2025年度
「それ、俺の彼女じゃないです…」
※俺の目線で
文化祭に1人で行って、もし警察とか呼ばれたらどうしよう。と、勝手に焦っていた。三年目の秋…。
いいかげん、三年間も推しを追い掛けていたストーカーと言われてしまいそうで不安になっていた。
俺は、会社の同僚にどうにか頭を下げてお願いした。
「若い男との出会い探してるなら、文化祭とかアリですよ」
↑どのへんが頭下げてる?とか言わないで。気持ちの問題なんで。
「そうかなぁ」
離婚したばかりの会社の女子を連れて、知り合いの文化祭へ行こうとしていた。
「今年、新しい出会いとか、そもそもありました?フェスに行くのも手ですけどね」
「フェスとか1回は行ってみたいよね…でも勇気でないってゆーか、フェスに1人で行くのもね…」
うちの妹は、フェス大好き人間で、1人でも参戦してしまうけれど、同じ6月生まれと言えど、1人で出来る人と、出来ない人っているもんだな。
「ま、だから一緒に行きましょうって話なんですけどね」
「あー、ね」
会社の同僚が俺を軽くあしらおうとした。
「当日、着ていく洋服がないなら、新しい物を購入しに行きましょう。文化祭までの交通費?そんなもの俺がお支払いしますよ?朝起きるのがダルいんですよね?豪快にピンポン鳴らして差し上げますね。なんなら泊まりましょうか?いきなり一人の家に暮らすのって、なんか寂しいですもんね」
少々早めの口調で同僚に詰め寄った。
「待って待って………待って、どこまで本気で話してる?」
「全部」
同僚の目の前で猟奇的に瞳を見開くも、反射的に優しく微笑み返した。
「怖いよ?」
「当日、俺が持ってきた洋服着るのと、一緒に好きな洋服選びに行くのどっちがマシですか?」
そうだ。選択肢を2択に絞り込もう。この人には、まくし立てるよりも小規模な選択肢のほうが向いている。
「そんなの自分が選んだ物のほうがいいに決まってるでしょ」
いきなり声を荒らげた事の意味とか、俺にはどうでも良いので話を進めていく。
「じゃ、買い物決定ですね」
「なんでそうなる?!(お前の財布は底なし沼か」
相手の眉間のシワを人差し指で伸ばしながら、ニコニコ答えた。
「いいじゃないですか、新しい服も新しい男も手に入る。そして、なにより気晴らしにもなる一石三鳥ですよ?」
「たしかに?ってそうじゃなくて!…って行っちゃったし」
そして、俺達は楽しく買い物をすると、知り合いの文化祭へとやってきた。
「…ちょっと待って……なんで、私いま大学の文化祭なんかに来てるんだっけ?」
震える足をどうにか押さえながら相手がつぶやいた。
「貴女が、『旦那と別れられるなら、なんでもする』って俺に言ったからです」
「言ったよ…でも、本当に別れられるなんて思ってなかったからじゃん?」
同僚の顔は明らかに引きつっている。
「旦那から『ボクが刃物を突きつけました』と自供させ、裁判に勝ち、新しい新居の斡旋……ほかにも」
「ああ!もう、君のおかげで助かったよ!助かったけどね?!なんで私はコレを着てるのかな??」
同僚の女の人の上半身には防弾チョッキが着せられていた。季節は秋、少し寒くなってきた季節に、少し着太りしていてもなんら忖度のない感じの厚さのチョッキである。
「刺される可能性があるからでは?」笑
「な、な、何言ってるの?!」
言われるがまま着たけれど、本当にそんなことになるわけない。と思っているのだろう。
「だって、俺の大好きな人に会いに行くんですよ?相思相愛だった人にいきなり隣を歩く女の人が居たら嫉妬で恋人役の貴女が刺されるかもしれないじゃないですかぁー?」
俺じゃなくて、貴女が。
「なんで、こんなことさせてるの?!」
「貴女にしか頼めなかったからです。その辺の女の子に頼むには荷が重いじゃないですかw」
「そんなこと普通の女子に頼もうとすな!」
だから、貴女に頼んだんですよ。刃物を向けられることに耐性があって、逃げずにいてくれる人を探していたんです。
「さ、行きましょう♫」
「待って待って!先にどの人かだけ教えてよ」
「今日いるか、いないかは分からないので、そのための防弾チョッキですよ?」
「なるほど。って、違う違う!!」
なるほどするところじゃない!!と、同僚が暴れ始める。その手を掴んで、大学の文化祭のアーチをくぐった。
「なんでも買ってあげますから」
「生きていられる保証ないのに?!」
とりあえず、手を離したらすぐにでも逃げだしてしまいそうなので、ずっと手を引っ張りながら中庭へ向かう。
「たしか、毎年この辺に………あった」
「え?!もう、ご対面?!」
「それはどうでしょう?」
自分自身もネットでしか合ったことのない人なので顔は見たことがない。
SNS上に上がっていた後ろ姿なら分かるけれど、そこから何年もたってしまっているし、見た目が変わってしまっているかもしれない。
でも、なんとなく分かっているものもあるけど…。
「部誌2つとりんごジュース2つ」
「ちょっと!勝手に決めないでよっ」
結局、俺の後ろをついてきた同僚がジュースを2つ受け取った。俺は、違う種類の部誌を受け取り鞄にしまった。
自分の視野の端から視線を感じたような気がする。
俺は、気づかないフリをして、欲しかったものを手に入れると、その場を離れた。
少し歩いて校舎裏の人通りが少ないところへ来た。
「ねぇ、ちょっといい加減に自分のジュース自分で持ってよっ」
俺が振り返ったのと、同僚が刺されたのは同時だった。
「左肘の関節を見事にとらえた良い一撃です」
会社の同僚が地面に崩れる。
「アナタの猟奇的な姿をこの目に焼き付けたかったんです」
「………わざと?」
俺達を追いかけてきた人は、聞こえないような声でぽつりと呟いた。
「もちろんです♫アナタは自分の中にある猟奇的な部分を他人にどうも見られたくはないようなのです。だから、あえて俺達がひとけのない所まで行くのを待っていたんですよね?」
地面に流れ出した血に気にも止めず二人は会話を続ける。
「まるで予定調和のような言い方やめてよ」
「まだ、俺達の出会いが運命だと認めてはいただけないのでしょうか?」
俺は、地面に転がった同僚の傷を初めからなかったかのようにキレイにする。
「え、あれ?」
すると、同僚は何事もなかったように意識を取り戻し、大学生の手の中の凶器に青ざめて走り出した。
俺は、その大学生の凶器に手を重ねて、もう片方の手で相手を抱きしめた。
「勘違いしないで下さい。アナタが殺さないとイけないのは俺ですよ?…そうじゃなかったら、アナタの安全は保証されませんよ?」
「…………そうですね…」
抱き合ったまま動かないアナタに俺は呟いた。
「また、会いに来てもいいですか?」
「いつ死んでもいいのなら…どうぞ」
俺は、自分の腕の中の大好きな人をぎゅっと抱きしめた。
今年は3日間でした。11/4
3日間あるのに、部活がお店を出していたのは後半の二日間だけでした(何故
来場者と作る「推しの掲示板」
アナタの好きを書き殴れ……本気ですか??
俺も『あなたを!!心の底から愛しています!!!』って叫ぶべき?なのかな…
こんな俺を早く殺してくれないだろうか




