サラリーマン、引越しをする。
レイナさんとその兄弟と食事をした後はあっさりしたものだった。
というのも、寮を見に行ったら即決で入居することが決まったためだ。
俺は元々今住んでる家とそう変わらないから文句は特に無いし、レイナさんは「この広さでこの値段ならすぐ入るべきですよ。」と苦笑していた。相場を知らなくてスマン。
なんでも3人が今住んでる家の家賃は1DKで10日2.5万コル。ここに入るなら4LDKで2万コルだ、そりゃそうか。
というか、スミナ商会は福利厚生もすごいんだな。相場の半額以下で貸してくれてるんじゃないだろうか。
子供2人は「個室ができる!」と喜んでいた。3人で1部屋を使っていたんだもんなぁ…。
翌日はレイナさんが素材屋の仕事が休みだということで、ゆっくり休んでもらって午後から引越しをする事になった。
俺はスミナ商会へ予定通り入居する旨を伝えると、すぐに帰って眠りについた。
仮眠は取ったとはいえ、ほぼ徹夜みたいなもんだったしな…。
次の日に起きた時には既に昼前になっていた。
軽く水浴びをしてから社員食堂で昼飯を食べると、素材屋の前で待ち合わせをしていたレイナさんと合流し、荷物運びの手伝いに向かった。
荷物を新居へ運ぶ際に当然レイナさんの旧居に入ったわけだが、何かいい匂いがした。
そんなに何人もの女性宅に入った事があるわけではないが、やっぱり何か男の家とは匂いが違うもんだ。
そんな事を考えながらせっせせっせと4人で荷物を運んだ訳だが、5時間ほどで運び終わった。
小さな家だったからというのもあるが、この世界には家電がないというのが荷物運びが早く終わった要因だろう。
俺の荷物は家も隣だし、あまり物も買っていない。布団や服を1人で運んで3往復すると10分で終わった。
レイナさんと「今日は荷物も片付いてないし夜は外で食べようか。」なんて話をしていると、カインがやってきた。
「ヤマダ、さっき荷物を運んでいたくらいだ、まだ家は片付いていないんだろう。良ければ今日の夕飯は俺が作るが。」
「え、そりゃあ助かるがいいのかい?4人分だぞ?」
「大丈夫だ。スープは作り置きだし、肉は付け込んであるものを焼くだけだ。量の調整は効く。」
「じゃあお願いしようかな。荷物は運び終わったけど、中は片付いてなくてね。そっちの家で食べるから、後で椅子を持って行くよ。」
「ああ、分かった。」
カインは今日も仕事をした後だろうに、本当にありがたいことだ。
「レイナさん!カイン、お隣さんで俺の元同居人が今日は夕飯を作ってくれるそうだからごちそうになろう。味は保証するよ。」
「あら、それは助かりますね。明日からは私とベナで作るつもりでしたが、今日はごちそうになりましょうか。」
「うん、それじゃ明日からはよろしくね。俺も料理をした事がないってわけじゃないけど、こっちの食材にも調味料にも疎くてまだまともな料理を作れる気がしないから…。」
さて、もうちょっと片付けて、隣の家からいい匂いがして来たら行くとしようかね。




