サラリーマン、初出社をする。
どうやら昼飯は商会本部のすぐそばの店で食べるらしい。
ガストンさんの知り合いが営む店で、スミナ商会員はメニューはお任せ2種のどちらかしか選べない代わりに格安にしてくれるそうだ。社員食堂だな。
肉定食を食べたがまあまあ美味しかった。お値段は200コル。
これが格安らしいから、ガムーの肉は本当に安かったんだな…。
昼飯を済ませたら初出社だ。
午前中も研修だから仕事ではあったんだけどな。
事務所へ行くと、レジーナさんが弁当を食べていた。
社員食堂は使ってないらしい。
『おや、早かったね。エルクはちゃんとやってたかい?』
『えぇ、数字を教えて貰って、買い物に付き合ってもらいました。』
『俺、村でもちょこちょこ子供に言葉教えてたりしてたんだぜ?大丈夫だって。』
『それじゃ、私はまだ飯食ってるから、昨日の店舗売り上げをまとめ始めとくれ。行商部隊の仕入れのまとめは後回しだ。』
『んじゃ、始めるかぁ。ヤマダ、こっちだ。』
エルクにやり方を教わりながらメモを取る。
長いレシートみたいな紙にひたすら「衣類 2800」「魔道具20000」「香辛料3000」とかの文字列が並ぶ。
これを種類ごとに集計する、って作業を5店舗分繰り返すそうだ。種類は11種類、文字を覚えるのが大変だ。
『それじゃあ実際に5号店の集計をやってみてくれ。終わったら結果をそこの紙にメモしてレジーナさんのとこに持って行ってくれ。確認してくれるから。』
5号店のレシートだけでも俺の身長ぐらいの長さの紙が10枚以上だ。1号店とかどうなっていることやら。
流石にこの量を暗算は無理だし、筆算でもかなり手間だ。電卓使っていいかな?ちょっといいお値段(2980円)でソーラータイプの電卓だ。スマホと違って数年はいけるだろうから、仕事に組み込んじゃってもいいだろう。
種類の文字早見表、数字の早見表、電卓、レシートとひたすらにらめっこをしながら売り上げ集計をすること1時間ほど、ようやく5号店の集計が終わった。
『レジーナさん、終わりました。見てもらっていいですか?』
『えらい計算が早いね。あの板を叩くのがアンタの計算のやり方なのかい?』
板、電卓だろうな。板が計算してくれてるだけだが。
『そうですよ。レジーナさんはどうやって計算するんです?』
『売り上げ票を貸しな。見せてやるよ。』
そう言うと、レジーナさんはニヤリと笑った。




