サラリーマン、海の幸を食べる。
たどり着いたバラムの首都モネアは、独特の街並みを持つ都市だった。
北西が最も高い斜面に沿って家が並び、先端まで行くとその先は崖だ。崖の下は西が砂浜、そして北には海がある。
低くなっている街の東と南は、東が港になっておりずらっと帆船が並ぶ。南は俺たちの様に陸路で来た者の入口だろう。
また、家の造りも独特だ。
潮風を避けるためなのか、どの家も一様に海の方角を向いた屋根を持っている。ソーラーパネルでも乗せたくなるような光景だ。
そして当然街の中には磯の香りが漂う。
俺はもう、辛抱たまらなかった。
「レイナさん、魚だ。魚を食おう。」
「えっ、はい。ちょうどお昼時ですし構わないですが、ハヤトさんは魚が好きなんですか?」
「うん。俺の国は島国でさ、魚を食べる事が多い国だったから、久々に食べたくなってさ。」
「アスツールは内陸ですから、あまり海の魚は売って無いですしね…私は干した魚ぐらいしか食べた事がないです。」
それなら、と早速店を探すことにした。
魚なら港だろう、という安易な考えで街の東に向かい、焼き魚の匂いを漂わせる飯屋を鼻で探した。
探すこと30分ほど、腹の減る匂いの煙をモクモクと煙突から吐き出す1軒の飯屋を見付けた。
「キラトガ ハムラ。」
店に入ると、おばちゃんにそう声を掛けられたが生憎バラム語は分からない。
盗難防止用に紐を結んだ翻訳指輪を差し出そうとすると、今度はロナウ語で話しかけられた。
「ロナウ語は少しなら話せるが、兄さんはロナウの人かい?」
「あ、そうです。いい匂いがしたので、魚を食べたくて来たのですが…。」
「あんた、いい鼻してるじゃないか。ウチは″当たり″だよ。」
「おっ、期待しちゃいますよ!それじゃあ、お任せで2人分お願いします。」
席に着いて腹を空かせながら、期待に胸を高鳴らせる。
どんなんが出てくるだろうか。
10分ほど待って出て来た料理は串焼きの焼き魚に焼貝。
焼き魚は塩が効いた皮をパリッ割りながらかぶりつくと、新鮮でやや弾力のある白身から魚独特の旨みが口に広がる。
焼いて塩をかけただけなのに、なんという美味さだ。
これだ。これぞ焼き魚だ。
貝も忘れてはいない。
網焼きにされたであろう巻貝の口から、グツグツと煮立った
汁が溢れそうになっている。
竹串で身を取り出し、コリコリとした歯応えを楽しみながら、貝に残った汁をすする。ただただ美味い。
食べ終わる頃になると、〆のスープが運ばれて来た。
香辛料の独特の香り、そしてとろみのあるスープだ。
そして具は…野菜と魚の頭。なるほど、あら汁か。
よく煮込まれてクタクタになった葉野菜は味が染みており、噛むと口の中でジュワッと熱々のスープを吐き出す。
魚の頭を串でほぐし、ほほ肉や目の周りの肉まで食べ、最後に残ったスープでそれを胃に流し込む。
ごちそうさまでした。
旅行に行って、その先々で美味しいものを食べるってのはホントに良いもんだ。
なんか今日の2話はグルメ小説みたくなってますが、そういうのは目指してないです。




