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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
漫遊編
44/123

サラリーマン、情報収集をする。

次の日、先に起きた俺が散らかったテーブルを片付けていると、顔を真っ赤にしたレイナさんが起きて来た。


「おはよう。昨日は結構飲んでたと思うけど、体調は大丈夫?」

「大丈夫、です。えと…、その、あの。」

「うんうん。またその内に2人で飲もうね。」

どうやら昨日の事は覚えているらしい。

更に顔を赤くして、ベッドに倒れ込んでしまった。

そして、なんかモゴモゴ言ってる。


「じゃ、俺は1階で水浴びしてくるね。ゆっくりで構わないから、レイナさんも準備できたらまた街を見て歩こうか。」名残惜しいが、あまり昨日の事をいじり倒すのも良くないだろうし、少し1人にしてあげよう。


その後、落ち着いたレイナさんと2人で宿を出ると、俺たちは2日かけて街を観光しつつ、〈落とし人〉の情報を聞いて回った。


結局分かったのは「とても強い力を持ち、領土拡大に尽力して生涯を国に捧げた男性」らしく、首都では彼に関する演劇なんかもある様で「知りたきゃそれを観ろ。」というのが2人ほどから得られた言葉だった。


演劇って脚色とかも入っているだろうから、文書とかでも何らかの記録が残っていたりするといいんだが…。


あとは実際に首都に行ってみてからでいいだろうか。


「やはり、他の〈落とし人〉の事は気になりますか?」

「まあ、そうだね。やっぱり何を思って生きていたのかは気になるかな。この世界をどう思ったのか、いつ帰ることを諦めたのか、それとも最後まで祖国を想って亡くなったのか。」

「ハヤトさんはどうなんですか?時折、ふとした拍子に寂しそうな顔をしているのが、ずっと気になってはいたんです。」

よく見ているな。まあ、最近は仕事以外の時は四六時中一緒に居たりするし、それも当然か。


「やっぱりさ、あるよ。帰りたいと思う事は。両親も居たし、友人も居た。好きな料理だってあったし、行きつけの店もあった。でも、今はもうレイナさんと生きると決めたから。行き来できる方法があるなら、無事は知らせたいけどね。」


ここから先は、言わない方が良いのかもしれない。

でも、共に生きると決めた相手だ。伝えておこう。


「正直ね、レイナさんと結婚して1ヶ月ぐらいの間に帰る方法が見つかったら帰っていたかもしれない。結婚してすぐ離婚っていうのも申し訳ないけど、借金の返済と残していくお金で許して貰おう、他にいい相手でも見付けて貰おう、って。でも、今は違うから。」


「それは、どうして…ですか?」


「結婚して1ヶ月ぐらい経ったあたりで、仕事が終わって家でレイナさんの顔を見たときに″あぁ、帰ってきたなぁ。″って、ほっとしたんだよね。そしたら、この人がもう俺の″帰る″場所になってるんだな、って思ってさ。その時までは夫婦ごっこを楽しんでいただけで、ちゃんと奥さんとして見ていなかったのかもしれない。だから、ごめん。」


「ふふ。許してあげます。誰がなんと言おうと、ハヤトさんがそう思ってくれているなら、私はハヤトさんの奥さんですから。」


「ありがとう。もちろん、ハンナさんとも何も無いからね…?」


「ひどいです!酔ったときの事は忘れて下さいって言ったのに!」

最後にちょっと茶化したら、ぷんぷんとむくれてしまった。

そんなかわいい反応されるから、言いたくなっちゃうんだよなぁ…。

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