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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
世界のハマダ編
95/123

サラリーマン、閉会式に出席する。

鉱石祭9,10日目の他ブースの見学はあっさりと終わってしまった。

いや、見せて貰った魔道具は面白かった。

しかしウチと展示日程が被っていなかった所は4日目からの見学で全部回ってしまったので、追加で見る所が4つしか無かったのだ。



そして、あれだけ濃い経験をした鉱石祭は早くも閉会式だ。

俺の場合、他の参加者とは「濃い経験」の内容が違う気もするが…。


開会式と同じく広場に集まると、リグリアさんが台に登り話し始める。開会式より人が減ったのは、展示内容や購入にしか興味の無かった一般来場者が昨晩や今朝に帰って行ったのもあるんだろう。


「この度は第184回鉱石祭にお集まり頂きありがとうございました。今回の選定品はどれも未知の発想に溢れ、新たな技術を開拓していく素晴らしい魔道具ばかりでした。」

184回って事は184年前からやってるのか…。

月並みな感想だが、そりゃあ凄い事だ。イナリア商会自体も創業200年近い老舗ってことだろう。


「それでは、今回の優秀魔道具賞と最優秀魔道具賞を発表致します。」

そうだ。俺は商会員気分でジテンが完売して満足していたが、ハンナさん的にはこっちが気になっているんだろう。

両手を組んで、祈る様に目を瞑っている。

というか、こっちの世界の人もそのポーズやるんだな…。


「今回の優秀魔道具はハマダ魔道具工房のレジです。」

「はあああああ!!」

めっちゃビビった。選ばれた事よりも、ハンナさんがすげぇ声で叫んだのに1番ビビった。


俺はハンナさん、ゲイルさんと共に壇上に上ると観客からは拍手で迎えられた。


「レジの受賞理由は独創性、これに尽きます。共鳴石だけで計算機能を実現している。しかし、その実は何百種類もの共鳴石から探し出された共鳴石が使われているそうです。単純な鉱石素材から作られた複雑な魔道具、まさに鉱石祭の目指す所を体現していると言えるでしょう。」


「あ、ありがどうござびまず…。」

横を向くと、ハンナさんがダダ泣きだった。

ゲイルさんはハンナさんを慰める役に回ってしまったため、しょうがないので手持ち無沙汰な俺が賞金を受け取った。


「おめでとうございます。それと、イベントの件はありがとうございました。一応伝えておきますが、その件は魔道具の選考とは全く関係ありませんので。」

「あ、はい。ありがとうございます。」


壇上から降りた後もハンナさんは泣き止まず、中々大変だった。主にゲイルさんが。



「最優秀魔道具賞はカジャ魔道具工房の選定品″魔伝機″です。壇上へどうぞ。」

あの魔素版モールス信号みたいなやつか。

あれは俺も凄いと思った。


「カジャ魔道具工房のブースを見学された方なら理由はお分かりかと思います。魔道具の構造自体は単純で、やや鉱石祭の趣旨からは外れるでしょう。しかし、空気中へ魔素を伝える素材を発見した事で、どれだけ魔道具の未来が広がったかは計り知れません。」

えっ。あれって新素材を使ったとかじゃなく、新素材を見つけたのもあの工房だったのか。

素人考えでも色んな事に使えそうな素材だし、下手したら歴史に名前が残るレベルなのでは。


周囲も同じ思いだったのか、カジャ魔道具工房の男性が壇上から下りた後もしばらくは拍手が止むことなく鳴り続いていた。

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