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機械仕掛けの情報屋 〜異世界の大好きなお師匠様〜  作者: ビオラン
婚約者を探して

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令嬢の雲隠れ10

◇◇◇◇◇◇


 数日後、私はミラージュの屋敷に尋ねました。今回はレイバーに同伴しています。

 前回、ミラージュの家にはレイバーの部下として顔が知られたので、今回は堂々と屋敷を歩きました。


「ごきげんよう、オリバー様」

 ある部屋のドアを開けると、中にはオリバーが待っていました。

 今回、私がこの屋敷を訪れるにあたり、お呼びだてしておいたのです。

「やあ。えーっと、ここではフィーって呼ばれてるんだったか。フィーさん、待っていたよ」


「お待たせして、すみません。実は今回大事な調査結果が分かったので、こちらに来ていただいたのです」

「うん、それは聞いている。もしや、見つかったのか……?」


「……」


「見つかったんだね? 黙ってないで何とか言いなよ」

 一人、とても嬉しそうにオリバーは言いました。小躍りでもしそうな勢いです。しかし、私はニコリと笑うと一言まず添えました。


「あらかじめお聞きします」

 すると、オリバーは不思議そうにこちらを見ました。


「もし、ミラージュ様の行方が分かったら、謝礼は約束通りいただけますね?」

「当たり前じゃないか。僕は彼女に会いたいんだ」

「では、発見され、あなたの前に出た段階で謝礼がいただける基準になるわけですね?」

「ああ。そうだとも。なんだいもったいぶって。早く結果を教えてくれ」


 私が確認している時間も惜しいと言わんばかり、急かすオリバー。私はオリバーが本気であるのを確認すると、ドアに手をかけました。


「分かりました。では……」

 そう言うと、私はドアを開きました。


 ドアの向こうには、貴族にしては簡素な服装をしたミラージュが立っていました。


「ミラージュ!!!!」


 オリバーはダッと駆け出し、今にもミラージュに抱き着こうとしました。しかし、その手をレイバーが押さえます。


「何をする!」

「早まらないでください」


 レイバーが鋭い目つきでオリバーを睨みました。


「な……!?」

 困惑するオリバー。何故、久々の再会を喜ばせてくれないのかと目が訴えています。


「オリバー様、ミラージュ様にはお会いできましたでしょうか?」


 私はゆっくりとオリバーの前に立ち、微笑みながら問いました。オリバーは困惑と焦りの混じった声で応えました。


「ああ、会えたさ。しかし、近づけない。再会を喜んではいけないのか?」

「では、事実上『会えた』ということにはなりましょうね?」

「ああ、そうさ。距離はあるがね。さあ、早く私をそちらに行かせてくれ」

「では、オリバー様からの依頼はこれで完了と言うことになりますね」

「ああ、そういうことか。お金を払うまでは会わせないと。君はつくづくがめついね」

「お褒めに預かり光栄です」

「褒めてはいない。これだからこの手の輩はたちが悪い。……まあいい、ほら! 謝礼の残りだ。これでいいだろう!」


 オリバーは金銭の入った袋を乱暴に手渡しました。いつもは丁寧な所作だったのですが、焦りや苛立ちから少し横柄になっているようです。少し私もよろけましたが、無事謝礼をいただけたので、にっこりと笑顔を返しました。


「さあ、これで契約は終了だ。君はどいてくれ。私は彼女に用がある」

そう言うと、オリバーは私を押しのけてミラージュの所に行こうとします。


 しかし、再びレイバーによってその道は閉ざされます。


「なんだ!? 金は払った! まだ私を拒む理由があるのか?」


 オリバーは私を睨みました。必死さがとても伝わります。ただ、私はそのオリバーとは反対に、とても穏やかに笑いかけました。

「はい。そうでございます」

 恭しくお辞儀を添えて、私は大きく頷きました。


 すると、オリバーはまたしても驚いた顔をしました。そして、理解できないといった様子で私に詰め寄ります。


「そうだと? ということはまだ何かあるということか?」

「はい。その通りでございます」


 私はオリバーの圧に負けじと、丁寧に受け答えをしました。オリバーは苛立ち頭をかきむしります。


「なんだって! 他に何があるというんだ! 」


 私はニコリと微笑んだまま無言でオリバーを見上げました。

「さて、何故なのかご自分でお分かりでしょう?」


「私がさも把握しているような口ぶりだな……金は払った。それにこの家の住民にも許可は得ている……何が、何がだめなんだ」

 私の余裕の表情に対して、オリバー逆に焦りを感じたのかぶつぶつと呟き始めました。


 その様子が可笑しくて、笑ってしまいました。すると、横にいたレイバーも、ドアの向こうのミラージュもつられて笑いだします。


「な、何が愉快なんだ! 何故笑っている?!」


 口裏を合わせたように笑い出した私達に対して、オリバーは理解できない様子でした。


「すみません。つい面白くて笑ってしまいましたわ。だって、ご自分が一番分かってらっしゃるのに、分からないだなんて。ふふっ」

「どういうことだ」

「だって、ミラージュ様に一番危害を与える存在をご自分で、把握してらっしゃりますでしょう? そんな方をミラージュ様に近づけるわけにはまいりませんから」

「把握している……?」

「あら、まだシラを切るおつもりですか? 何を隠そう貴方様が一番の加害者ではないですか!」

「……!?」


 急に、オリバーは黙りました。


 苛立った様子は無くなり、代わりに困惑と焦りと……これは恐怖でしょうか。顔がみるみる内に青白くなっていきました。

 非常に分かりやすいですね。


「あなたがミラージュ様に対して、婚約以外の点で接触されていることは存知あげています。何故だと思いますか? 本人に聞いてみましょう」

 私はミラージュに目配せをします。待機していたミラージュは貴族らしく凛とし、そして鷹揚に言葉を発しました。


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