サラリーマン、試作品のテストをする。
バース商会に試作品を運び入れた工房の3名を見送った後は、妻の出産に関してアドバイスを貰いながらネルソンさんと弁当を食べた。
今日は鳥の角煮に野菜炒め、蒸しパンだ。
毎日弁当を作ってくれるのはありがたいが、早起きをする必要もあるだろうし、レイナさんのお腹が大きくなってきたら外食にしようかな。
昼飯が終わったら、すぐに試作品のテストだ。
というか弁当を食べている最中にガロンさんが現れ、俺の後ろで腕を組んで食べ終わるのを待ってた。
昼休憩中に圧をかけるんじゃないよ。労働組合があったら匿名でクレーム入れてる所だよ。
3人でせっせと倉庫の空きスペースに床材を敷き、そのエリアの端に入力用の柱を立てる。
あとは、床材の上にポールを置いて入力用のボタンに魔素を流せば、対応するポールが光るはずだ。
はずだった、のだが。
「おい、光らないぞ。」
「あれ?工房では問題無く光ってたんですが…。ネルソンさん!他のボタンにも魔素を流して貰ってもいいですか!」
他のボタンを試すも光らず、柱に直接ポールを接触させて試したりと色々やった結果、倉庫の床に問題がある事が分かった。
倉庫の床は魔素を通す素材が使われているらしく、入力した魔素が地面に抜けてるんじゃないか、と。
気にした事は無かったが、要は漏電だな。
とりあえず床と床材の間に魔素を通さない皮を挟んで、テストを続行した。色々置いてある倉庫で良かった。
「1」のボタンに魔素を流すと、「1」のポール3本がそれぞれ白・赤・青に発光する。他のボタンも同様だ。
記録帳には「ガムーの毛皮-3枚-A4エリア-1赤」などと記入すれば良いだろう。
本来はこっちのテストが目的だったのだが、床材の上に色々な素材を置いても問題なく動作していた。
おそらく、この魔道具を大量発注することになる。
後から「こういう素材を置くと機能しなくなりました。」では、済まされないのだ。見落としは無いだろうか。
「問題は無さそうですね。そして実際に実物を見ると、思っていたより遥かに分かりやすい。」
現場責任者のネルソンさんがそう言ってくれると安心感が凄い。
「ネルソン、こいつをそのまま作って貰うって事でいいのか?」
「いえ、2つほど希望が。柱は多少大きくなっても問題ないと思うので、ボタンを指先で触れるサイズではなく、手で掴めるぐらいのサイズにして欲しいですね。」
なるほど。確かにボタンに触れて魔素を流しながら、どこでポールが光っているかを見る訳だから、指先を当てるより掴んでいる方が楽か。
「もう1つは、ポールを軽くして欲しいですね。多分、我々は毎日何十本のポールを回収することになりますし、解体員が言っていた入庫係をする方は何百本と置きに行くことになるでしょうからね。」
まあ、日によってはそのぐらいの数になるだろう。
だからこそ最初は共鳴石を埋めたタグを素材に付ける案も考えていた。
他の素材が被さると光が見えなくなるのと、タグが床材に直接触れないので、素材の魔導性によって不具合が出そうなのでボツになったが。
「ブカの木あたりで作って貰うか。ちっと高くつくだろうが、この際構わん。」
「いやー、ちょっと心配でしたが、問題無さそうで良かったです。」
「そうだな。良い魔道具だぞ、これは。それじゃあ行くか、ヤマダ。」
ですよねー。
ガロンさんは「じゃあ明日には正式に発注しに行くぞ。」とはならんよな。




