「なんですかね?」


「この前の境界警備隊の隊長に、お礼を言いたいのですが、本日はどちらで会えますか?」


 すると、サイモンは「おお、少しお待ちください」と言って、勤務当番を確認してくると一旦去っていきました。


 黙っていたレイバーが、人がいないことを確認して口を開きます。

「まさか、サイモンさんが竜について把握してなかったとはね」

「それは、私も驚きました」

「この感じだと、調査方法が根本的に変わってきそうだ」

「ええ。まずは宰相であるサイモンさんにこの前の竜騒動が報告されてないのが気になるので確認しようと思います」

「それがいいね」


 私達はお互いに、今後のことを少しだけ話し合いました。


 しばらくすると、サイモンが現れて、ドミニク隊長の勤務を教えてくれました。


「今日は、訓練で丁度貴族街にいるようです」


 ◇◇


「ドミニクさん!」


 私は化粧を落としたレイバーを連れて、ドミニクのいる警備隊の控室に向かいました。


 ドミニク隊長は私の顔を見ると立ち上がり、ペコリとお辞儀をしました。


「これはこれはフィリーさんと……レイバーさんでしたか?こんな汚い場所までわざわざ来ていただけるなんて。今日はどうされましたか?」


 隊長は私達を椅子に案内しました。椅子は少しガタついています。


 控室は汚くはない……とは言えませんでした。整理はされてはいるものの、年季が入った壁や家具でお世辞にもきれいな空間とはいいがたい空間でした。どうやら、境界警備隊はほとんど現場にいて控室は物置化しているようなので、問題はないようですがね。


 長居は無用そうなので、早速本題に移ることにしました。


「ちょっと気になることがありまして。そういえば、昨日、境界付近でお会いした方々は、無事街に帰れたんでしょうか?」


「ああ、あの人たちは解放してから、今の所問題は報告されていませんね」


 私はホッと胸をなで下ろしました。再び捕まるなどはされていないようです。


「安心しました。」

「大丈夫ですよ、今回は悪気がなかったようですし」

「そうですよね。それにすべてはあの竜が悪いのですしね」


 私はフフッと笑ってみせました。そう、別にあの方々が悪いのではないのです。


 だから、私は何気なく「ね?」っとドミニク隊長の顔を見上げました。きっとにこやかに同意してくださると思って。


 しかし、隊長の反応は私の思ったものではありませんでした。


「竜? 竜って?」


 ドミニク隊長はキョトンとした顔でそう聞き返しました。

 始めて聞いたような反応で、少し首を傾けています。


 どうしたのでしょうか。聞こえなかったのでしょうか。


「え? 竜ですよ。昨日の話の」


 私がそう言い直すと、隊長は再び首を傾げました。


「昨日? 竜? なんの話だ?」


 ーーなんの話、ですって?


 その場の空気が急に変わったように感じました。


 ーー本当に分かっていない?


 私はすぐにレイバーの方を見ると、レイバーも私と同じく動揺しているのか目が合いました。何か、嫌な予感がします。


 もしかして、記憶が曖昧になっているのでしょうか?

 念のため、確認する必要がありそうです。


「昨日、私と会ったのは覚えていますか?」


 私が恐る恐る聞くと、隊長は「ええ」と頷きました。


「では、その中で囚われた方々とお話したことも?」


「はい」

 隊長は頷きます。


「じゃあ、その中で竜の話が出たのは覚えていますか?」


「竜……? いえ、そんな話は?」


 隊長は考えるように、腕組みをしました。覚えていないようです。


「で、では何故昨日の方々は解放されたかは覚えていますか?」

「あの人たちは、領地境界を越えたが一般市民且つ、攻撃してくる様子もなかったので見逃したと記憶しています」

「その後、上の方に今回の話を報告されたようですが、どのような内容を?」

「ありのまま話しました。彼らが話した内容も忘れず話しています」


「あら、でしたら、竜の話もしたのですか? 竜について訴えてきた話は覚えていますか? あの後、竜について上に報告するとおっしゃっていませんでしたか?」


 すると、「竜? 先ほどから何を竜ばかり……あれは架空の……」と言ったところで、隊長は「いてて」と頭を押さえ始めました。


 そして、「頭が痛い」と言い出しました。


 私は思わずレイバーと顔を見合せます。一体どうしたのでしょうか?


「だ、大丈夫ですか?」

「は、はい。……頭痛が出てきまして。おかしいな、頭痛持ちではないんだが……」


 そう言うと、隊長は少しうずくまるような姿勢を見せました。


「ごめんなさい、無理をさせてしまいましたね」

「いや、お力に慣れなくてすまないと思っています、何か思い出したら……いたた」


 苦しそうです。ちょっと日を改めた方が良いでしょうか。


 でも、これだけは気になって聞いてしまいました。


「ちなみに、上の方に報告したあと、何かありましたか?」

「確か、長官に報告したあと誰かに会った気がするんだよな……あれ、思い出せない……いっててて」


 隊長は先程よりも苦しそうにしました。


「すみませんが、これ以上は少し控えていただければと」と、フラフラとしつつ顔を上げました。


 これ以上は無理そうです。


 ーーですが、何かが引っ掛かります。


 モヤモヤとしたものが胸の中にあるのですが、ドミニク隊長が辛そうなので今日の所は引き上げるべきでしょう。


 レイバーに目線を送ると、レイバーもそう思ったのか頷いてきました。


「どうか、ご無理なさらずに。私達はこのくらいにしましょう」

 私達は一旦この場から去ることにしました。


 ◇◇

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