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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
漫遊編
46/123

サラリーマン、海の幸を食べる。

たどり着いたバラムの首都モネアは、独特の街並みを持つ都市だった。


北西が最も高い斜面に沿って家が並び、先端まで行くとその先は崖だ。崖の下は西が砂浜、そして北には海がある。

低くなっている街の東と南は、東が港になっておりずらっと帆船が並ぶ。南は俺たちの様に陸路で来た者の入口だろう。


また、家の造りも独特だ。

潮風を避けるためなのか、どの家も一様に海の方角を向いた屋根を持っている。ソーラーパネルでも乗せたくなるような光景だ。


そして当然街の中には磯の香りが漂う。


俺はもう、辛抱たまらなかった。

「レイナさん、魚だ。魚を食おう。」

「えっ、はい。ちょうどお昼時ですし構わないですが、ハヤトさんは魚が好きなんですか?」

「うん。俺の国は島国でさ、魚を食べる事が多い国だったから、久々に食べたくなってさ。」

「アスツールは内陸ですから、あまり海の魚は売って無いですしね…私は干した魚ぐらいしか食べた事がないです。」

それなら、と早速店を探すことにした。

魚なら港だろう、という安易な考えで街の東に向かい、焼き魚の匂いを漂わせる飯屋を鼻で探した。


探すこと30分ほど、腹の減る匂いの煙をモクモクと煙突から吐き出す1軒の飯屋を見付けた。


「キラトガ ハムラ。」

店に入ると、おばちゃんにそう声を掛けられたが生憎バラム語は分からない。

盗難防止用に紐を結んだ翻訳指輪を差し出そうとすると、今度はロナウ語で話しかけられた。

「ロナウ語は少しなら話せるが、兄さんはロナウの人かい?」

「あ、そうです。いい匂いがしたので、魚を食べたくて来たのですが…。」

「あんた、いい鼻してるじゃないか。ウチは″当たり″だよ。」

「おっ、期待しちゃいますよ!それじゃあ、お任せで2人分お願いします。」


席に着いて腹を空かせながら、期待に胸を高鳴らせる。

どんなんが出てくるだろうか。


10分ほど待って出て来た料理は串焼きの焼き魚に焼貝。


焼き魚は塩が効いた皮をパリッ割りながらかぶりつくと、新鮮でやや弾力のある白身から魚独特の旨みが口に広がる。

焼いて塩をかけただけなのに、なんという美味さだ。

これだ。これぞ焼き魚だ。


貝も忘れてはいない。

網焼きにされたであろう巻貝の口から、グツグツと煮立った

汁が溢れそうになっている。

竹串で身を取り出し、コリコリとした歯応えを楽しみながら、貝に残った汁をすする。ただただ美味い。


食べ終わる頃になると、〆のスープが運ばれて来た。


香辛料の独特の香り、そしてとろみのあるスープだ。

そして具は…野菜と魚の頭。なるほど、あら汁か。

よく煮込まれてクタクタになった葉野菜は味が染みており、噛むと口の中でジュワッと熱々のスープを吐き出す。

魚の頭を串でほぐし、ほほ肉や目の周りの肉まで食べ、最後に残ったスープでそれを胃に流し込む。


ごちそうさまでした。


旅行に行って、その先々で美味しいものを食べるってのはホントに良いもんだ。

なんか今日の2話はグルメ小説みたくなってますが、そういうのは目指してないです。

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