サラリーマン、おじさんのストーカーをする。
翌日の朝、俺は倉庫横にあるバース商会の事務所に顔を出した。
ここの事務所、レジが8台もあるんだよなぁ。
なんか他の商会で実際に使われていると、ちょっと感動する。
まあそんなことはさておき、聞いておきたい事があったのだ。
「おはようございます、ガロンさん。」
「おう。どうだヤマダ、何かいい考えでも浮かんだか。」
「昨日の今日で無茶言わないで下さいよ…。それよりひとつ聞きたいんですが、単純に倉庫の担当者を増やしたらダメなんですか?」
考えなかったはずはないだろうが、一応の確認だ。
「それなんだがな、単純にできるやつが少ないんだわ。倉庫担当は客に届ける素材に間違いがないかのチェックもしてるんだが、素材の種類が多いと幅広い知識が要る。解体所で長く勤めてたやつじゃないと任せられんくてな。」
なるほど。倉庫に居た4人は全員が40歳オーバーに見えたが、そんな理由があったのか。
似た様な素材も多いし、熟練の目利きが要るのだろうな。
「納得いきました。それじゃ、倉庫の方に行ってきますね。倉庫仕事の事は昨日居たスネイルさんに聞いたらいいんですよね?」
「ああ。今居る中じゃ、あいつが一番詳しいだろうからな。よろしく頼む。」
そこから3日間、俺は仕事を見せてもらう事を説明して、スネイルさんのストーキングに徹した。
倉庫をどうこうするなら、まずは倉庫がどう使われているのか知らなきゃいけない。
ずっと見られているスネイルさんはやりにくそうに苦笑していたが、我慢してもらう。
メモをとりながらひたすらに彼の後を追った。
倉庫仕事は内容自体は単純だった。
配達員が置いていった注文票に書かれている素材を倉庫から探してきて、軽く叩いたりと何かしらのチェックを済ませると、まとめて置いておく。それだけだ。
あとはやって来た配達員が注文票と素材を勝手に持って行く。
ただ、俺は足が棒になりそうだった。
スネイルさんはとにかく歩くのだ。1日10キロじゃ済まないぐらい倉庫内を歩き回る。
20近くは年上であろう人が平然とやっているので弱音を吐くわけにもいかないが、足が筋肉痛になっている。
昼飯を一緒に食べたが、スネイルさんは凄い量の弁当をもりもり食ってた。
まあ、あんだけ動きまわるし、重い素材だって運ぶ。そりゃ当然か。
解体所の人も配達員もかなり動くんだろうし、商会長があんなマッチョになるわけだ…。




