サラリーマン、出向先で勤務をする。
また追加でブックマークも頂きました!ありがとうございます。
新章開始です。
この章は話の構成を考える際に自分が一番書きたかった章でもあるので、読み手の方も楽しんで頂けるものになれば幸いです。
本日はハンナ魔道具工房へ初出勤だ。
同居人であるエルクとカインには出向辞令を受けたその日に説明しておいたが反応は薄かった。
こういうのは良くある話なのか。
エルクが「デンタクが出来たら1台くれよ!」って言ってたけど、俺の物じゃないから。
ガストンさんに会社備品として購入してもらってくれ。
工房に着くと早速業務開始だ。
まずはハンナさんが使えそうな素材に魔素を流し、実際に機能を見せてくれる。
光る石、色が変わる石、振動する牙、磁石みたいにくっつく骨、色々あった。
その後、ゲイルさんも交えてまずはどんなものを試作するかを話し合った。
最初に試作するのは「1桁足し算電卓」に決まった。
インプットは10個のボタン×2組、アウトプットは11個のボタンだ。
ボタンは光らせるのか、色を変えるのか、押すのか、その辺はこれから決めていく。
最終的にはこれを6個組み込めば「6桁足し算電卓」になるだろう。
ハンナさんもゲイルさんも魔道具の専門家だ。
何か便利な素材を活用すればそういった機能も実現できるだろう。と、楽観的に考えていた。
便利素材はあるにはあった。
名を「共鳴石」、「カレアの牙」と言う。
工房で保有しているものを見せて貰った。
共鳴石はアウトプットに使うことになった素材だ。
特定の魔素量が流れると光る石で、石ごとにどれぐらいの魔素で光るかは異なる。
5の魔素量だけ光る石もあれば、3と9の魔素量で光る石、5~9の魔素量で光る石などまちまちだ。
大量の共鳴石を用意して、その中から条件に合う石を揃える必要があるそうだ。
カレアの牙インプットに使う素材だ。
太さに応じて魔素が一定量しか流れない素材なのだが、生物由来の素材なので性能にばらつきがある。
どうやら骨密度か何かが影響している様で、ギッシリと中身が詰まった牙は流れる魔素が多い様だ。
それぞれ性能が微妙に違う牙を流れる魔素が一定になる様に1本1本個別に削って、太さを調整する必要があるらしい。
ハンナさんは「素材さえ揃えば作れそうだね!」と随分とやる気で、ソーヤさんという男性が営む近くの素材屋へ共鳴石とカレアの牙を大量発注しに行った。
俺はそもそも魔素というものを扱ったことすらないので、魔素関連の作業は全てハンナさん夫妻しかできない。
共鳴石や牙の加工とかが俺の担当になりそうだ。
「電卓試作時の相談役」みたいな仕事をイメージしていたが、もはや普通に職人だな、これ。




