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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
コンサルタント編
79/123

サラリーマン、謝罪に行く。

それはハンナ魔道具工房で新製品作りを10日ほど過ごした、とある休日の事だった。


午前中に買い物から帰って来たイルの様子が、あからさまにおかしかった。

おどおどしているというか、顔色も良く無いし何かあったんだろう。


「イル、どうした?買い物中に何かあったのか?」

「えっ、なっ、なんにも無いよ。」

誰が聞いても分かる嘘だ。流石に分かり易すぎる。


「いや、無理に聞き出す気は無いんだけどね。それが困り事なら何か力になれるかもしれないから、話してみないか?」

「うん…。ごめんなさい…。」

シュンとしちゃったよ。悪い事でもしてきたのか?


聞けば、買い物に出ていたイルは沢山の荷物を抱えて街を歩いていたそうだ。そのときに、荷物で前が見えてなかったことや野菜店へ余所見をしていたこともあり、ハンターの背中へとぶつかってしまったと。

しかも、当たり所が悪かったのかハンターの背負い籠?が壊れてしまい、地面にぶちまけられた肉を砂まみれにしてしまったと。

怒りの形相で怒鳴るハンターが怖くて、イルは抱えていた荷物も手放して逃げ帰ってしまったそうだ。


うーん、まあ屈強な身体付きをした大人が本気で怒ってたら怖かろう。俺でも怖いし、イルはまだ11歳だ。

パニックになって逃げ帰ってしまった事を咎めるつもりは無いが、謝罪は必要だろう。


「うーん、まあ全面的にイルが悪いみたいだし、一緒に謝りに行こうか。イルだって、今後ビクビクしながら買い物に行かなきゃならないのは嫌だろう?」

「うん…。」


ハンターの特徴はある程度イルが覚えてるみたいだし、バース商会に行けば誰か分かるかもしれない。



早速イルを連れてバース商会へやって来た俺は、まずはネルソンさんを訪ねた。

「ネルソンさん、こんにちは。倉庫の調子はどうです?」

「おっ、ヤマダさん、お久しぶりですね。調子が良すぎて、倉庫担当を1人解体所へ戻したぐらいですよ。」

とりあえず世間話がてら聞いてみたが、それなら俺としても嬉しい話だ。


「すみません、実は今日はお願いがあって来たんです。ハンターを1人探しているのですが、名前が分からなくて。ハンターに詳しい解体員がいれば紹介して貰えないでしょうか。」



ということで、紹介して貰った解体員にイルがハンターの特徴を伝えると、「ん?」という顔をされた。

「自分で解体までやってて緑髪のデカいハンターならワットだと思うが…今ちょうど買取カウンターに来てるぞ?」

なんと、家を探す手間が省けてありがたい。


買取カウンターへ向かうと、確かにイルが話した通りの男性が居た。

うーん、これは怖い。

中々厳つい顔をしてるし、背もデカいし。


「すみません、ワットさんですか?」

「そうだが…、あっ、お前は今朝の!」

俺の後ろに居たイルがビクっと震える。


「今朝は弟が素材を駄目にしてしまったみたいで申し訳ありません。話を聞いて謝りに来ました。ほら、イル。」

「ぶつかって籠を壊しちゃってすいませんでした…。」


多少は怒りも収まった様だが、まだ憮然とした表情をしているワットさんを見て、話を聞いていた解体員が割って入ってくれた。

「ワット、この兄さんにはウチの商会も世話になっててよ。俺に免じて許してやってくれないか。籠だって大分ガタがきてたんだろう?」

「そりゃ、俺だってバース商会がなきゃ生活していけない身だ。そう言われちゃ、許すしかないけどよ…。」


このままバース商会に借りを作って解決でもいいのだが、今回はイルの保護者である俺がちゃんとカタを付けておくべきだろう。

「ワットさん、あなただけが損をして終わりというのは頂けません。俺が籠と素材の代金を払いますので、それで許してやって下さい。」

「えっ、いいのか?結構高いんだぞ?」


失ったものを補償して貰えると分かったワットさんは、一気に機嫌が戻った。それもそのはず、肉類は洗って買い取って貰えたらしいが、駄目になった内蔵系と籠だけで5万コルもした。解体員もその値段を聞いて変な顔はしてなかったから、ぼったくられてはないと思うが。


「いやー、久々に大量だったのが無くなっちまったかと思ったが、これで嫁さんに顔向けできるぜ。ボウズ、今度から街を歩く時は気を付けるんだぞ。」

今朝は素材を売ったら、稼ぎを持って意気揚々と嫁さんの待つ家に帰ろうとしてたのだろう。そりゃあ怒りもする。

今回は金で解決できたから良かったが、そうじゃなかったとしてもすぐに謝っておくだけでも多少は違うだろう。


「イル、今度から悪い事をしたらすぐ謝ろうな。それでも許してくれなかったら、俺が何とかするから。」

「うん…ありがとう…。」

イルがすっかりしょぼくれちまった。


「それじゃ、これからお前のカバンを買いに行くか。」

「え、なんで…。」

「荷物を沢山抱えて歩いていたら危ないって分かったろ?好きなやつを買ってやるから、買い物に使えるでっかいカバンを選べよ?」

「うん!」



今回の事はイルも辛かっただろうが、いい経験になっただろう。

飴と鞭というわけじゃないが、いいカバンを買ってあげよう。

閑話のつもりの話が過去最長の1話になってしまった。

なんか良く分からないがこの話は凄いすらすらと書けて、自分でもびっくりです。

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