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機械仕掛けの情報屋 〜異世界の大好きなお師匠様〜  作者: ビオラン
お師匠さまの情報を探しに

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何も知らないようで

 ドミニク隊長は急に話を振られて驚きつつも、困ったように首を横に振りました。


「我々は何も聞かされていません。竜の存在は……信じがたい話ではあり、困惑しています。フィリー先生がこのような場面で嘘を言うと思えないので、本当のことなのでしょうが……」


 不甲斐ないと言わんばかりの表情を向けてきました。

 すると、アレンやそのほかの方々も、この返事を聞いて露骨に肩を落としました。


「そうか……。それは残念だ」


こればかりは、私は兵の機密まで知らないのでフォローできません。私も、少しだけ申し訳なく思いました。

すると、この空気を断ち切るかのようにアレンが話を続けました。


「でも、一つだけ救いがありました。俺達は話が通じてないのか、それとも、話を知っていてしらを切っているのか、分からない部分もあって、今の今まで警戒していたんです。ただ、この人の話を聞いて、少なくとも話が通じてない方だと分かったのだけはありがたい。」


「……しらを切るとは?」


 私が聞くと、アレンは頷きました。


「てっきり俺達は、あなた達の国から魔物の形をした兵器など、何かしらの脅しを受けているのかもしれないと思っていたんだ。だから、耐えれずに勢いに任せてここまで来た部分もあって……」


 確かに、こちらの領地から危害を加えていると思われても仕方がない状況です。脅威がもたらされていると分かって、黙っている人はいないでしょう。ただ、私達の領地側で脅威を与えているかどうかは、警備隊の人々の様子から違和感や何か物々しい感じもしていないため、可能性としては高くなさそうです。


「少なくとも警備隊に竜に関する連絡が伝わってないということは、兵士達には通達されていないので、大規模な計画は無いのではと考えます。どうですか?隊長?」


 私がこう応えると、体調は一生懸命説明思い出すような素振りを見せましたが、「やはりありませんね」といいました。

 隊長は何かを隠している様子もなく、ただ素直に分からないといった様子。それに、知らないフリができるような演技上手でもなさそうです。

 私にもそんな情報は来ていません。


 私が「あなた達の国に意図的に竜を放つなど、私達が把握している限りはなさそうです」と言うと、アレン達は再び肩を落としました。


「そうか……俺達は早とちりをしてこんな有様になってしまったわけだ……疑ってしまい、申し訳ないです。」


 すると、ドミニク隊長は少しだけ申し訳なさそうにしました。


「いえ、私も浅慮でした。彼らが領地境界を越えていたのもありますが、何かを訴えようとしている分、緊迫した様子だったもので……。まず捕らえることを優先してしまいました。もう少し事情をしっかりと聴いていていればよかったものを」


 アレン達も謝りました。

「境界を越えたのは申し訳ありませんでした。一市民には境界線が分からず……。私達も深く考えずここまで来てしまったのはこちらの落ち度です。」


「でも、別に直接攻撃を何かしようとしたわけではないのでしょう?」


 私が聞くと、アレン達は頷きました。


「もし竜がそちらから意図的に送られていそうならば、俺達で文句の一つでも言ってやろうと思ったところもあったが、今の話を聞く限りそのような考えはみじんもない。」


では、今のところ境界での衝突は”無い”と判断して良さそうです。


ん? そういえば……私は境界でトラブルがあると思ってこちらに来たのでした。

すっかり忘れていました。


少し、話が深刻になりそうだったので、私は思わず空気を変えることにしました。


「ならば、これでお開きとしてはいかがですか?」

 私が、手をパンと叩いてこう告げると、その場にいた人々はキョトンとしました。


「今回はお互い、話し合いが足りず、このような状況になったのでしょう?聞いた限り、アレンさん達を拘束している必要はないかと思いますよ?」


 隊長は「ふう、む」と考える素振りをしました。


「だって、領地境界も別に一般市民の間違いによるものなら、初回は厳重注意程度で済むと、領地の規則で書かれていたと記憶しています。」

 すると、体調は「それもそうか」と言いました。


「では、彼らを解放してくれますか?」

 私がこう聞くと、ドミニク隊長は「分かった、今回は大目に見よう」と続けました。

 その言葉に、その場にいたアレン達は安堵したような表情を見せました。


◇◇


 アレン達は拘束が解除され、手足が自由になりました。

「フィリーさんだっけ? ありがとうございます。貴方の口添えで俺達は解放されました。」


「そんな、とんでもありません」

「このままでは、意味の分からない話をしている奇妙な集団として、拘束されてそちらの領地に連れていかれていたかもしれません」

「無事でなによりです。私も竜の話が出来る仲間がいて、本当に嬉しかったです」


 すると、アレンが少し耳打ちしてきました。


「あの、竜について他に何か情報はないのですか?」

「いえ、私もまったく情報が掴めなくて困っているのです……」

「そうですか……これも何かの縁です。俺達はあなたに助けられたも同然なので、もしお力になれることがあれば言ってください。あ、でも領地が違うからもう会えないのか」


 そう言うと、エレンはハハッと笑ってこめかみを指でかきました。


 私は「残念ですね……」と言おうとしたところで、情報屋として良いことを思いつきました。急ぎ、隊長の方に向きます。


「ときにドミニク様。私達は領地を越えなければ問題はないのですよね?」


 すると、ドミニク隊長は「ええ、そうです」と答えました。

「では、話くらいはOKですか?」

「え、ええ。まあ」


「なら、少し提案があって……この方々と今後、領地境を越えないように会話することは可能ですか?」


 そう言うと、その場にいた全員が私のことを驚いたように見ました。

 まあ、驚くのも無理はないでしょうね。我ながら無茶なことを言っている自覚があるので。


「実はですね、この機会を無駄にしたくはないなと思いまして。私はこう見えて、街では情報を売りにしているのです。たまにこちらに来て、お互いの情報交換が出来れば嬉しいと思ったのですが……」


 すると、アレンが嬉しそうに前のめりに反応してきました。


「なんだって、それはすごく面白そうですね!」

「でしょう? 別に隣領だからってギスギスする必要はないのです。料理の話やちょっとした雑談。それに竜の話だってしてみたくはありませんか?」


 すると、アレンと同じく隣領の人々も「いいね」などど口を揃えました。

 反応は上々です。


「ですがそれは……」

 ただ、横にいた隊長だけは少し厳しい顔で首を横に振りました。


 やはり、そう上手くはいきませんか。ですが、私も引き下がりはしません。


「だって、入る情報によっては今後街で活かせられるかもしれないではありませんか。だめですか?」


 そう言って、おねだりするように隊長を見上げてみました。


 隊長は固まってしまうと、困ったような顔をし始めました。でも、私は退きません。

 体調はしばらく頭を抱えてうーんと悩んだ挙句、「では、勝手なことをされては困るので、私達がいる所で……」と苦し紛れに応えました。


 ーーこれは勝ちましたね。


 皆で思わずハイタッチをしました。


 そして、次は満月の日にここに集合することに決めて、私達はその場を後にしました。



 途中、狼煙を見たであろう城の兵士とすれ違いました。問題ないですよと教えようと思いましたいが、必死に馬を走らせていて、引き留めは出来ませんでした。


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