1.噂話
この世界には、たくさんの物語がある。その中でも、根強い人気のある怖い話。
怪談は、平安時代末期にも多く存在していた。
あなたは百物語を知っていますか?
誰もが知るポピュラーな、学校七不思議や都市伝説。
噂は噂を呼び、物語には尾鰭が付く。たくさんの巨像は現実となり、人間の心の隅に巣食う。
光り差すときは縮み、陰が大きくなると飛び出してくる。
まさに自らの影に、追いかけられているようなものである。
この物語は、百物語を完成させると、願いが叶うという都市伝説を信じる少年少女の怖い話である。
まずは百物語とは、暗い部屋で百本の蝋燭を灯し。怪談が一話終わる毎に、蝋燭を吹き消していくというお遊びなのだ。
しかしこの都市伝説には、オリジナルの百物語とは違うルールがある。
百本の蝋燭を灯すというところは同じだが。百物語は語らず、怪談を墨で書いた紙を蝋燭に巻き付け、火を一本ずつ吹き消していくというものだ。
百物語にはタブーがある。それは決して百話目を語ってはいけないというものだ。
しかし都市伝説の百物語には、また違ったタブーが存在する。
それは、偽りの怪談を蝋燭に巻き付けてはいけないというルールである。
ルールを破ると罰が下る。それは教訓なのかもしれないが、取り返しのつかないことになることもある。
だから決して破ってはいけないのだ。