サラリーマン、またも出向が決まる。
鉱石祭の事はさておき、コツコツとバース商会の魔道具を作っては配達員に渡していたある日の事だった。
「おう、ヤマダ。お疲れさん。」
「あれ?ガストンさん、今日はどうしたんです?」
「聞いたぞ、鉱石祭の事。」
「ええ、なんか200日後ぐらいにお祭りがあるらしいですね。」
もうハンナさんから伝わっていたか。
「らしいですね、ってお前…。あんまり余裕無いんだぞ。」
「えっ?」
話を聞くと、鉱石祭自体は半年後だが、選ばれた工房や職人は選定品に加え、新製品なんかをそこでお披露目するのが通例らしい。
しかも開催地は東大陸なので、移動に30日弱かかると。
てことはなんだ?
バース商会の魔道具作りと倉庫での確認であと20日かかるとしたら、150日ぐらいで新製品作るってこと?
「そりゃあ、ハンナさんは中々大変ですねぇ。」
「だから何で他人事の様に…。鉱石祭の招待はハンナとお前宛に来てるんだから、お前も共同で開発するんだぞ。」
うそやん。
「えーと…、て事はバース商会の仕事が終わった後は…。」
「当然、しばらくここで働いて貰う。」
ですよねー…。
バース商会に出向後は、またハンナ魔道具工房に出向して、それが終わったら海外出張と。
「そうなると、俺が戻らなくてレジーナさんも困るのでは…?」
「何言ってんだ。商会に戻したジャンがもう穴埋めで入ってるぞ。レジがありゃ、ジャンでも何とかなるからな。」
出向してる間に俺の席が無くなってるぅー!
工房に出向していたジャンが居なくなってたから、商会に戻ったんだろうとは思ってたが、そんな事になってたとは。
最近、エルクの帰りが早くてニヤニヤしてた理由がこれか!
おのれエルク。教えてくれてもいいじゃないか。
「ちなみに何か旅の準備とか要りますかね…?」
「それはスミナ商会で全部やっておく。お前は新製品の開発だけに専念してりゃいい。」
ほへー。
めっちゃ忙しくなりそうだ…。
「あ、それとな。新製品は売り込みの為に多めに作って持って行くから、作る期間も60日程は確保しておけよ。」
「はあっ!?」
新製品の開発期間、150日ぐらいかと思ったら90日しかねーのかよ!
「ふっふっふ、こりゃあ東大陸にも販路を食い込ませるデカいチャンスだぞ。何だったらランポートに駐在員を置いとくのもアリだな…。」
ガストンさんは自分の世界に入っちゃったし。
ハンナさん、何か新製品のアイデアが既にあったりしないかなぁ…。




