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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
スミナ商会勤務編
8/123

サラリーマン、新職場で挨拶をする。

スミナ商会に戻って来ると、裏手から入る様で、建物をぐるっと回る。

要は社員通用口か。


『これから、売り上げの集計をする人達の所へ行きますので今日は顔見せだけお願いします。』

職場で顔見せの挨拶かぁ。一気にサラリーマンっぽい感じだ。

『分かりました。あと、これからは私は商会員になるわけですし、あまり丁寧な口調じゃなくても大丈夫ですよ。』

敬語という概念なのかは分からないが、初対面で私の事を貴族だと思っていた時はもっと丁寧な喋りだったので、似たような考えがあるんだろう。

『では、そうするとしようか。職場にはヤマダさんが入る寮に住んでる者もいるので、寮の案内はそやつに任せますので。』

おおぅ、同僚で同寮なワケだ。

…こういうギャグも念話だと伝わらないんだろうな。


ガストンさんが1室の扉を開けると、小さい事務所みたいな所で2人の男女が書類仕事をしていた。

ガストンさんが2人に何事かを説明すること5分ほど、こちらに振り向くと俺に言った。

『こちらの女性がレジーナ、集計部門の取りまとめ。こっちの男がエルク、レジーナの集計補助だ。』

上司と同僚か。とりあえずペコリと頭を下げておく。

レジーナさんはやり手のおばちゃんって感じの印象だ。

歳は60ぐらいだろうか。60はおばちゃんでいいのか、いや若い方で言う分には構わないだろう。

エルクさんの方は短髪で色黒、多分20歳前後だろう、活発そうな青年だ。

『私は服と指輪を取ってくるので、この指輪でレジーナとエルクに挨拶でもしててくれ。』

そう言うと、ガストンさんは指輪をレジーナさんに渡して部屋を出ていく。服、社員の制服みたいなんがあるんだろうか。


『あたしはアンタを預かることになるレジーナだ。アンタ、異世界でも集計の仕事をしてたそうだね。即戦力は歓迎だよ。』

してない。集計の仕事はしてない。変な汗出たわ。

システムエンジニアにというものは、ガストンさんには伝わっていなかったらしい。


『山田です。集計の仕事では無かったんですが、数字の集計をする事もありましたので、簡単な集計ぐらいなら出来るかと思います。』

『なんだガストンめ、話が違うじゃあないか。まあいい、明日からそこのエルクにやり方を聴きながら仕事してくれ。言葉の件は聞いてるから、それもエルクだ。午前中に使うエルク半日分ぐらいの仕事はしてくれよ?』

ニヤリと笑いながらそう言って、レジーナさんはエルクさんに指輪を渡す。

頑張ろう…。


『山田です。寮も職場も同じで、言葉も仕事も教えて頂くみたいで、お手数掛けますがよろしくお願いします。』

『うわっ、気持ち悪っ!』

え、丁寧過ぎたか?顔じゃないよな?しかし、ストレートだな。

『ヒタギ石ってこんな感じなのかぁ。』

あっ、そっちね。ヒタギ石初体験だったらしい。

『ちょっと気持ち悪いですよね、これ。』

『えっ、これでもう聞こえてるのか。すまんすまん、エルクだ。よろしくな!商会長が戻ったら寮に連れてくよ。あと、気軽な口調でいいからな。』

『あ、うん。よろしくね、エルク。』

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