サラリーマン、異世界の服を着る。
エルクに街の事について聞いていると、ガストンさんが大きな袋を手に戻ってきた。
『この袋に4着ほど服と下着、あとは靴が入っているので奥の小部屋で着替えるように。あと、この小さい袋には買い取る服の代金が入っているので、身の回りの物を買うのにでも使いなさい。』
ありがたく受け取り、隣の部屋で着替えることにする。
中を見ると、黒の甚平みたいな服が入っていた。靴はかかと当てのある草履みたい感じだった。今から夏祭りにでも行く様な格好だ。
『着替えてきました。では、こちらのスーツをお渡ししますね。代えの服まで用意して頂いてすみません…。』
『どうせ売れ残りの商品だ、構わんよ。あとは職場で指輪を受け渡しながら会話をするのも手間だろうから、レジーナとエルクには指輪を1つずつ渡しておく。今私が付けている指輪は彼女達以外と話すときに使うと良いだろう。』
『何から何まですみません。早く言葉を覚えて指輪をお返し出来るようにしますね。正直盗難とかが怖い値段なので…。』
『まだいくつかは行商部隊の方で保有しているので、ゆっくりで構わんよ。色々と疲れただろう。エルクに寮を案内させるので今日はゆっくり休むといい。』
そう言ったガストンさんは、レジーナさんとエルクに指輪を渡すと、自分が付けていた指輪を外して俺に手渡し部屋を出ていった。
『じゃあエルク、早速新人を連れていってやんな。』
仕事の途中で申し訳ねぇが、よろしく頼んます…。
寮はスミナ商会本部から歩いて15分ぐらいの所にあるらしい。
『もう1人、俺と同じ村から出てきた奴が同じ家に住んでるんだけど、そいつはまた会った時にでも紹介するよ。』
『あぁ、頼むよ。』
『そういやヤマダ、今日はこの後どうするんだ?まだ昼過ぎだけど。』
『実は向こうの世界で23時ぐらいまで仕事した後にこっちの世界に落ちてきてさ、その時は多分こっちは10時ぐらいだったと思うんだけど。だから俺の体感では今って真夜中ぐらいなんだよね。つまり、めちゃくちゃ眠いからすぐにでも寝たい。』
23時とかって表現は通じるのかな。いくつめの鐘、とか何刻とか、適当に翻訳されれば伝わりそうだけど。
『え、そんな時間まで仕事してたのかよ。異世界って働く時間が随分長いんだな。そりゃ疲れてるだろ。朝まで寝てたら起こしてやるからすぐ寝るといいよ。』
そんな事を話していたら寮に着いた。
ほーん、普通の木造1階建てって感じの建物だな。




