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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
コンサルタント編
72/123

サラリーマン、常識を問われる。

その日の夕飯の席ではエルクが腹を抱えて笑っていた。


「あっはっはっは!だから言ったろ?商会長がヤマダのすげー知識を使わせるために、色んなとこで仕事させてんだ、って。」

「いや、確かにそうは聞いてたわよ。でも、1ヶ月ちょっとであんなお金貰ってきたら、何か裏があるのかと思うじゃない。」

ベナ、もう少し義兄さんを信用しよう。な?


「私も本当にびっくりしちゃいました。前にスミナ商会から特別手当てを貰った話も知ってましたけど、人生で一度の大仕事ってぐらいの仕事の報酬かと思っていたので…。」

いや、基本的には俺も10日払いの基本給がメインなんだよ?

異世界に来て1年が経つけど、特別手当てを貰ったのは今回も含めて2回だけだし。


「ヤマダも悪いんだぜ?考えてもみろよ。10日で3万コル貯めていくとようやく1年で100万ちょっとだ。ウチなら寮や昼飯も安く済むからもうちょっと貯めれるにしても、その倍を2ヶ月も経たずに稼いでくるのは普通じゃねーからな?しかも、給料も貰ってたんだろ?」

「仰る通りです…。ガストンさんとかガロンさんがポンとくれるんで、つい。」

うう、エルクに常識を諭されるのは何か負けた気分だ…。

「そりゃ、スミナ商会長にバース商会長なんかはアスツールでも桁外れの金持ちだからな。俺らと同じ感覚な訳ないだろ。」


静かに野菜スープを啜っていたカインからも追撃を頂いた。

「まあ、ヤマダは何かと規格外なやつだ。しょうがない。」

やめて。手遅れみたいに言うのはやめて。


「つまり、ハヤトは姉ちゃんとベナが思ってたより、もっとすげー奴だったって事だろ?」

「イルは賢いな。まあそういうことだ!」



ついつい日本に居た頃のボーナスの感覚で貰ってたが、こっちには固定のボーナスってないもんなぁ。

特別手当てなんか一度も貰わないで仕事を終えるなんてのも案外普通なのかもしれない。


なんとなく婚前の貯金はそのまま俺が持ってたが、常識に疎い俺が持っているより全部レイナさんに預けてお小遣い制にしてもらった方がいいのかもなぁ。


なんて考えていたら、エルクに肩を組まれた。

「ヤマダ、2日間休みなんだろ?明日の夜、行くぞ。」

あー、そんな話もあったね。これも慣れる気がしない常識だわ。


「レイナさん!明日の夜、ヤマダを借りてくからな!」

「あ、はい。ゆっくりしてきて下さいね。」

「えー、二人でどこ行くんだ?」

エルクがニヤニヤと笑いながらイルの頭を撫でる。


「まっ、大人の男同士、酒を飲みながら夜通し話をする日もあるのさ。イルはもうちょっと大きくなったらだな。」

そりゃそうだ。せめて自分で働いた金で行けるようになってから、だな。

いや、だめか。それだとこの世界じゃ15歳とかで行けちゃうじゃないか。


しかし、ベナは表情変わらずカインと話していたが、ベナぐらいの年齢だとそういう事は分かるんだろうか。

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