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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
ハンナ魔道具工房出向編
32/123

サラリーマン、特別手当てを貰う。

それから20日程はジャンに仕事を教えながら、一緒に原石を割っていた。

この仕事には苦い思い出もあったが、必要な共鳴石が存在すると分かっているからか、全然苦じゃなくなった。

ジャンも病んでしまったら困るので「見つかるまではかなり時間がかかるから、焦らずゆっくりやろう」と声を掛けておいた。


5日程で「7」の共鳴石が見つかった。物欲センサー搭載かよ、ふざけやがって。

どれぐらい確保すればいいか分からんから続けるけども。


そんな俺たちをよそに、ハンナさん夫妻はとうとう製品版1号機を完成させた。

それはゴチャゴチャしていた試作品とは違ってすっきりとした見た目の仕上がりだった。

ノートパソコンのモニタに当たる部分には数字が書かれたパネルが並び、各パネルの右上には小さな共鳴石がランプの様に埋め込まれている。

キーボード部分は水平よりやや起こされた傾きを持ち、それこそキーボードのキーの様なボタンが並ぶ。

しかし、回路等が詰まっているからであろう。キーボード部分は15cmほどの厚みを持っていた。


「いやぁ、とうとう完成したよぉ。ヤマダくん、名前はどうする?」

「え、また俺が付けるんですか?それなら"レジ"で。」

うん。あれはノートパソコンではない。コンビニのレジだ。


それからハンナさんはすぐにガストンさんを呼び、レジを見せた。

「ハンナ、これはいい魔道具だぞ、絶対に売れる。全力で数を揃えろ。片っ端から売ってきてやる。」

量産開始のゴーサインだ。

「うん、自分でもいいものが出来たと思うよ。同じものを作るだけならゲイルと合わせて1日2台ぐらいは作れると思う。売れ行き次第では、ウチもそろそろ人を雇おうかなぁ。」

「そうしろ。ジャンだっていつまでもは貸さねぇぞ。ヤマダはまだ必要か?」

「もう大丈夫。後は作り続けるだけだから。ヤマダくん、雑用みたいな仕事ばかりさせちゃってたけど、色々と意見も貰えたおかげでこれが作れたのは間違いないと思う。本当にありがとう。」

そうか、とうとう出向解除か。

ハンナ魔道具工房に出向して151日、俺は無事に役目を果たし終えたらしい。

スミナ商会本部には20日ぐらいしか居なかったから、ここが一番長い職場だ。感慨深いものがある。


呆ける俺にガストンさんが袋を投げ渡した。

「ヤマダ、お前はよくやった。これは特別手当てだ。」

冗談かと思ってた出向条件の「頑張りに応じて特別手当ても有り」は本当だったらしい。

「ふわっ!?」

袋の中を見たら変な声が出た。

いくら入ってんだよコレ。300万ぐらいあんぞ。俺の300日分の給料だぞ。


驚きと喜びでわたわたしていると、更に爆弾が投下された。

「それと相談なんだが、お前のデンタクを俺に300万で売らないか?俺はこれからデンタクを独占販売する商会の長だ。一番凄いデンタクは俺が持っていたい。」

更に同じ金額をドン、だ。

「え?あ、んー…、いいですよ。その代わり、仕事用にレジを買って下さい。」

俺だって開発者の一人だ。せっかくだから仕事で使おう。

「いいだろう。商談成立だ。レジーナ義姉さんに3台渡しておく。」

レジーナさんとエルクの分も買ってくれるらしい、太っ腹だ。


電卓の代金が詰まった袋もその場で渡されて、急に貯金が100万から700万へと7倍になったんだが…。

長期休暇が貰えるのなら、過去の<落とし人>の事を調べにバラムに旅行するのもいいかもしれないな。

ハンナ魔道具工房出向編はこれにて終了です。


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