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機械仕掛けの情報屋 〜異世界の大好きなお師匠様〜  作者: ビオラン
お師匠さまの情報を探しに

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44/49

ハンカチはいる?

 

 ◇◇

「今更だけど、ハンカチはいる?」


 私達は木陰で座っていると、レイバーが少し申し訳なさそうにハンカチを出してきました。


「もうっ、遅いですよ!」


 私は笑いながらそう返すと、涙で濡れてしまった上着を脱いで、傍にある木に干しました。

 レイバーも私のせいで濡れてしまった服を、その横に干します。


「もう満足しましたか? お嬢様」


 レイバーが茶化すように聞いてきました。


「はい……恥ずかしい姿を晒してしまい、すみませんでした」


 取り乱した様子を見られてしまったことを思い出し、申し訳なさと恥ずかしさで顔が熱くなってきます。

 一生懸命顔を冷まそうと、パタパタと手で顔を仰いでみますが、上手くいきません。レイバーはクスッと笑ってきました。


「なら、僕は役に立てたってことだね。よかった」


 レイバーはどっしりと地面に座ると、胡坐をかきつつ続けました。


「で、なんでそんなに泣いてたのか、教えてくれる? まあ、無理なら別にいいけど」


 私はその横に座り直しました。


「……実は……お師匠さまが竜に攫われことを始めて信じてくださったので、感極まってしまい……」


「今まで誰かには話してたの?」

「はい。でも誰も信じてくれなくて。果てはお師匠さまが消えたショックで錯乱状態だと思われたりしました」

「まぁー、確かに竜が実在すると普通の人は思わないよね。僕も先ほどまでは半信半疑だったし」

「だから、聞いてくれて嬉しかったんです。それに、今まで竜の話が出たことはなくて、それも一筋の希望が見えた気がして、安心してしまったんでしょうね」


「そっか」


 レイバーは胡坐を組んだ足に肩ひじをついたまま、ニコリと微笑みました。お師匠さまではありませんが、似た顔がこちらを向いているだけで、なんだかお師匠さまに見守られている気がして、私もふと口角が挙がってしまいました。


「でも、まさかそのクラートさんを攫った竜が、隣領にいるとはね。それも僕の出身地の」

「ええ。今の竜の居場所が知れた半面、他領となると調査は困難になります。これは困ったことになりました」


「泣き疲れたところで申し訳ないけど、どこまで調査をしたのか教えてくれるかい? 僕の領地ということは、他人ごとではなさそうだ」


 確かに、レイバーにも今後関わってきそうです。

 私は今まで行った竜についての個人的な調査についてお話をしました。


「ふむ、竜の首にあった装飾品に、例の星のマークがあったわけだね」

「はい。ただ、星のマークが貴族のものだということまでは導き出せはしたのですが、それ以降の収穫が無くて……」


「なるほど、僕もあの星のマークについては僕なりに調べてきたが、進捗は君と同程度といったところか」

「ええ。ですので、あの星が何を表しているのか、どの貴族を表しているのか、私達は調べる必要がありそうです。」

「貴族か……ちなみに、貴族街側の君の支店……えーっとアトリア貴族室だっけ?には何か情報はなかったの?」


「情報があれば、とっくに私が見つけて対応していますよ」

「あ、あー……無かったというわけか」


 レイバーは頭の後ろをポリポリと掻きました。


「ここからが、きっと大切だとは思うのですが……」


 レイバーは少し腕組みをして考えた後に、何かを思いついたのか、目をカッと開きました。


「ふと気になったんだけど、確か竜の調査依頼は領主からだったんだよね? じゃあ領主が知っている可能性は?」


 ーー灯台下暗しでした


「確かに……竜の目撃情報があるから事実確認せよとの依頼があったということは、もしかして私達の知らない所で竜に関するやり取りがあった、もしくは竜について何か既に知っている可能性があるかもしれませんね」

「そう。今の君は貴族街を行き来できるようになって、領主とも連絡が取れる身となったはず。」

「そうです。やっと、貴族達からの情報を得ることも容易になったんです。この手を使わずにしてどうしますか!」


 私達は顔を見合わせて、大きく頷きました。


「僕も、星のマークが気になるから一緒に調査するよ」

「ありがとうございます。以前、宰相閣下にお話しした際は濁されましたので、恐らく個人情報を言うのはタブーなのでしょう。でも、聞ける範囲ギリギリを攻めるのも必要ではあります。まあ、その後は私達の力で何とか見つけ出すしかありませんね」


「ああ。では、一刻も早く動き出さないとね」


「今日は取り乱したりして、すみませんでした。でももう少し頑張ろうと思います」

「うん、僕も頑張るよ。引き続きよろしくね」


 そうレイバーが手を差し出してきたので、私は力強く握手をしました。


 日が暮れ始め、長い長い影が私達から伸びていました。


 ◇◇


 翌日、私達はアトリア貴族室に向かいました。

 いつもと違うのは、レイバーがいることでしょうか。

 仮に、何かあった場合に備えて、レイバーはお師匠さまのような見た目で待機をしてもらっています。


 私は部屋にある銀色のボタンを押しました。

 これは、城の人を呼び出すサインとのことです。

 あれから私達は考えて、把握できる情報を片っ端から集めることにしました。

 先ずは、聞きだせる情報は全て聞き出しましょう。


 使用人と思われる人が来たので、「宰相閣下とお話はできますか」とお願いしました。

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