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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
ハンナ魔道具工房出向編
31/123

サラリーマン、後輩に仕事を教える。

ハンナ魔道具工房では製品版電卓の製作が始まった。


そうすると、途端に俺のやることが無くなった。

ハンナさんとゲイルさんは「ジハンキ」を作る段階で原理は全て理解していたので教える知識もない。

ジハンキの時は3人がかりで作業していたが、製品版は小さいので2人で十分だ。

台枠の素材なども2人が決めてあるので、二人が作っている回路的なものができたら枠にはめるだけだ。


うーん、量産化に向けてカレアの牙でも削っておこうかな。

などと考えているとガストンさんが少年を連れて現れた。


「おう、やってるな。」

「あれ?どうしたんです?」

「こないだ話をしてから考えたんだが、追加の共鳴石を探しておけ。どうせすぐ必要になる。」

「はあ…、それは構いませんが、そちらの少年は?」

「こいつは商会員のジャンだ。行商をさせてたんだが獣に襲われて足を悪くしてな。療養も終わって手が空いてたんで、ここに回すことにした。共鳴石を見つけるのに使ってやってくれ。」

同僚だった。そして第二の出向者だった。この世界って何歳ぐらいから働くんだろう。

「あ、はい。ヤマダです。よろしくね、ジャンくん。」

「ジャンでいいです。右足が悪いので走ったりはできないですけど、それ以外は大丈夫なので、よろしくお願いします。」

「ヤマダ、ハンナにも話してくるから後は頼む。」

しかし、もう増産を想定しているのか。ガストンさんの脳内では何台売れる予定なんだか。


やり方を教えるにしても工房にある未鑑定の共鳴石や原石はあまり残っていない。

また定期的に買うことになりそうだし、ソーヤさんの素材屋に注文しに行くか。

「とりあえず素材屋さんから原石を買うところから教えようかと思うから、一緒に行こうか。」


素材屋への道すがら、やや右足を引きずる様に歩くジャンに確認し忘れていたことを聞いた。

「そういえば共鳴石に魔素を流してチェックする作業もあるんだけど、ジャンは魔素は扱えるかい?」

「え、もちろんできますよ。あまり細かくは扱えないですけど。」

もちろん、か。もしかして扱えない人の方が珍しいぐらいなんだろうか。

俺もどっかで時間作って習った方がいいのかな。

「あ、うん。細かい調整は道具を使うから大丈夫だよ。」



「あら、ヤマダさん。いらっしゃい。」

今日の店番はレイナさんだった。最後に会ったのが一夜を過ごした時だから、何か気恥ずかしいな。

「あー、えーと…こないだは、その、どうも。」

「ふふ。こちらこそどうもありがとうございました。今日は共鳴石ですか?」

「あ、そうです。またしばらく定期的に買うことになりそうなんで、ソーヤさんに仕入れをお願いしといて下さい。あと、この子が買いに来る事もあると思うんで、よろしくお願いします。名前はジャンと言います。」

ジャンがぺこりとお辞儀をする。

さて、後は工房に戻って共鳴石発掘人の仕事を伝授するとしようか。

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