サラリーマン、嫁を貰う。
その後、夜が明けるまで2人で話し合った。
レイナさんは愛人みたいなつもりでいた様だが、別に何人も女性を囲うつもりもない。
正式に俺の嫁となった。
旦那が不甲斐なければ離婚も可だ。
考え無しで動くことも多い俺とて、少しは不安もある。
何度も会っているとは言え、俺は営業中の対応しか見た事はなく、素の相手をあまり知らない。
だが、2,3度会っただけで相手を決めていたお見合い結婚の時代だって似たようなものだったはずだ。
何とかなるだろう。
結婚するとなれば別居も変だ。
しかし俺は寮暮しだし、レイナさんは兄弟と3人で1DKの借家住まいだ。
そこで、4人が暮らせる借家を探すことになった。
ガストンさんにでも相談すれば大体なんとかなるだろう。
レイナさんは素材屋の仕事だけは続けるつもりの様で、俺の給料と合わせて、4人での生活費に充てる事になった。
ちなみに妹と弟には「素材屋でレイナさんに一目惚れして、足繁くお店に来てくれた人と結婚する。」と説明するらしい。
何か恥ずかしいが8割ぐらいは事実だし、それでいいだろう。
「実はあなた達を養うために借金をしていて、それを返すために結婚するの。」とは言えないしな。
夜が明けると俺は一旦家から現金を取って来て、レイナさんと一緒に娼館へ戻った。
店の女将さん?に事情を話すと割と歓迎された。
女将さんも「この娘ならすぐに働いて返せる」と思い、お金を貸して雇ったが、後から体質の事が分かってあんまりお客が付かないのを心配していたそうだ。
ちょっとぐらい揉めるかとも思ったが、円満退社だ。
その後、レイナさんはお昼を食べながら妹と弟に事情を話して午後から素材屋勤務をするとのことで、昼前には解散した。
俺はとりあえずやれる事からやっておこうかと、スミナ商会本部の商会長室を訪ねる。ノンアポで社長室に突撃だ。
「ガストンさん、お仕事中すみません。ちょっと色々ありまして4人が暮らせる家を借りたいのですが、スミナ商会で持っている家か、家を持っていそうな商会を紹介して貰えませんかね?」
「今日はあまり仕事も多くないから構わんが、4人?とりあえず事情を話してみろ。」
恥ずかしい部分もあるが、俺がこの世界で最も世話になっており、信用している相手だ。包み隠さず話した。
「デンタクを作り終えたと思ったら、その2日後には女を身請けして結婚ときたもんだ。お前も中々忙しい人生を送っているな。」
「いやー、俺もそんな予定は全然無かったんですけどねぇ。成り行きで…。」
「成り行きでするもんじゃねぇと思うんだがな…。まあいい、家だったか?お前が住んでる家と同じ様な寮なら先月1軒空いたぞ。もっとデカいのが良けりゃウチは持ってねぇな。」
「え、寮って商会員以外も入れるんですか。」
「そりゃ入れるさ。夫婦で入ってるやつも結構いるぞ?人数分の金は貰うが。」
妻子同伴OKだった。いや、子は居ないが。
そうなると、寮というかもはや社宅だな。
「ええと…一応妻と相談して決めようかと思うので、家を見てみたいのですが、どの辺にあるんですかね。」
「どの辺って、お前が住んでるとこの隣だが。」
ちけぇよ。
そういや左隣に似たような家があったな。




